日記


あ、そうそう。こないだチラッと書いたんですが、卵巣嚢腫ってご存知ですか。ことばまんまですよ、卵巣に頼んでもいねーのに勝手に産物を拵えてしまう。
私もかれこれ4年前にコイツと対峙したことがあります。いや実際は先生ですけれど。ちなみに私の場合は

皮様嚢腫・成熟嚢胞性奇形腫


でした。き、奇形???
先ほども申し上げた通りコイツは卵巣にできる腫瘍で、どうやら種類が幾つかあるみたいです。中身が違うんだそうですよ。中身とは?って感じでしょ。で、中身聞く?聞いちゃう?

歯と骨と爪と髪の毛


私の場合はこの四つが、そらもうバラエティパックみたいな感じで詰まってたワケですよ。何それ?!そんなことある?!
あるみたいです、これが。


事の発端は、まず2017年の年末から突然腰痛のせいで拷問みたいな日々が始まったんですね。もう真っ直ぐ立ってらんないからね。この痛み、たしかに覚えがある。貴様あの時の…坐骨神経痛だな!知ってるぞテメー。とか思っていたんですけれど、とてもすごく痛いんで整形外科へ行ってMRIを撮ってもらったんですよ。これがまた激痛。仰向けに寝転がるのも一苦労。ドMに目覚めなきゃやってらんないくらいでしたね。なんで、調教しました自らを。

で、その後診察呼ばれて先生の第一声が


がまぐちさん、現在妊娠とかって…本当にされてないですか?


いや、してません。即答。問診票にも書いたじゃん。先生なに言ってんですか。それとも何か?肥満?ちょっとMRI撮影って聞いて気合い入っちゃって、脂肪の自己主張が激しくなっちゃったのかな?とか思ってたら、先生は続けて

いやでも…このね、下腹部あたり、ちょうどお腹のあたりに、何か影が写っていてね〜。
本当に心当たり無い?



心当たりとは?無いですよ、無いです。頭カチ割りますよ。思わず先生と私ふたりして笑いました。なんか変な空気になったんで、妙な間に耐え難くて思わず笑っちゃったんでしょうね。なに笑ってんだよ。
妊娠の可能性が本人によって完全否定。となれば、それはちょっと話が腰痛から逸れるかも。一度、大きい病院で診てもらったほうが良いかも知れない。とかいう話になりまして。県内某所の大学病院に紹介状を書いて頂いたんです。撮ったMRIを見せてもらいながら、この辺に影が…だとしたら、位置的にも恐らく婦人科じゃないかと先生が仰る。やばい。なんか話が…なんか………やばい。先生は続ける。変な話ね、例えばなんだけれど、この位置に何かあって、それが邪魔して(神経を圧迫するなど)腰痛を引き起こしてるってこともあり得なくは無いんだ。むしろ珍しくない話だよ。

先生!お言葉ですが、そのMRIに写った影ってアレじゃない?先生、心霊写真とかじゃない?むしろ行く所、病院じゃなくて寺なんじゃない?とか現実逃避しまくっていたら、あれよこれよと話は進み。



後日某病院婦人科にて、

これは恐らく卵巣嚢腫じゃないかなと。


ほー。そういう病気があんですね。

はい。両方の卵巣にできてるみたいですね。
けっこう大きいです。

へー。両方に。気付きませんでした。
どれくらいのデカさなんですか?

どちらも20㎝〜30㎝近くあります。
右の方が大きいですけれど、どちらも大きめですね。


へー。けっこうデカいですね。
月経も普通に来てたんでまったく気付きませんでした。

とか言ってポーカーフェイス気取ってました。え?何が?全然動じてませんが?みたいな感じをがんばって出してました。内心は鈍器で頭殴られてるみたいな衝撃でしたけれど。頭血塗れでしたけれど。毛穴から変な汁出まくって全身テカテカでしたけれど。

え?人間の卵巣ってたしか2,3㎝くらいの大きさでしたよね?20㎝から30㎝?え?何言ってんのこの人?


先生すみません。マジで脇汗と手汗やばかったんです。
数㎝しか無いはずの卵巣がそんだけデカく腫れ上がれば、そら当然他の臓器はもう我慢の限界だったでしょうね。住民怒りの声!卵巣に立ち退き希望!脳味噌は我関せず!卵巣は黙秘!此処がまぐちさんの体内では、こうして日夜デモがおこなわれ…みたいな感じで。もうTVタックルの名物コーナー、噂の現場とかロケ来ちゃうよ。ていうか卵巣。おまえ何とか言えよ。めちゃくちゃ伸ばされてんじゃねーか。なんか脅されてたりするワケ?人質?それとも何か?おまえら我慢比べでもしてんの?右と左の卵巣で。チキンレースしてんの?自分ら2,3㎝程度なんでしょ?せめて10㎝くらいになった時点で何か言って。寛大なのはけっこうなことだけれど。

話を戻しますね。まあまず検査をしてみてからでないとこれ以上は何ともね。どうしますか?と言われ、いや勿論お願いします!と。ぶっちゃけあんまり覚えて無いんですけれど、腫瘍マーカーとか?とりあえず血液を採られまくった気がします。ピンピンしてましたが。

検査の結果とMRI画像を見るに、まあ悪い顔はして無さそうということでした。恐らく良性の卵巣嚢腫だろうと。あんなデケーのに?!勿論ずっとこのままというワケにもいきません。あまり放置し続けると、悪性に変わるかも知れないし、いつか茎捻転を起こしてどの道病院送りという結果になるみたいです(激痛らしい)何それ怖すぎだろうが。というか、よく今までそうならずに過ごしてきましたね。整形外科の先生が仰った通りでした。やはり腰痛がサインだったのだろうか。シャイな卵巣が唯一試みたSOSだったということだろうか。泣けてくるわ。
これを書いていて、未だに奇跡のタイミングだったなとしみじみ…

と、なれば勿論摘出する他ないワケですね。手術の話になるのは自然な流れ。紹介状もありますし、うちで構わなければこのまま話を進めてよろしいですか、と言って頂いたのでお願いしますということで、更に話は進みます。
正直ここらへんでやっと現実味が湧いたりして(笑)
こちらはいつでも大丈夫です。と伝えたら、5月あたりに予定して大丈夫ですか?と先生が仰って。病院に来たの2月なんですよ。

Q.3ヶ月も放っておいて大丈夫なもんなんでしょうか?

A.大丈夫です。


先生が仰った悪い顔してないってのは、悪性だとか、或いは特別緊急で手術が必要だとか、そういうことは無いよというニュアンス。無論、腹を掻っ捌いて中身を見てみないと確実な事は言えないけれど、経験から言って出たことばなのだと受けとりました。もうトシロウはつべこべ言わずプロにお任せしようと思って。先生の提案してくれた3ヶ月後に手術が決まりました。更に質問。

Q.私のこのデカさの卵巣嚢腫って、いつ頃からできてたんでしょうか?

A.正確には分かりません。
悪性の場合は進行が早いですが、がまぐちさんの場合は悪性の可能性が低いので、恐らく時間をかけて大きくなったんではないかと。

Q.自分自身が手術に備えてやる事等ありますか?

A.禁煙してください。


以上でその日は帰されました。

次回、入院編。お楽しみに。