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しゅわっとする日々 Fと私

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。


こんにちは、松竹梅です。よろしくおねがいします。

先日ディープな街、寝屋川を散策していたらうっかり道に迷ってしまって見知らぬ通りに出ました。

そしてその雑然とした通りにひときわ異彩を放つ店がありました。その店を仮に「D」とします。なんとその「D」のおもてには大きくド◯ッグ(!)の文字が。さすが寝屋川、あまりのヤバさに震えましたが、好奇心には抗えずおもわず「D」の店内へすいこまれてしまいました。

店内の様子はあまりのヤバさに詳しく書けないのですが、いろんなブツが雑多に並ぶ店内を奥にすすんでいくとその一角に目が止まりました。
そこにはキッチュなデザインの小袋がいくつも並んでて、なかには若い人が好きそうなキャラクターが描かれた物などもあり、それが逆にヤバさを醸してました。

それらはどうやら「F」と呼ばれているようです。店の外にド◯ッグと書かれていたからにはおそらくこれらも…。
あまりのヤバさに目眩をおぼえましたが、好奇心には抗えず「F」の中でも特にヤバそうな「おとなのF」を手にレジへ。末端価格は実に100円程度とその安さにもヤバさを感じました。

そして人目をはばかりなんとか帰宅。幸いにというか、両親は前日から数日家を空けていました。
さっそく「おとなのF」の説明書きを読んでみると、たどたどしい日本語で白ごはんといっしょにキメろみたいなことが書いてありました。

ごはんは三合炊きの炊飯器にいっぱいに炊いてあったので、おそるおそる「おとなのF」の袋をやぶってみたら中から小さなパケがいくつか出てきて、あ、これは本当にヤバいやつだと直感的にわかりました。
しかし、ごはんも炊けてるし、好奇心には抗えず、ごはんを茶碗によそいパケを開封してみたところ、中には緑の粒やどす黒い紙片みたいのや茶色い欠片などがいわゆるカクテルになって入ってて、あまりのヤバさに血の気が失せました。

それで思いとどまるなら今かなとも思ったのですが、ごはんもよそったことだし好奇心には抗えず一口だけキメてみようと思い「おとなのF」をごはんの上にばらまいてみたら白ごはんがやたらサイケな感じになって見てるだけでくらくらしました。

ですが、ほかほかごはんとひとつになった「おとなのF」はどこか懐かしさを感じさせる芳香を放っており見ようによってはおいしそうに見えてきて、なによりごはん粒は大切にしないといけないという思いから意を決して一口摂取してみたら、なんとこれがえもいわれぬおいしさでほどよい塩気や香ばしい風味があって何やらえたいの知れないうまみみたいのも押しよせてきて、食感もさくさく楽しく、どこからか荘厳な鐘の音もきこえてきて、頭の片隅ではヤバいとわかってるんですけど完全に理性のたががはずれたかんじでおさえがきかず気がつけば炊飯器も空に。
「おとなのF」もひと袋全部摂取してしまってて、ヤバいと思いました。脳裏に「致死量」という文字がうかびました。

そしたら、これはダウナー系のブツだったのか急激に眠気が襲ってきて、ヤバいこのまま寝たら死ぬと思ったんですけど睡魔には勝てず失神するように眠ってしまいました。
意識が飛ぶ前に両親のこと、そして死んだら新聞にのるのかななどと意外なほど冷静に考えていたことを覚えてます。
で結局死ななかったんですけど、どうやら10時間以上気を失ってたみたいです。

というわけで「F」を知ってしまいもうただの白ごはんでは満足できない身体になってしまって、頭の中は常に「F」でいっぱいです。
今では足繁く「D」にかよい「F」にかせぎの大半をつぎこんでます。ベルトの穴がふたつずれるという恐ろしい幻覚も見るようになりました。街でおまわりさんとすれちがうたびビクビクしてる毎日です。

追記:以上の文章をネフネののは〜るさんにみてもらったところ、「Fの中ではYがすごいキマりますよ」と軽くおすすめされてしまいました。「F」からは当分抜けられそうにありません。

【今回の執筆担当者】
松竹梅/好きな食べ物は麺類と鍋もの、好きなチューハイはキリン本搾りレモン。幸せになりたいです。

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