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たまたま会った「いいやつ」に

近くに中国人がやって来たのでしばらく話す。宋明理学の話をしたが、現代中国では、それらはあまり人気がないらしい。たしかに、彼は禅にはとても興味があると言っていたのに、大慧宗杲のことを知らなかった。あのへんの思想はすごく面白いから、もうちょっと調べてみるといいよ、俺も中国語をもっと勉強するから、と言って別れる。

私は昔からなぜか「中国人運」には恵まれていて、彼らに関しては色々な評判を聞くけれども、私自身は中国人に嫌な目に遭わされたことが一度もない(他の国の人からは普通にあるので、とくに私の評価が甘いわけではないと思う)。もちろんただの偶然だろうし、だから「運」だと思うのだが、今回の彼も親切で穏やかな人柄だし、とりあえずは仲良くやれそうである。

たまたま会った人の人柄によって、その人の所属する国のことまで判断してしまうというのは、おそらくあまり意味のあることではないのだろうが、ついついやってしまうことでもある。私は中国政府がずいぶんひどいことをやっているのを知っているが、それでも中国人のことまでまとめて嫌いになる気にはなれないのは、結局のところ、自分がこれまで会ってきた中国人たちが、「嫌なやつ」ではなかったからだ。

逆に、たまたま会った人が「嫌なやつ」だったので、印象が悪くなった国というのも過去にはあったし、その印象が、同じ国の別の人の振る舞いによって、好転したこともある。

私の周囲には現在ほとんど日本人がいないので、私も周囲のミャンマー人をはじめとする外国人たちに似たような影響を与えてしまう可能性があるのだから、ちょっと気をつけねばならんなあと、また思った次第である。



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