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「虚構や宗教は大切ですね。私はそれを信じてないけど」の袋小路

「21世紀は宗教の時代だ」とか、「社会を成り立たせるには虚構や神話が大切だ」とか、そんな言説はしばしば見かける。もちろん私としても、その主張の意図は理解できているつもりなのだが、個人的に気になっているのは、そうしたことをいう人たちの大部分が、「でも私は、宗教(とか虚構とか神話とか)を信じているわけではないですけどね」という態度を(そう明言するかどうかは人によるが)同時に示していることである。自分が信じていない(信じられない)宗教や虚構や神話などが、社会の円滑な運営のために重要だと語って見せることの含意を、発言者自身はどのくらい意識しているのかと、疑問に思ってしまうわけだ。

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