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【    】    「イシナガキクエを探しています(4)」     。

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(4)があるなんて聞いてないですよ?

「イシナガキクエを探しています(4)」

改めましてこんにちは。ネギマです。

まさか配信のみの形で4話目がくるとは思っていませんでした。内容としては、かなり今までの経緯や裏側を見せてくれたように思います。自分としては、3話までの考えは全ては合っていないものの、部分部分で合っていたかな、と思えました。特に一番そうで合ってほしいと思った部分は。

今回もこの番組がモキュメンタリーであることを前提とした上で、周辺情報なども交えた上で考察を行っていきたいと思います。今回は以下2つのインタビュー記事を参考にしています。


では、いつもの如く内容を箇条書きで振り返ります。

第4回の内容を振り返る

・生前の米原さんの映像から。番組側が捜索番組をやると決意する前の映像ですね
・メタい話ですが米原さん役のこの役者さん本当にすごい、セリフのない演技がうますぎる
・2024年2月10日、米原さんは全身が焼け焦げた状態で発見される。やはりあのニュースは米原さんの事だったんですね
・自殺か、他殺か。警察は状況から自殺と断定
・米原さんは自治体により埋葬され、米原家のお墓へ
・米原さん「絶対に探して」「いたら絶対に会いに行く」
・スタッフはこんなにも熱心にイシナガキクエさんを探していた米原さんが自殺するのは不自然だと感じていたようですね
・米原さんの意思を継いで、イシナガキクエさんを探すことに、そのために捜索番組を放送することにした、と
・今回は番組スタッフ側からの目線で展開していくようです。スタッフがどう考え、どう思っていたか、が強く出ているように思います

・タイトル「イシナガキクエを探しています」

・2024年4月29日、特別公開捜索番組「イシナガキクエを探しています(1)」を放送、約8000件の電話が寄せられる
・2024年5月10日、匿名希望の視聴者から1本のビデオが送られてくる。これが37年前にテレビに出演していた米原さんの映像
・米原さん「キクエは もうこの世にいない」
・2024年5月10日、「イシナガキクエを探しています(2)」放送。イシナガキクエさんが既に亡くなっていることが判明したため、番組を第3回で終了することを判断した
・あくまで番組側は本気でイシナガキクエさんを実在の存在として探していたんですね
・2024年5月17日、「イシナガキクエを探しています(3)」放送
・スタッフは37年前の映像に載っていた住所へ取材に、そこは稲垣さん、ひいては稲垣乙さんの住所だった
・米原さんが稲垣乙さんへ連絡している記録が、テープに残っていた
・「先生あの米原です いつぞやはどうもありがとうございました 1体見つけましたので 処置の方お願いしたくお電話しました 代理人の方は私の方で用意しておきますので とにかく今回もよろしくお願いします」
・2024年5月17日の放送後、稲垣乙さんの遺品を整理した稲垣さんから、大量のビデオテープと8mmフィルムが届いた
・実際の映像が見られるらしい
・「これからご覧いただく映像の一部は気分を害する可能性があります」の注意書き……いったい何が流れるんだ

・1975年/8mmフィルム
大の男が3人がかりで、布か何かに包まれ、ロープでぐるぐる巻きにした、明らかに人の大きさの何かを運んでいる。胸の部分には人の写真のようなものが額に入れられて貼り付けられている。運んでいるうちの1人は米原さん。その後ろを何かお経のようなものを唱えながら数珠を握っている稲垣乙さんがついてきている……異常な光景。山奥で土を掘って、人型のものを埋めている。胸につけられた写真の顔の部分には、大きく「15」と数字が書かれている。稲垣乙さんが何かを唱えている最中、男たちはどんどん土をかけていく
・1979年/8mmフィルム
意識のない女性が、大きな布の上に寝かされている。そして男たちはそれを布で包んでいく。傍らにはまた額に入った女性の写真。顔の部分には大きく「19」の文字。その作業を見守る米原さん。
・1982年/VHSテープ
布と縄でぐるぐる巻きにされた人型。布にはお経のような文字が。胸の部分には額縁に入った女性の写真。今度は顔に「26」と書かれている。埋めるための穴を掘る男たち。見守る米原さん。数珠を擦り何かを唱え続ける稲垣乙さん。
・1984年/VHSテープ
倉庫。人型。男達。米原さん。稲垣乙さん。
・1985年/VHSテープ
人型を縛る男達。胸元には写真。数字は「33」。顔には口口口口口、体にも星などの漢字。ポケットに手を突っ込んだまま斜めに様子を見る米原さん。外は雪。

・……………………これは地上波じゃ無理だな
・これがどういう意図をもって撮影されたかは不明、しかし稲垣乙さんの関係者が何かしらの必要があって記録した映像と思われる
・恐らくこれが「代理人」を用意して「処置」を行うということか……
・撮影者は必ず数字の書かれた女性の写真を記録している
・キラフさんが見つけた番号が振られた写真と、映像にあった写真が一致
・上田少年が池で拾った映像と、稲垣乙さんの遺品の映像の一つも、同じ場所で撮影されているように見える。数字も共に「17」
・この池は米原さんの自宅から15kmの位置、キラフさんが入った空き家は3km、どの場所もすごく近い
・現地取材をすることに
・※管理者に許可を得て放送しています
・空き家の中に入るスタッフ
・キラフさんが入った時と変わりないように見える
・例の引き出し、キラフさんが元に戻したという写真は……無くなっている
・空き家の登記簿謄本を確認!当たり前なんだけどすごいちゃんとしてる
・……やっぱり、持ち主は米原さんでしたか
・キラフさんの映像でカットされていたシーン、「霊界物語」「新霊交思想の研究」「霊能秘博書」どれも霊能関係の本ばかり
・番号が振られていない写真、目隠しをされ、口から何かを吐き出している写真
・最初に思いつくのはやっぱりエクトプラズムですかね……
・フラッシュバックのように番号のついた写真、「処理」の映像、米原さんの「何体も処理してるんです」「35も」の音声が流れていく
・カメラを手に歩く、生前の米原さん
・ナレーション「番号が振られていない写真は姿がはっきりしている、この人がイシナガキクエさんなのかもしれない」
・稲垣乙さんの遺品から見つかった、米原さんの手紙

もう そこにはありませんでした。
追伸。■■■■■■■■■をご存知でしょうか?
稲垣様がもし無理であれば 今回は
そちらに処理を頼もうと思っていますが
信用できるかわかりません
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
稲垣様の見解をお聞きしたいです。
           米原 実次

・なぜ、一部を伏せたのか
・意味深に差し込まれる、池に何かを探しにいく男達、故米原宅を彷徨く人影、空き家の空っぽの引き出し
・キラフさん、米原さんが亡くなった瞬間を偶然映像に捉えてたのか……同じ日でしたもんね……
・映像は再び、スタッフが取材に行った空き家へ
・隣の空き家……お札がベタベタ貼られてる……?
・扉は閉まっているが窓は開いてる……侵入するスタッフ
・大量のお札。まるで何かを封じてるよう
・お札の貼られた骨壷、落ちたのか割れてしまっている
・中に何か紙のようなものが
・写真……
・スタッフロール
・「この番組はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません」




情報の整理

さて、では第4回の情報を整理していきましょう。内容の大半が箇条書きと被ってしまいますが、ご容赦ください。

・米原さんが自殺だったのか他殺だったのかは分からずじまい(警察発表は自殺となっている)
・スタッフは米原さんの自殺に懐疑的だった
・米原さんの「会いたい」という熱意を継いで捜索番組を開始した
・2024年5月10日、第2回放送日に匿名の方からのビデオ提供
・ビデオ内の米原さんの発言「キクエは もうこの世にいない」を受けて、番組側は捜索を打ち切る
・番組スタッフは米原さんが掲げていた住所を取材、そこは稲垣義一さん、ひいては稲垣乙さんの住所だった
・米原さんは稲垣乙さんに連絡を取っており「(イシナガキクエを)1体みつけた」「処置を頼みたい」「代理人はこちらで手配する」という旨の音声が残っていた
・2024年5月17日の放送後、稲垣乙さんの遺品を整理していた大量のビデオテープと8mmフィルムが届いた
・中身は米原さんと稲垣乙さん、そして協力者と思われる男性達が人間を布に巻き、何らかの儀式を行いながら葬る様子が写っていた。恐らくこれが米原さんが言っていた「処置」のことと思われる
・処置の方法は
 ①死体に布を巻く
 ②まじないと思われる文字を書き込む
 ③イシナガキクエと思われる顔に番号を書き込まれた写真を付ける
 ④まじないを唱えながら運ぶ(恐らくはお経の類)
 ⑤葬る(葬る方法は土葬でも水葬でも構わない)
・1975年の時点で「15」と書かれており、1985年の時点で「33」と書かれている。それだけの数、この儀式が行われてきたことがうかがえる
・付けられた写真はキラフさんが空き家で見つけた写真と同じもので、数字も一致していた
・上田少年のビデオの池、空き家はいずれも米原さん宅から近く、空き家の所有者は米原さんだった
・空き家からは多数の心霊に関わる本が見つかっている
・番号が振られていない写真に写った、煙を吐いている女性、番組側はこの人がイシナガキクエさんではないかと考えている
・米原さんが稲垣乙さんに宛てた手紙。「何かが無くなっている」「稲垣乙さんが無理な場合、(伏せ字)に処理を頼もうと思っているが、信頼できるか分からない」「稲垣乙さんの見解を聞きたい」
・キラフさんは偶然、米原さんが燃える様子をカメラに捉えていた
・空き家には別邸があり、そこには多数のお札が貼られていた
・お札が貼られた骨壷があり、中には遺骨と写真、米原さんとイシナガキクエさんと思われる2人の写真が入っていた


考察、の前に前提条件の掲示

今回はだいぶ作品外の引用が多く、ホラーとしての雰囲気が損なわれる可能性があります。ご了承の上、お読みいただければと思います。

考察を行うにあたって、幾つか私の考察における方針を掲げておきたいと思います。
①イシナガキクエさんはもともとは怪異などではなく普通の女性だった。
②稲垣乙さんは米原さんを騙そうとはしていなかった。
③稲垣義一さんは番組スタッフ側に協力的である。
④番組側は視聴者に対して虚偽の情報を流していない。

まず、「①イシナガキクエさんはもともとは怪異などではなく普通の女性だった」について。早速ですが、記事冒頭に貼ったインタビュー記事を引用させていただきます。

――いよいよ最終回となる(4)が配信となったわけですが、結局、作中における“イシナガキクエ”とは何者だったのでしょうか。

大森「(4)では、彼女が本当に普通の女性だったんだなということが分かると思います。でも、“怪談”が発生する過程と同じで、普通の女性にいろんなことが乗っかって、呪いや霊として扱われるようになってしまうという」

近藤「描き方として、そこまではっきりとは明示していない気もしますけど。でも一応そうであったのだろうということが示されますし、僕らが想定している“イシナガキクエ”像は普通の女性だと思います」

「イシナガキクエを実体化する実験のようだった」考察を生んだ“正体”は? 大森時生×近藤亮太が明かす「TXQ FICTION」の舞台裏

大森さん、近藤さんのインタビューで「僕らが想定している"イシナガキクエ"像は普通の女性だと思う」「普通の女性にいろんなことが乗っかって、呪いや霊として扱われるようになってしまうという」という発言がありました。

自分もここについては(3)までの情報で「元々は普通の女性だったのではないか」と考えていたので、そこは外れていなかったようです。

逆に自分の考察と異なっていたのが、イシナガキクエさんを肉体的にバラバラにしたのではないか、というあたり。まぁ、このあたりは完全に想像だったので違って当然、という感じですね。考察の根拠としては、米原さんはイシナガキクエが複数いることは認識しているが、その総数を米原さんも把握できていなかった、というところからたどり着いた考察でした。

ですが、依然としてイシナガキクエさんに何が起きたのか、ということは明確になってはいません。そちらの考察は後ほど行っていきましょう。

あ、いつの間にか自然と書き分けていましたが、この記事では怪異になる前の彼女を「イシナガキクエさん」怪異になってしまった彼女を「イシナガキクエ」として書き分けたいと思います。


次に、「②稲垣乙さんは米原さんを騙そうとはしていなかった」について。ネット上のいくつかの考察では「米原さんは稲垣乙さんやその周りの人間に騙されていた」とするものがありましたが、私は、稲垣乙さんはあくまで、米原さんの力になっていただけ、と考えています。最初は私のそうであってほしい、という願望でしたが、こちらのインタビューを読んで自分の考えはそんなに外れていないのかな、と思っています。

近藤「気軽に『結局、人間が一番怖いですよね』とか言われない、“怖いもの”の存在を信じられる世の中にしていくための一助になればいいなという気持ちで、ホラーを作っています。そのためには想像力を刺激するような、リアルな作品を作らなければいけません。映画、テレビ、YouTubeとそれぞれのフィールドの強みを生かしながら、怖い映像を作っていきたいですね」

「イシナガキクエを実体化する実験のようだった」考察を生んだ“正体”は? 大森時生×近藤亮太が明かす「TXQ FICTION」の舞台裏


また、上記と同様の理由から「③稲垣義一さんは番組スタッフ側に協力的である」というところも自分は考えています。ですが、実は稲垣義一さんのインタビューシーンにはいくつか不可解なところがあります。
・スタッフにお一人で住んでいるんですか?と聞かれて「一人っていうか、まあ、ひとりです」と濁したような受け答えをしている
・玄関に女性ものと思われる傘がある
・冷蔵庫のドアにキャラ物のシールが貼ってあったり、子供がいるのではないかと思われる家具がいくつか写り込んでいる
と、この様に「本当に独り暮らし?」と思うような描写がされているのです。もし妻子がいるのであれば、なぜ伏せたのか?という点が引っかかります。
しかし、稲垣義一さんに後ろ暗いところがあるのであれば、電話の録音テープをスタッフに渡したり、あとからわざわざ乙さんの遺品を整理して、ビデオテープや8mmフィルム、手紙などを送ってくれるのは矛盾しています。
若干すっきりしないですが、「あくまで稲垣義一さんには後ろ暗いところは無く、番組スタッフ側に協力的である」という点は疑わずに進めたいと思います。

この辺りの部分、良い考察をお持ちの方コメントお待ちしております。


次に「④番組側は視聴者に対して虚偽の情報を流していない」こちらについてです。実は稲垣義一さんの取材シーンでもう一つ、気になる点が挙げられています。それは「雪が降っている」というもの。ここから、「本当に取材日は2024年5月12日なのか?」という疑問が挙がっており、ひいては「番組スタッフ側は視聴者に情報を隠しているのではないか?」という説が出ております。
こちらに関して私は「もし、番組側が視聴者側に虚偽の情報を流していたとすれば、どれを信じてどれを疑えばいいか、の信憑性がなくなってしまう」として、この可能性をあえて除外しました。

(5/31追記)
どうやら5月12日付近に本当に群馬で雪が降っていたらしく、この件に関しては濡れ衣だったようです。(Mr.Sさん情報提供ありがとうございます!)


①イシナガキクエさんはもともとは怪異などではなく普通の女性だった。
②稲垣乙さんは米原さんを騙そうとはしていなかった。
③稲垣義一さんは番組スタッフ側に協力的である。
④番組側は視聴者に対して虚偽の情報を流していない。

こちらの記事では、上記4つを前提として考察を進め行きたいと思います。まぁ、そもそもこの前提が間違っていたら元の木阿弥なのですが……あくまで、こちら一考察にすぎないと思っていただければ幸いです。
これはかなり登場人物たちの善性を信じた形の考察になります。現実の事象に対してこういう考え方をすると簡単に詐欺に騙されたりしますので、マネしないようにしてくださいね。
(2)の考察の時にも書きましたが、自分はモキュメンタリーのことを「大人の本気のごっこ遊び」だと思っています。あくまで番組が提示してくれたものを素直に飲み込もうとした結果、私がどのような結論に至ったか、ということでひとつ、よろしくお願いします。


最後の考察、メタ視点を添えて

さて、まずイシナガキクエさんに何が起こったのか、です。

わかったのは、番号の無い写真から、何者かがイシナガキクエさんに対して何かしらの儀式の様なものを行ったことです。それは生前の彼女に対してなのか、亡くなってしまった彼女に対してなのかはわかりません。
番号の無い写真に写っている女性がイシナガキクエさんである確証はありませんが、この記事では「あれはイシナガキクエさんである」として進めていきたいと思います。

この儀式に関しては、想像するしかありません。目隠しをされ、口から煙のようなものを吐き出すイシナガキクエさん。これはいったい何を行っているときに撮られたものなのでしょう。

これはあくまで私の考えですが、イシナガキクエさんは儀式の前に既に亡くなっていて、どうしても彼女のことを諦めきれない米原さんが、イシナガキクエさんの霊と交信しようとしたのではないでしょうか。根拠は空き家にあった大量の心霊関係の本です。「霊界物語」「新霊交思想の研究」「霊能秘博書」これらの本は米原さんが、藁にもすがる思いでイシナガキクエさんの霊と交信する方法を模索した結果なのではないかと自分は考えています。

そして、その結果何が起きたのか。恐らく以下のことが起きたと思われます。
・イシナガキクエさんという存在は怪異化してしまった
・イシナガキクエは数多の存在に分割されてしまった(その数、少なくとも35以上)
・イシナガキクエは存在したままではいけない「処置」をしなければいけない存在になってしまった

米原さんがなぜイシナガキクエを探し続けることになったのか、それはこの時犯してしまった過ちの責任を取るため、だったのかもしれません。

この儀式が行われたのが、おそらく1969年、米原さんが「イシナガキクエさんが居なくなった」と捜索を開始した年だと思われます。

儀式を行った時、またはそのすぐ後、米原さんは「イシナガキクエが総数のわからない複数の存在になってしまった」ということを認識していたのではないかと思います。でなければ1体見つけた時点で捜索を終了するはずですし、総数が分かっていれば終わりの宛てなく探し続けることもなかったはずです。


では次に、「処置」とはどのようなことなのか。

まず、イシナガキクエを見つけねば話になりません。捜索を人に頼ったりしているということは、どうやら肉眼で認識可能なようです。しかし、その存在はずいぶん不安定なようで、写真に収められたイシナガキクエはどれも輪郭がぼやけ、明らかに普通の人間の映り方ではありません。

これもあくまで私の想像なのですが、現在までに見つかっているすべてのイシナガキクエが写真に収められていることから、イシナガキクエを捉えるには「写真にとること」が必須なのではないでしょうか。処置の儀式にも必ず写真が使われていることから、その可能性が高いのではないかとおもっています。

イシナガキクエを捉えることに成功したら、次に「代理人」の手配です。ここから事件性が一気に高くなってきます。なにせ、どう見ても「代理人」は映像では死体となっています。この代理人の手配にどのようなことが行われたのか、考えるだけで恐ろしいです。
もしかしたら人をさらってきて殺害していたのかもしれません。もしかしたらすでに亡くなっている死体をどこからか調達してきていたのかもしれません。いずれにしろ殺人罪、または死体遺棄です。ですが、米原さんはそれを行った。自身の目的、イシナガキクエを処理するために。それほどのリスクを背負っても米原さんにとってやり遂げなければならないことだったのでしょう。

不幸中の幸いか、米原さんには協力者がいました。それが稲垣乙さん、そして乙さんの関係者と思われる男たちです。1975年の時点で「15」と書かれていた映像が残っていましたが、もしかしたらこれよりも前から稲垣乙さん達は米原さんに協力していたのかもしれません。映像は1975年の「15」から1985年の「33」まで、10年にわたって、処理が続けられていたことがうかがえます。それだけ米原さんと稲垣乙さん達は長い付き合いだったのでしょう。その関係は依頼人と請負人の関係だったのでしょうか。人間の死体を遺棄するようなリスクのある仕事です。仮に稲垣乙さんが世のために無償で請け負っていたとしても、作業を手伝っていた男たちも無償でこのようなことに手を貸していたでしょうか。きっとそれなりの金額が支払われていたのではないかと推測します。しかも処理は1度や2度ではありません、米原さんの支払った額は相当な額と思われます。本当に米原さんはイシナガキクエの処理に人生をかけていたのではないでしょうか。

閑話休題、イシナガキクエの処理の話に戻りましょう。代理人の手配が終わった後は、先ほどまとめた手順に従って処理が行われていきます。

 ①死体に布を巻く
 ②まじないと思われる文字を書き込む
 ③イシナガキクエと思われる顔に番号を書き込まれた写真を付ける
 ④まじないを唱えながら運ぶ(恐らくはお経の類)
 ⑤葬る(葬る方法は土葬でも水葬でも構わない)

②のまじないについて、とても詳しい資料が見つかっています。急にメタな話になって恐縮ですが、こちらです。

ものすごいリアリティです。持ち上げた写真にいたっては本当に人が入っていそう……。フェイクドキュメンタリーはこのような方々の努力で作られているのだなぁと感心しきりです。ほかの造形写真の拝見しましたが無茶苦茶よく出来てて怖かったです。

話がずれました。メタとオカルトを反復横跳びして申し訳ないのですが、ありがたいことに書かれている文字が分かりやすくなっています。どうやら、「星鬼喼急如律令」と書かれており、こちらの意味を調べてみると「鬼」が悪しきものの総称、「喼急如律令」が直ちに○○しろ的な意味になり、総じて「星のもとに命ずる悪しきものよ直ちに立ち去れ」といった意味になるようです。

ここまでの情報をまとめ、その上で想像すると、「処理」とは以下のように行われていたのではないでしょうか。

①悪霊と化したイシナガキクエを写真に収めることで捕らえる
②捕らえたイシナガキクエを代理人に憑依させる
③代理人を布で包み「星鬼喼急如律令」などのまじないをする。
④まじないを唱えながら運び、葬る

以上が、私の想像する「処理」の全貌です。


(5/31追記)Twitterで以下ご指摘いただきました。

たしかにその通りです。写真はどう見てもエクトプラズムでした。「エクトプラズム」とは、霊能力者が口や鼻から出す"半物質(エネルギー状のモノ)"のことで、これを利用することで本来この世に干渉できない霊が、それを介することで干渉できるようになる、とのことで、エクトプラズムという媒介、アンテナを使うと、本来物理的には干渉できなかった霊が干渉できるようになるらしいのです。(その結果、ポルターガイスト現象などが起こる)
つまりエクトプラズムとは生きている霊能力者の方が意図的に出すもの、ということになります。なので、座っている女性がイシナガキクエさんである。という番組スタッフの見解は間違っている可能性が。
では、こちらの方は誰なのか。
ここからは完全に私の想像、推測になりますが、この座っている方は若き日の稲垣乙さんの可能性はないでしょうか。つまり、こうです。
稲垣乙さんがエクトプラズムを出す
⇒霊に干渉できるようになる
⇒代理人の体に発見したイシナガキクエを憑依させる
⇒「処置」に進む
つまり、この写真は処置に入る前段階の手順の際に撮られた写真ではないでしょうか。
そして、この写真より前に、全く別の事象でイシナガキクエさんは怪異化し、分裂し、処置が必要な状態になってしまったのではないか。あくまで想像にすぎませんがこのような流れかもしれないと思いました。
(Mr.Sさん情報提供ありがとうございました!)(追記ここまで)



さて、この様にして、米原さんや稲垣乙さん、およびその協力者たちによって、1987年までに35体ものイシナガキクエが発見され、処理をされていきました。もうこれ以上見つからないでほしい、その思いから米原さんは人探し番組に出演したのでしょう。

しかし、1990年以降にも新たなイシナガキクエがみつかり、米原さんは稲垣乙さんに連絡をしています。「代理人はこちらで手配する、いつものように処理を頼みたい」と。

この辺りから不穏な影が見え始めます。もともと不穏な話だらけですが、さらに輪をかけて不穏な影が。それがこの、米原さんが稲垣乙さんに宛てた手紙です。

もう そこにはありませんでした。
追伸。■■■■■■■■■をご存知でしょうか?
稲垣様がもし無理であれば 今回は
そちらに処理を頼もうと思っていますが
信用できるかわかりません
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
稲垣様の見解をお聞きしたいです。
           米原 実次

「もう そこにはありませんでした」とはいったい何を指しているのでしょうか。そちらも気になりますが、さらに気になるのが、この部分。

「追伸。■■■■■■■■■をご存知でしょうか? 稲垣様がもし無理であれば 今回はそちらに処理を頼もうと思っていますが信用できるかわかりません」

稲垣乙さんもこの時点でかなりの御年のはず、処理は困難だったのではないでしょうか。そこで、米原さんはイシナガキクエの処理を、どこかの新たな団体に頼もうとしていたように見えます。しかし、信用に値するかが分からず、稲垣乙さんに見解を求めていたようです。

ここからは私の想像になりますが、背に腹は代えられずで米原さんはこの伏字にされている団体にイシナガキクエの処理を頼んだのではないでしょうか。そして、

そこで何かトラブルがあった。

石田少年の映像に写っていた男たち。
米原さんが亡くなった後、米原さんの家に入り込んでいた何者か。
キラフさんが元に戻したといっていた写真を回収した誰か。

これらは■■■■■■■■■に所属するものによるものではないでしょうか。


なぜ、米原さんは焼身自殺をしたのでしょうか。

自責の念?今更になって?自殺するならほかの方法もあるはずです。

本当に自殺だったのでしょうか。

現場の映像には布が焼け焦げたような跡が残っていました。

服というよりはまるで「処理」の時にまかれていた布のような。

もしかしたら葬りさえできれば「火葬」でも構わないのかも……



ここまで来ると、どこまで行っても推測の域を出ません。



推測ついでに最後にもう一つだけ好き勝手な推測をしたいと思います。

米原さんが番組スタッフが一度目の取材のときに見せてくれたアルバム。その中には円形に写真が貼られた不自然なページがありました。

まるで中央にもう一つ横向きの写真があったような。

きっとそれはあの骨壺に入れられていた写真だったのではないかと。

アルバムの一番いい場所に貼られていた、お気に入りであろう写真。なぜ、その写真を骨壺の中に入れたのか。

イシナガキクエを処理する際、写真を依り代としていました。もしかしたらそれと同様に、生前の彼女の写真を骨壺に入れ、封をし、建物ごとお札で封印することで、生前の彼女を閉じ込めておきたかったのではないか……と私は思いました。


だいぶとっ散らかってしまいましたが、4回にもわたった考察記事もそろそろ終わりにしたいと思います。ありがたいことに、初めて考察記事を書いたにもかかわらずたくさんの人に読んでいただきました。本当にありがとうございます。最後に、インタビュー内で寺内監督が、「イシナガキクエを探しています」でたどり着いた結末をどのような物語と表現するか、と質問された際の回答を引用して、この記事を終わりたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




寺内「元々の構想は、イシナガキクエと米原実次という2人の関係性がなんだったのか、というテーマにあたたかな要素を入れようというものでした。『祓除』のラストもですけど、ホラーってどうしても嫌な終わり方が多くて…もうああいうのに疲れたっていうか(笑)。僕なりに『イシナガキクエ』の結末を簡単に表現すると、『変な男のとんでもない衝動の物語。絶対に共感はできないけれど、一生懸命に生きた証』という感じでしょうか。僕は米原という男の物語だと思っています」

「イシナガキクエ」は“懸命に生きた男の物語”。寺内康太郎×皆口大地が語る、「Q」から「TXQ FICTION」への道のり

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