隙のない言葉を紡ぐために――「メタ認知」力の鍛え方
先日、このような記事を書きまして、そこでは「メタ認知」ということについて話をしています。記事の中でも明示的に注意してあるとおり、ここでの「メタ認知」というのは、学術的・一般的な用語としてのそれとは定義が少々ズレた、現在のツイッターなどでしばしば使われる言葉としての側面から理解されており、「自分自身、もしくは当該社会のマジョリティにとって当たり前であるような認知を俯瞰的に(メタに)捉えて、その構造の分析をしたり、論理的な不備を指摘したりできるような認知」といった意味で用いられています。
こうした意味での「メタ認知」の力は、ツイッターでの投稿はもとより、広く世の中に公開する文章一般を書く時や、あるいは文章に限らず、人前で何かを話すような機会に際しても、その内容を他人から見て「突っ込みどころの少ない」、即ち、「隙のない」ものにするためにたいへん有用です。他人から見た「突っ込みどころ」というのは、自分あるいは自分の周囲の人間たちにとって「当たり前」であるようなことが、話を聞く相手にとっては必ずしもそうは感じられないという時に、しばしば生じるものだからです。
本エントリは、そうした「メタ認知」の能力を向上させ、文章であれ談話であれ、他人から見て「隙のない」言葉を紡ぐために、普段から心がけ、また訓練しておくべきことについて、8項目に分けて解説する有料記事です。
私がこうした解説記事を書く「資格」に関してですが、私自身の「隙のない」言葉を紡ぐ能力については、noteに公開されている記事やツイッターでの投稿などから、読者の皆さまがそれぞれにご判断いただけると思います。また、それに加えて公刊されている著作には、たとえば『仏教思想のゼロポイント』があり、こちらは主張の内容に関する賛否は当然あるものの、叙述自体が「きわめて論理的で破綻のない」ものであることについては、出版から 4年が経過しようとする現在に至るまで、異論を挟んだ評者はほとんどいなかったと思います。私の文章に対するこうした評価について同意していただける読者の方であれば、本エントリは購読する価値があるでしょう。
なお、「隙のない」言葉を紡ぐために心がけておくべきことについて 8項目に分けて解説すると書きましたが、その最後の 8番目の項目では、「メタ認知」力を鍛え抜いた人がしばしば陥りがちな、「関係する様々な要因が視野に入っており、自分の主張に対する反論もすぐに思いついてしまうため、結果として何も言えなくなる」という状態への対策を、それまでの 7項目の解説を踏まえた上で記述しています。こうした状態に心当たりのある方はそれなりに多いと思われますが、「文章の書き方」や「スピーチの方法」などについて解説した書籍などは多々あるものの、そのように訓練した結果として罹患しがちなこの病に対する処方箋を、それまで説いてきた方法論と整合的な形で示すようなものは少ないかと思いますので、こうした問題に関心のある方々にとっても、本稿は参考にできるところがあるかもしれません。
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