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『虎に翼』

あの人たちは漢(おとこ)だ。俺が漢の美徳と思っていた強さ優しさをあの人たちは持っている。俺が漢らしさと思っていたものは、そもそも男とは無縁のものだったのかもしれんな。

『虎に翼』19話 轟のセリフより

『虎に翼』に夢中だ。娘たちも録画して晩御飯を食べながら見ている。主人公の寅子が月経で苦しむシーンも凄かったと思うし、梅子の夫が学生たちの前で妻サゲで笑いをとり嫌な気分にさせられるシーンも。かと言えば甘味処に現れた帝大生(梅子の息子)を前に、明律大男子学生がスンとするところも。名シーンの連続である。

そして冒頭の轟のセリフである。『魁!!男塾』の冨樫源次を思い起こさせるオリジナルスタッシュの髭。何かと「漢!、男!!」を連発していた轟が、寅子たちと過ごすうちにたどり着いた境地。

男らしさや女らしさは、現実よりもむしろ社会の期待を反映したものだ。私たちはみんな社会の期待に合わせて行動する。

『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』カトリーン・マルサル(河手書房新社)

そもそも轟が漢らしさにこだわったのも、社会の期待に沿ったものだったのだろう。男はこのように振る舞えば潔く凛々しくカッコいい、男はこうあるべきという規範がかつてはあった‥‥。少なくとも『魁!!男塾』連載時までは、男は漢らしく生きることが求められた。今もそうなのだろうか?今は今で新しい男闘呼らしさの規範があるのかもしれない。
周りの期待に応える清々しい生き様。「それって男も女も関係なくない?」

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