Vtuberの1on1トークイベントに行ってきた記録

1on1トークイベントというのに初めて参加してきた。
いつもYoutubeを通して配信を見ているVtuberさんと一対一で直接(相手はモニター越し)お話できるというものである。
お話できる時間は1分で、料金は3000円。
時間単位で考えるとものすごく高いが、体験的には相応の額という気もする。
ものは試しという感じで応募してみた。

イベントには複数のVtuberさんが参加しており、一人あたりの持ち時間が一時間らしいので、入れ替えの時間なども含めれば参加できる客数は40人くらいだろう。
チケットは応募者の中から抽選ということで倍率がどんなものか不安だったが、運良く当選することができた。

当日、会場にはそのVtuberグループにまつわる展示品などが置いてあったり
そこでしか手に入らないグッズが販売されていたりして、まあまあの盛況だった。
トークイベントはその片隅で行われる。
列の形成は開始の10分前からということだったが、当日、お腹の具合が悪かったので
並ぶ前にトイレに行ってから10分前に戻ってきたらもう既に入場が開始されていた。
どうやら受付順にお話できるようで、出遅れた俺はかなり後ろの方、三十なん番目くらいになってしまった。
ただ、結果的にはこれはむしろラッキーだった。

というのも、イベントが開始されてからわかったのだけど、実際にVtuberさんとトークできるブースは薄い壁で仕切られているだけなので
その隣で待機している間、先に話している人の会話がかなり聞こえてくるのである。
それを聞いてるのが結構楽しかった。

元々、自分は同担拒否的な気質があるため、自分以外との会話など聞きたくもないと感じるだろうと思っていたが
案外そんなこともなく、他のファンの人達が次々とブースに入って行っては楽しそうに話している様子が漏れ聞こえてくるのは微笑ましい光景だった。

これが仮に、参加者全員が過激な同担拒否ばかりだったら、互いに好戦的なオーラを発しながら、コイツラを出し抜いて自分一人が推しの印象に残るためにはどうしたら良いかと、目を血走らせてギスギスした空気になっているところだったろうが
実際に並んでいる人たちは穏やかなファンという感じの人たちばかりで
各自がこれから来る推しとの1分間に期待と緊張を膨らませながら待っていた。

俺は彼らが1分という極めて短い時間をどんな戦略で攻略しようとしているのか、後ろから余裕を持ってじっくり観察できるポジションを獲得していた。
さらに、それにも増して興味深かったのが、Vtuberさん側のリアクションであった。

というのも、これは本人が配信で言っていたことなのだが「思ってることが態度にモロに出てしまうタイプ」なのが声のトーンから本当にはっきり伝わってくるのである。

とはいえもちろん、みんなそれぞれいいファンばかりだったし
そのVtuberさんは普段からファンサービス意識高めなので、どの人に対しても「来てくれてありがとう!」と心底嬉しそうに言ってくれていた。
だが、その声のトーンが人によって結構違うのである。

一応言っておくと、それは当然そうなって仕方ないと思う。人間だからそうなるはずである。
だからむしろそうであって良いとすら思うのだけど
でも現実的な話として、各ファンがそれまで積み上げてきた認知度・好感度+現実の本人の印象度が得点として発表されているようなものなのだ。
これは普段見ているYoutube配信ではありえない、まさにリアルイベントでしか味わえない醍醐味である。
俺はこれに結構エキサイティングしてしまった。

Vtuberはテレビアイドルやアニメのキャラと違って、普段から配信やTwitterでファン一人一人とやり取りをしているわけだが
そのときはファンに差をつけないように、全員を極力平等に扱うことが求められている。
おそらく事務所からもそう指導されているはずである。

それは、そうしなければ特定のファンだけが良い扱いをされていると邪推されてしまったり、
あるいは多額のスパチャを投げるファンが実際に扱いを優遇すること要求してきたりしかねないからである。
だから普段は誰が「特に覚えの良いファン」なのかは厳重に隠されている情報となっている。
それがこの1on1トークイベントの場では限定的に明らかになるのだ
そのことは俺のような下衆な人間にはかなりの面白みがあった。

面白がっていられたのは、俺はそのVtuberさんに対して、いわゆるガチ恋的な、性的な好意を持っている訳ではなかったからである。
そうでなければ、胃を痛め、歯を食いしばらりながら耐えることになったかもしれない。

俺が待機していた位置は、参加者がブースに入っていくところも出るところもしっかり見える場所だったため
特に良いリアクション(高い声のトーン)を得た人をチェックすることで、どのような要因が評価につながるのか分析することが出来た。

おおまかなところでは
超高評価:グッズを沢山身につけていた人
高評価:日頃からたくさんコメントやリプライをしていて、長く応援している古参のファン
特別評価:絵師やゲームが上手いなど、クリエイターや配信者寄りの人
という感じだった。
若さや見た目で態度が露骨に変わるようなことはなく、安心した。
まあそもそも見た目が明らかにかっこいいような人は居なかったのだが。

ただ、中盤に一人だけ例外が現れた。
「何歳ですか?仕事何してますか?」と、それまでは一度も出なかった質問がVtuberさん側から飛び出したのだ。
その上「エンジニアさんですか!素敵ですね!結婚してください!」とまで続いた。
それに何と返したのかは聞こえなかったのだが、Vtuberさんのリアクションが「あぁ~、そうですか…」みたいな感じだったので
既婚者だったのか、上手く流したのか、ともかく断られたらしき様子ではあった。
ブースから出てくるところを確認した感じでは、真面目で誠実そうな青年だった。

このやり取りが何らかの冗談なのか、本気なのかはわからなかったのだが
もし本気だったとして、タレント側がファンとの交流会で出会いを求めていたとしても俺個人としてはいいと思う。
AKBの握手会を通じてファンと繋がっていたとされる指原莉乃の件とかも、夢があっていい話だと思っているし
ロックバンドが地方ライブでファンをホテルに呼んだりするのもwinwinだと思うので。

ともあれ、こういった少人数のファンしか居ないクローズドの空間でしか見れない一面が見れたことで既に3000円分以上の満足感は有った。

そうこうしているうちに俺の番がやってきた。
俺は普段からコメントを沢山していて認知もされている。
なので普通に名乗り、挨拶したところ
「いつも面白いコメントしてくれてありがとうございます」的なことを極めて平静なトーンで言われたのであった。
面白いコメントはそんなに評価項目として高得点ではなかったようである。
ちょっとしょんぼりして帰った。

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