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『恋々豆花」を宇都宮に観にいく

 初めてこの映画を観るなら映画館で、それも街の、昔ながらの劇場で観たいと思っていた。ちょうどその頃東京の感染者数が落ち着いていたこともあり、名前からしてレトロな宇都宮ヒカリ座に行くことにした。

宇都宮を訪れるのは2014年に「おじさん」を見に行って以来である。奇しくも同じ年の6月に台湾にも赴いていた。

宇都宮で必ず食べると決めているのが青源の味噌だれ餃子。今回もパセオ(駅ビル)の同じ場所にあってよかった。

映画館があるのは東武線の宇都宮駅の近くなのでJRの駅から歩くことにした。しばらく行くと、かわいらしい看板と映画のポスターが。

立派な二荒山神社を横に見てアーケードを行くと迷わず劇場のビルに到着。今関監督がSNSに投稿していたフルーツサンドのお店が目に入る。帰りに買おうとチェック。

 この作品でのモトーラ世理奈は20年早く生まれていたら「オリーブ」誌に盛んに登場していたのではないかと思われるくらいガーリィだ。この作品には、モトちゃん効果も相まって、もはや台湾という島がもはや丸ごとガーリィなのではないかと思わせられるほど、おいしいもの、サブカルの匂いがするもの、かわいいものが詰まっている(もちろん猫も)。

映画は、モトちゃん(以下、モトちゃんにします)演じる女子大生の奈央が、父が行かれなくなった台湾旅行に彼の3度目の結婚相手(=将来の義母)となる綾と出かけるというロードムービー。手描きの「旅のしおり」を作り台湾縦断を楽しもうとやる気満々の綾とは異なりSNSに逃げ込みがちな奈央。最初は反目し合っていた二人が旅先でアクシデントに見舞われたり名物に舌鼓を打ったりするうちにお互いがかけがえのない存在であることに気づく、という展開は恋愛ものの定番だが「なさぬ仲」の”母娘”にもそんな魔法がかかる。しかし順調かと思えたこの旅は一筋縄ではいかず…(この続きはぜひ作品で!)

今のようにインスタなどが存在していなかった(しかもことりっぷもまだない)時代、旅心を誘ったのはもっぱらMONや杉浦さやかによるイラストエッセイ本だった。そこで紹介されていたのはありきたりの名所旧跡や有名店ではなく、街の食料品店や街角でその辺で伸びている犬だ。イラストエッセイを読んで旅に出た“昔女子”は、そこに描かれたカフェや雑貨店に行きつけないことも多かった。しかし今はSNSを辿ればお目当ての店がすぐに見つかる。前述のフルーツサンドのお店「茶菓」もすぐに見つかった。(劇場の前にあるから見つけられないことはないんだけどね)

見つからないのは悔しい。でも既に知っているものだけで終わるのもさびしい。私だけの「伸びている犬」や路地裏の猫に出会いたい。今回、具体的にそれが何にあたるのかはわからないがこの作品をこの街で見ようと思い立ったのは正解だったと、帰京ののちマンゴーサンドを頬張った時に思った。確かに「茶果」には立ち寄ったけど、隠し味が「!!」だったのである。

最後に、元祖ガーリィといえばおフランスなので宇都宮で出会ったそんな感じの画像を貼っておく。


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