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精神的にも物質的にも、ひとたび上質を知ると、もう昔には戻れない

 時節柄のいろいろで好きな店のコーヒー豆がしばらく入手できないことになり、代用のものを買ってはみたが、これならインスタントでもたいして変わらないというクオリティで、仕方がないからここしばらくはネスカフェゴールドブレンドなどを飲んでいる。

 上掲のツイートのようなことは本当によくあって、映画やアニメなどの映像作品でも、上手いものは当たり前のように視聴者の注意関心を惹き続けるから、最初から最後まで「普通に見られる」のはまさに「自然」なことであって、それが凄いことだと殊更に意識させられるような機会すらない。だが、そのような一流の仕事だけを目にする期間が続いた後に、下手な三流作品にたまたま接する機会があると、そのあまりの出来の悪さに驚いてしまうことになる。五分も続けて見ているとバカバカしくなってきて、これまで見てきた一流の作品たちが、私たちに自然と我を忘れさせ画面に集中させてくれたことは、「当たり前」でもなんでもなくて、まさに優れた技術と才能の賜物であったということに気づくわけだ。

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