MTGパウパー初心者が綴る:青黒デルバー編

どうもこんにちは。今回もパウパーを知りたい/始めてみたいという方目線でデッキを紹介していきます。

ところで、皆さんはこのようなフォーマットをご存じでしょうか。渦まく知識、思案、定業が使え、秘密を掘り下げる者(デルバー)が活躍する、下環境と呼ばれるフォーマットの事を。

3枚先の未来が見える。ライブラリーから知識を。
スタンリーガルなただの3/2飛行。ただの?

そう、パウパーです。レガシーかと思いました? なんと青のカードにはレガシー級の名カードが揃っているんですよ。こりゃあ使いたくなるのも道理と思いません?
レガシーと言うと所謂デュアルランドと呼ばれる高額土地を持っていないと秘密を掘り下げる者デッキ、青赤や青赤黒のデッキにはなり得ないというイメージのある難しいフォーマットです。それがコモン限定構築であるパウパーで味わえたらどんなに楽しいことか。私もデュアルランドは所持していませんし、レガシーは青単マーフォークという高額土地に依存しないデッキでしかプレイしていません。
青に色を足して多色運用したい…。
アリーナのタイムレスで渦巻く知識を使うだけでは満足できない…。
回すのにテクニックが要るデッキの方が好きだ…。

そんな欲を叶えるデッキ、パウパーなら作れます。ドンっ!

まず、私好みの特徴として”思考掃き”の不採用が挙げられます。

自分の墓地を肥やすために切削する変わったドロー。

このカードはトレイリアの恐怖/グルマグのアンコウと非常に相性が良い事で知られています。両者は墓地にあるカードを数え、最大6マナ軽減、1マナ5/5の破格のスペックで場に出てくることを目的として墓地を肥やします。(両者の違いはテキストをご確認ください)その際、思考掃きで2枚切削し、思考掃き自身が墓地に落ちて一手で3枚肥えると非常に効率が良いです。というよりも、そもそも秘密を掘り下げる者を使わず、トレイリアの恐怖とグルマグのアンコウを8枚入れ、切削スペルを大量に使って2~3ターン目には5/5の着地を目指すという高速型(青黒テラー)の方が流行りました。

こちらもスタンリーガル。4回殴れば人は死ぬ。

ところが、ですよ…。密かにひねくれる者である私は、思考掃きが「なんでもかんでも墓地に落としてしまう」という点に不快感を覚えました。渦まく知識や思案等で、山札の上2枚を知っている状態で切削すれば確定で不要カードが落ちてくれます。しかし、手札に特定の2枚が揃っていて始めて真価を発揮するシナジーは、そうそう確率高く揃うものではありません。高速型においては山札に何が乗っているか分からない状態で切削し、あろうことか場に出したいはずのトレイリアの恐怖自体をポイポイ墓地送りにしてしまう場面が多発します。

そこで採用したのが”異世界の凝視”です。

3枚先の未来が見えるが、ドロー権は無い。

「カードを1枚引く」の一文が消えた代わりに、上から3枚を見て墓地に落とすか山札に戻すか選べます。これのおかげで欲しかったカードを見送るという場面は減り、更に秘密を掘り下げる者の能力とも噛み合うようになりました。
1ターン目島セットからの秘密を掘り下げる者。2ターン目アップキープにインスタントで異世界の凝視、要らないカードを落として堂々と山札を積み込み、確定で裏返すことができる。素晴らしいじゃないですか。
また、異世界の凝視はフラッシュバックが付いているため、墓地カウントを増やす他に「次のターンどうしても除去が欲しい」等という場面であらかじめ撃っておけば、1枚のカードで計6枚分未来が見える計算になります。
「引いたカードが悪かった。運の所為」と言い訳する前にやる事がある。こっちは6枚余計に見てるんだよ! と胸を張りましょう。

墓地を絡めたシナジーは他にもあり、”大慌ての棚卸し”の採用がそれです。

墓地に置いておくとドローが増える。軽さは正義。
対抗馬。こちらが主流。

要らないカードは墓地に落とすと書きましたように、このカードは落としてもいいものの筆頭です。先に挙げた高速型ですと”綿密な分析”を利用して、フラッシュバック2マナ3点ライフペイの2ドローなのですが、私はそのライフロスを嫌いました。選んで落とせるという強みがある以上、大慌ての棚卸しを1枚墓地に置いておき、2マナ2ドロー、場合によっては2マナ3ドローまで引っ張って使えば大いにアドバンテージが取れます。

裏面はただの2/3飛行。ただの?

”当世”の引いて捨てる能力とも噛み合います。マッドネス(捨てる事がメリットになる)ほどのアドバンテージはありませんが、それでも「捨てなきゃならない」を「墓地に仕込んでおく」に変えるだけで、幾分かは気持ちが楽になります。フラッシュバックコストが払えるのなら異世界の凝視自体を落としてもいいですし、旬を過ぎた呪文貫きを捨ててもいいです。手札の入れ替え+最後には2/3の飛行になって、秘密を掘り下げる者に次ぐ飛行クロックとなる。案外馬鹿にできない地味つよムーブとなります。

話をデッキの回し方へ移しましょう。このデッキは基本的に「対抗呪文
で空中戦+打ち消し漏らしを黒の優秀な除去で対処」という二段構えになっています。青単では除去の部分が非常に弱くなるので、青デッキに黒のインスタントの力を借りる、という認識に近いかもしれません。そのため、青2マナをすぐに捻出できるよう島ばかりを入れた構成になっています。

1ターン目秘密を掘り下げる者スタートか、最低でも青黒土地タップインスタートの2ターン目当世着地までいかないと後の展開が遅くなります。相手に飛行クリーチャーは嫌だなと思わせておいて、除去が飛んで来たら呪文貫きで弾く。あるいはマナを余らせるくらいなら相手ターンエンドに渦まく知識や異世界の凝視、ロリアンの発見サイクリングで手札の質を上げていく、が基本となります。
余ったマナでインスタント使います→そのスタックに秘密を掘り下げる者を除去します、と来られる場合もあります。痛手と言えば痛い一撃ですが、それは概ね修正可能な範疇です。3点ダメージ×7回殴って勝てるとはこちらも思っていません。相手が除去を使ってきたという事は、その分序盤に自分の動きを遅らせているのです。こちらには時間差でクリーチャー化する当世や、墓地が肥えるほど出番が早くなる5/5の生き物が控えています。それに、何度も挙げている異世界の凝視は、相手より6枚分多く山札を見られるカードなのです。対抗呪文を常に構え続けて絶対に秘密を掘り下げる者を守りきるというよりかは、どんどんと山札を圧縮していって、必要な時に必ず対処札を手に入れているという状況を作りましょう。

ライフ4点払うとただで撃てる除去。これもレガシー級。

綿密な分析の3点ライフ支払いを嫌ったことで、殺し(Snuff Out)も使いやすくなりました。やはりマナコストを支払わずに動けるのは素晴らしい。これにより対抗呪文を構え続けながらピンポイントで妨害ができます。「黒でないクリーチャーを対象とし」の黒でないが引っかかる場合? 相手が黒単だった? 躊躇せず当世で落としましょう。

パワー-3とタフネス-3。苦悶は二度刺す。

苦悶のねじれは喪心や殺しと違い、確定除去ではありません。-3という数値をどう扱うか、ここもテクニックが問われます。基本的には相手戦闘フェイズまで引き付けてから使うのがベストです。「クリーチャー2体で攻撃します」と宣言があった後に撃てば、3/3級のクリーチャーには除去となり、4/4以上のビッグサイズには治癒の軟膏になります。1枚を2つの対象に取れるため、上手く引き付ければ2マナで2回働いてくれます。
ただし、相手が白や緑のクリーチャーデッキである場合、呪禁やプロテクションの付与で守ってくる場合があります。青使いの宿命として、相手の土地の立て方に気を払うべきです。常に1マナ分余らせて動いている場合は要注意です。場合によっては相手ターンまで引き付けず、自ターンでパワー-3を無駄にしてでもタフネス-3を確実に当ててください。ちょっと弱い喪心になる程度で、無駄にはなりません。

一時期は1000円超えていました。

主に島サイクリングとして使われるロリアンの発見ですが、後半煮詰まった場面では5マナ3ドローの「本来の」使い方が生きてきます。青色ベースで動いているので、どうしても対抗呪文を構え続けていたくはありますが…。2+5マナ用意するまでゲームが持つとは思えません。私の体感としては、土地が5枚あれば使ってしまってもいいと思います。それで先ほどのようなスタックに除去が飛んできても想定の範囲内です。いつ来るか分からない相手のカードにビクビクしているくらいなら、異世界の凝視で質を上げ続け→ロリアンの発見でガッツリ引きに行く、としてフィニッシュまでゲームを進めましょう。

本デッキは切削スペルを多用した高速型、多すぎるくらいに妨害スペルを取り込んだ青黒コントロール型、いずれとも違います。
1ターン目に青最強とも言われる秘密を掘り下げる者を展開したかと思えば、常にインスタントを構えて様子を伺い続けるクロックパーミッションデッキの王道と言えます。
あなたは過去「なんでも打ち消される! 何度も除去される! クロックパーミッションは強すぎないか!?」と感じた経験があるかもしれません。しかし、実際使用してみると分かる事が多いはずです。手札がスカスカなのにインスタントを構えるフリを続けたり、逆にドロースペルの連続で手札の質に段々と差が付いたり、勝負を分ける要素は紙一重だったりします。
常に考え続け、テクニックで相手を圧倒しましょう。「飛行3点刻まれるのが痛すぎる」「そっちの手札が強すぎて負けた」。全部褒め言葉として受け取りましょう。
パウパーの奥深さが詰まった青黒デルバー。試してみてはいかがですか?

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