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「対等」と言えばそれっぽい

 事務作業でドッタンバッタンおおさわぎの日々が続いていたが、明日あたりから、ようやく一息つけそうな気配である。10月に入っているのに日本はまだまだ日中は暑いそうで、ゆっくりと気候の変化に身体を慣らしてゆくことができればと思っている。

 ツイッターなどで一部の人たちがよく言いがちな「対等な関係」ということについてちょっとコメントしたけれども、私は昔から、このワードを使う人たちがイメージする「対等」ということの内実がよくわからない。言っているご本人たちにそれを訊いてみても、「対等は対等」とか、「普通わかるはず」とか、トートロジーじみたわけのわからない回答が返ってくることが大半なので、どうも彼/女たち自身も自分の言っていることの意味はよくわかっていないのではないかと、しばしば疑ってしまうこともある。

 そもそも人間というのは多様なものだし、自分と全く「同じ」能力や性向の相手であれば、あまり付き合う必要を感じないということも多い。むしろ自分とは異なる、同じものさしでは比べようがないような魅力や能力を発揮する人間にこそ、しばしば強く私たちは惹かれるものだ。

 たとえば高収入の人間と低収入の人間が結婚したとして、これを金銭収入だけをものさしとして評価するとすれば、「対等な関係ではない」ということになるだろう。そして、この観点のみから考えた場合、高収入の人間のほうが「不当な搾取」を受けているという理解になるのが当然であろうと思うが(もちろん、これを様々なアクロバティックな「論理」展開で否定する人たちがたくさんいるであろうことは知っている)、実際には私たちはそのように考えないことのほうが多い。関係の「対等」について評価するものさしは金銭収入のみには限られず、低収入の側は何かしら別のところで、相手にメリットを与えているのであろうと、私たちは当然に推測するからである。

 同様に、ある一つのものさしだけで判定すれば「対等でない」ように見える関係であっても、それ以外の面まで含めて全体的に観察してみると、世の中で成立しているたいていのカップルというのは、総合的には釣り合いが取れていると感じられることが大半である。そもそも現代日本は自由恋愛が基本の社会なのであるから、少なくとも当事者双方の主観として「釣り合いがとれている」と認識しなければなかなかカップルというのは成立しないものであるし、また同じく自由恋愛が原則なのであるから、関係ない第三者が自分の勝手な主観によって、「これは対等な関係ではない」と本人たちが満足している関係にいちゃもんをつける筋合いもないわけだ。

 以上のことを踏まえた上で、「対等な関係」というワードで盛んに主張をされている方々を眺めてみると、どうも彼/女たちは、1. 関係の「対等」を判定する基準を己に都合のよいものだけに恣意的に限定した上で、2. 自分とは無関係のカップルについて勝手に「対等でない」といちゃもんをつけている、という 2点において、実に無思慮かつ傲慢な振る舞いをしているように思われる。

 もちろん、彼/女たちのこうした振る舞いも、常々ここでも述べている「事実」に見せかけて「規範」を語るという仕方の典型的なものであって、単に自身の価値基準を他人に押しつけたいという主観的な願望を、「対等」という客観的な装いのある言葉で潤色しているだけなのだろうから、そうした人々が無思慮で傲慢であるということは、言わずと知れた当然のことであるのかもしれない。

 とはいえこういう人たちの縦横無尽のいちゃもんは、ツイッターなどを開けばだいたい 5分以内に目に入ってくるものではあるから、あまりタイムラインなど見ないのがいちばんだとは思いつつ、とはいえ noteのネタ出しにはこの種の人たちが大変に役に立つので、忙しい中でもやはりついついツイッターは眺めてしまったりする最近の駄目な習慣なのであった。


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