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自分のために何かをしてもらったら「ありがとう」と言うのは普通のことだよね

前回、挨拶は理屈じゃないというお話をさせていただきました。

他にも私達が普段よく使う「ありがとう」という⾔葉がありますが、これも挨拶と同じで理由とか理屈はいらなくないですか︖
⾃分のために何かをしてもらったら「ありがとう」というのは普通だと思うのですが。

してもらうことが当たり前なら「ありがとう」はいらない︖

昔、新聞に載っていたコラムで⼩説家の『堀⽥あけみ』さんのこんな話が紹介されていました。

堀田さんの次男は障害者であるため、その⺟親である⾃分には障害者⽀援に関する講演依頼が多いそうですが、その中で堀⽥さんが話した内容に主催者からクレームがついたそうです。

私は⾔葉の遅い次男が、ようやく⾔葉を⼝にしたとき、まず「ありがとう」と「ごめんなさい」を教えたという話をしたのだが、それは障害者が⾔ってはならない⾔葉なのだそうだ。助けてもらって当然だから、感謝はいらない。迷惑をかけるのも、好きでそうしている訳ではないから、謝罪はいらない。と。

堀⽥さんはこの説明には今も納得していない。とのことでしたが、私もちょっと⾸をかしげたくなるような話だと思いました。

よくスーパーや飲⾷店の店員に対して横柄な態度を取る客っていますよね。
⾦を払ってるんだからサービス受けるのは当然だろみたいな。

ビジネスであれば、こちらがお⾦を払って相⼿がサービスを実⾏するのは契約⾏為という意味では当然なんだけど、それはこの社会の事を全部⾃分で出来るわけないからお⾦を払ってお願いしてるんだと思います。

だから契約行為であっても、自分のために何かしてくれたら、実際に言葉にするかどうかは別にしても、感謝の態度は持つべきだと思うのですが。

先の障害者団体の⽅の話でも、障害者であることを後ろめたく思う必要はさらさらないんだけど、⾃分のためにしてもらったことに「ありがとう」というのは人として普通のことじゃないでしょうか。

なにげない「ありがとう」でも⼼はなごむ

ちょっと自慢話っぽくなって恐縮ですが、私が⾼校卒業後に就職した会社を転職で辞める(もう30年以上も前の)ことになり、みなさんが送別会を開いてくれた時の事です。

会の終わりに皆さんが⼀⾔づつ私にメッセージをくれた際に、その年の新卒社員の⼥の⼦が「FAXを持って⾏ったときに、いつも”ありがとう”と⾔って受け取ってくれたことが嬉しかったです」と⾔われて驚いたことがありました。

その⼦によると、会社に届くFAXを定期的に該当者のデスクまで持っていくのが、新⼊社員の仕事になっていて、他の⼈はFAXを届けてもチラッとこちらを⾒るだけで無⾔で受け取る⼈が多かったそう。

新卒社員は教えてもらうことばかりですから、先輩社員からお礼を⾔われる場⾯はほとんどないでしょう。ですからこんな些細なことでも誰かの役に⽴ってお礼を⾔われたことが嬉しかったのかもしれません。

私は正直それほど意識して「ありがとう」と⾔ってた訳ではないのですが、こんな感謝の⾔葉を頂いたこちらこそ感謝です。という気持ちになりました。

ありがとうの一言で誰かの役に立っていると実感できる

結局この世の中は、自分で出来ない事を誰かに頼み、自分が出来ることをしてあげるというお互い様で成り立っています。

だからしてもらうことは当然。ではなくて、「ありがとう」の⼀⾔で誰かの役に⽴てたんだと思ってもらえるなら、使う方がお互い気持ちいい気がします。

コラムで堀田さんはこう締めていました。

全てを思い通りにできる⼈はいない。譲り合い、折り合い、諦め、感謝して⼈は⽣きていく。それは障害の有無に関係なく。

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