カットモデルという練習台
いよいよ髪の毛が長くなってきたので、ニートはなんとか金をかけずに髪を切りたい。
ふと、若い頃よくやっていたカットモデルのバイトを思い出した。
あの頃は若くてしかも痩せていたので、ヘアショーのモデルをやって小遣いをもらっていたけれども、たしか、新人さんの練習台は無料で切ったり染めたりパーマをあてたりしていた気がするな・・・
と思い、グーグル先生に聞いてみた。
本当に便利な世の中である。
いくつかカットモデル募集のサイトを見つけた。
年齢制限のない練習案件を探し、数件メールしてみた。
すぐに返事が来たものが、
なんと、ポイントストレートパーマとカットをやってくれるというのだ。
こんなうまい話があるものかと若干不安になったが、新人の練習台になり、髪も切ってもらえてなおかつコンプレックスである顔まわりのくせ毛も真っ直ぐにしてもらえる。
ありがたい話だ。
早速連絡を取り、美容院のホームページを確認してみた。
美容師はカット担当になりたての若いお兄ちゃんだ。
自己紹介がやたら長い。
不器用さについてやたら強調してある。
不安を感じる。
しかし、一生懸命さは伝わる。
ただで髪をキレイにしてもらい、一生懸命で不器用なお兄ちゃんが美容師として成長するならまあいいか。。。と思い、夜更けに美容室へ。
美容室は表参道で、それはそれはおしゃれなところにあった。
受付に声をかけ営業終了を待つ。
担当のお兄ちゃんがお客さんの髪を切っているのを確認。
・・・そして予定時間より30分ほど待たされた。
確かに不器用さを感じる。
お兄ちゃんはいい人だった。
客ではない私に「お飲み物お出しします!」と、希望を聞いてくれた。
そして暖かいお茶を頼んだら、しばらく戻ってこなかった。
・・・まさかお茶がなくて焦っているのでは・・・
と思って気長に待っていると、
「すみません・・・あったかいお茶がなくて」
と、氷の入った紅茶らしきものを持ってきてくれた。
氷は余計だと思いつつも、
「大丈夫ですよ、いただきます」
とお茶を口にはこんでみると、
!?
・・・水割りの味がする・・・
念のためこっそり匂いも嗅いでみる。ウィスキーのかおりが辺りに漂う。
まさかこいつ・・・、天然のふりして、わざとか・・・?
と一瞬疑ったものの、
ご丁寧にその水割りには砂糖とミルクが添えられている。
これは・・・完全にドジっ子だ・・・とより一層不安になりつつも、
覚悟を決めてカットを依頼。
「ご希望の髪型にできるだけ近づけます!」
と、やる気十分の兄ちゃん。
がんばれ・・・がんばれ・・・
あんまり見ているのもなんなので、普段読まない雑誌をパラパラめくりながらじっと待機。
丁寧なのか、のろいのか、ムッチャゆっくりカットを進めるお兄ちゃん。
一生懸命さは伝わってくる。
「洗い流して、整えたら終わりです〜」
と声をかけられ、
ドライヤーを当てた後、ちょっとだけ髪をいじるお兄ちゃん。
まるでまだ曲げが結えない新進気鋭の大卒力士のような、ざんばらヘアのまま、なぜかセットを始める。
もうちょっとすいてもいいのでは・・・?
と思ったが、郷に入っては郷に従おうと思い、様子を伺う。
するとお兄ちゃんはなぜか頼んでいない外巻きカールをせっせと作り始めた。
「これって本当美容師にとっては簡単なんですよ〜外巻きって、切り揃えると自然になるんで・・・」
へえ・・・と話しつつ、あれ、わたし外巻き希望したっけ?と困惑するものの、見事な外巻きガールが誕生した。
確かに、流行りの髪型にしてくださいと言ってしまったような気がするが、
これは、流行っているのか・・・?
かくして、
限りなく、やつに近い三十路が誕生したのである。
これからは毎日、出勤前の夫になぞなぞを出すしかない。
おしまい。
※今回はニー妻日記はてな版を改定してお送りしております。明日からはあたらしい日記書くぞ〜
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