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考えることと学ぶことは、当たり前に両立する

 かなり長いことお休みをいただきましたが、今日からまた、noteエントリ(マガジン)の定期更新を再開します。おかげさまで本務のほうはそれなりに忙しく、加えて酷暑に悩まされる日々でもありますが、それはどなたでも同じことなので、いつまでもさぼっているわけにはまいりません。

 さて、この長期休暇のあいだにも、折にふれて様々な問題について考える機会があったのですが、その過程で改めて強く認識したことは、己が直面している問題について原理原則から出発して自律的に思考を進め、そして妥当な結論を導くという営みの重要性でした。これを一部インターネット界隈ではたいへん評判の悪い表現を敢えて用いて簡潔に言い換えるなら、「自分の頭で考えることの大切さ」ということになります。

 もちろん、このように述べると一部の治安の悪いSNSなどでは、「あなたが思いつく程度のことは、既に先人が考えているに決まっているのだ」とか、「体系的に学ぶ機会ならば現代にはいくらでもあるのに、それに背を向けるのはナンセンスだ」とか、「巨人の肩に乗ることの便益を知らないのですか? そういえば、ナントカは歴史ではなく経験から学ぶそうですね」とか、まあそんなご批判を大量に受けることもあるらしいと仄聞します。しかし、私には正直なところ、この種の方々がいわれることがいまいち理解できません。その口ぶりから推測するに、どうも彼/女たちにとっては、「自分の頭で考えること」と「先人の形成した体系知を真摯に学ぶこと」は、相互排他的な2つのことだと把握されているように思われるのですが、私にとっては、両者は至極当然に両立すべきことであって、また普通に両立可能なことでもあると、理解されているからです。

 要するに、一部の人たちにとっては、「自分の頭で考えること」は、つまり「勉強をしないこと」であると観念されているらしいのですが、私からすれば、「いや、勉強はしますよ。当然でしょう。というか、勉強しないで自分の頭で考えることなんてできるわけがないと思いますが」という話になるわけですね。この発想は、私にとってあまりにも自然なものでしたから、当初は本当に上記のようなご批判をなさる方々の主張内容が理解できなくて、ずいぶん首をひねった記憶があります。

 たとえば、さきほど私は「原理原則から出発して」ということを書きましたけれど、現に直面している問題について採用すべき「原理原則」が何であるかということだって、あらかじめ当該の分野について一定の学習や訓練(先人の形成した知を吸収・把握すること)を行っておかないことには、当然ながらわからないわけです。「巨人の肩に登る必要がない」といっているのではなくて、「巨人の肩に登った上で、どの方向を眺めるかに関しては、自律的に考えることができるでしょう」という話をここでは述べているのだということ。もちろん、巨人の肩に登る過程にも創意工夫の余地はあるでしょうし(なにしろ巨人なのだから!)、またそのプロセスそのものが、登攀者に「肩の上で見たいもの」のイメージを、より明確に結ばせるということもあり得るでしょう。

 いずれにせよ、私にとって興味深かったのは、一部の日本の人たちにとっては、「既存の知識を学ぶこと」と「自分の頭で考えること」とが、上述のように、ごく自然なこととして(場合によっては、本人にそう意識されることすらないままに)相互排他的なものと捉えられているらしいということでした。これはひょっとしたら、かなり根深い問題の端緒かもしれないなあといったことも、お休みのあいだにつらつら考えていたところです。

 さて、そんな問題意識も懐きつつ、今月もnoteエントリの更新をしてゆきます。月~金曜日の週5回、必ずテクストの記事を新しく公開することは従来と同様ですが、ツイキャス放送に関しては、後述する Youtubeチャンネルとの関係で、原則として視聴パスつきの限定キャスのみを、2~3回やる予定でいます。この視聴パスは、以下のマガジンをご購読いただければ本エントリから取得できますし、また明日以降のnote記事には有料部分があることがほとんどですから、(エントリ単体での購読も可能なものの)とりわけ読みたい記事が複数ある場合には、マガジンを購読していただいたほうが、お得になることが多いかと思います。


 また、先月から Youtubeでのライブ放送も試行しておりまして、以下のチャンネルで時々話をしております。今月も、全体公開のトークは試験的にそちらでやってみるつもりですが、アーカイブの扱いについては、ツイキャスのほうにアップロードすること等を含めて、どうするか検討中です。ただ、放送回数自体は、おそらく総じて増えることになると思います。


 今月のエントリもしくはキャスで扱うテーマとしては、たとえば「瞑想と虚無感」や「人文学の性質」といったものが予定されていますが、それ以外にも、限定キャスにおいて回答を希望される質問や相談等があれば、従前どおり、ツイッターDMかグーグルフォームのほうにお送りください。対談のご提案等のメッセージも、もちろんお気軽に同じところへ。久しぶりなので色々と語りたいこともたまっていますが、あまり暑苦しくなりすぎないようにやってゆくつもりですので、よろしければ今月も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


※以下のマガジン有料エリアには、今月配信するツイキャス放送(録画)の視聴パスを記載しています。このパスで視聴可能な動画URLは、配信があるたびに、順次以下に追記してゆく予定です。

服のポケットとAI専制、申請と届出の違いなど
はむっちさんとの対談(英語学習と現実教、医クラ問題についてなど)
ストローマン人文学、「自分の頭で考えろ」問題など
信じることと騙されることの境界線
経験とペーパーテスト、とりあえず女子高生にやらせる風潮など
定義は大事だという話、百年後にはみんないない
「責任」は誰に対するものか?
原理原則から考えよう、知識人の「基礎体力」など
グローバル資本ご禁制雑談(2022年8月版)

 8月のツイキャス(録画)視聴パスが記されているのは本エントリのみであり、今月の他のエントリには有料部分にもパスの記載はございませんのでご注意くださいませ。

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2022年8月のエントリをまとめたもの。記事の有料部分は全て読める上、踏み込んだ内容を語るツイキャス放送(録画)の視聴パスも入ったお得なセットです!

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