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「100年くらい前の本づくり」展@市谷の杜本と活字館

木戸先生の解説に惹かれ、上記の展示に行ってきた。大正15年に建てられた大日本印刷の営業所を回収した市谷の杜本と活字館の訪問も、コロナで延び延びになってしまっていて、今回が実ははじめて。市ヶ谷の駅から防衛省方面にむかって坂を上り、日本学生支援機構(JASSO)ってこんなところにあったのか!と驚き、そうこうしているうちに現地にたどり着いた。

完全予約制で、平日都内に非常勤に出た帰りに寄ったため、人は少なく静かにゆっくり展示を鑑賞できた。

1階は活字の作字・鋳造・文選・植字までの流れを、当時の職人さんたちの映像も交えて追っていた。印刷・製本の道具も展示され、本が出来るまでの流れを学ぶことができる。この辺は学生を連れてぜひ見に行きたい。

2階が展示室で、お目当ての展示会が行われている。来館者が少なくて余裕があったのか、スタッフの方が丁寧に解説をしてくれた。

とくに、日本に伝わった西洋の製本術に関して、お雇い外国人のパターソンという人が製本師として伝えた洋式製本の技術が広がっていくさまが、いろいろ紹介されていた。大日本印刷の前身である秀英舎で印刷された『改正西国立志編』の綴じ方をめぐる様々な考察が興味深かった(製本した人によって同じ本なのに厚さが大幅に違ってくるという展示など、面白かった)。

洋装本の需要にこたえるためどんどん簡易な製本が作られていくということも勉強になった。

その後、明治から大正にかけての製本、円本の製本方法などについても解説がなされていて、いずれも興味深く拝見した。巨大なパネルに展示されていた製本史に関する年表もたいへんな労作だと思った。

展示会は7月までやっているそうなので、図書館史や出版史関係の方、訪れてみてはいかがだろうか。


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