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言葉が遮る「ありのまま」

 以前にちょっと別のところで書いたこともあるのだが、私はある種のワークショップなどでは不可欠のものである、「あなたが感じたことをそのまま飾らず、ありのままに皆さんの前で語ってみてください」的な時間がものすごく苦手である。「感じたこと」は定義により「感覚」なのであるから言語ではないし、それを「語って」みよというのであれば、望むと望まざるとにかかわらず、その際に脚色が入りこむことは避けられない。

 要するに、私としては「感じたことをありのままに語るなんてことはそもそも不可能なんじゃないか」と考えるからこそ口ごもっているのだが、そうすると(ある種の場にはたいていいらっしゃる)親切な方々が、「本当に感じていることを口にするって大変なことですよね。でも、ここではそういうブロックをゆっくりと外していきましょう」とか、(私からすれば)わけのわからないことを(おそらくは善意で)言ってくれる。

「いや、別に難しいことを考える必要はなくて、頭に浮かんできたことを、本当にそのまま言ってくれればいいんですよ。それがあなたの『ありのまま』なんだから」みたいなことを言われることもあるのだが、私が実際にそれをやったら、

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