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非常勤の徒然:自分は学生に厳しいのだろうか・これでいいのだろうかという自問自答

 期末試験として課すものへの評価は,テスト問題にしてもレポート課題にしても,その都度わりと細かく採点基準を作成しながら作業を進めています.例えば重要なキーワードが含まれているかどうか,それを適切な文脈で使えているか,あるいは用語を指定している場合はそれを含めて書けているか等々の評価点を入力できるフォーム(チェックシート的なもの)をExcelで作成してます.また,1コマ(時限)で答案を書かせるテスト問題よりもレポートの方が文章量が多く,あまり細かすぎると作業に時間がかかってしまうので,レポートの方のチェック項目はもう少し簡略化することも多いです.

 わたしの場合は,一旦フォームを作成してからも,少しサンプル的に数名の答案を採点した後,講義を取った学生全体の理解の程度に応じて微調整し,多少配点を変更することもあります("そこは理解して欲しかった…"という理想は追い求めすぎると落第が増えてしまうのが難しいところ).そして採点作業を数日掛けて終えた段階で,最初の方の学生と最後の方の学生の評価を見比べ,評価のブレはないかの確認作業を行います.一旦不可と評価した学生については「可(最低の60点)にする余地がないかどうか」をさらにもう1回問い直し,それでも例えば「コメントペーパーの提出状況も良くないし,この答案ではやはり合格とは言い難いな…」という人などを最終的に不可とすることになります…(正直つらくて虚しい……ただし,採点時にコピペ・剽窃の答案と認定した人はその時点で検証作業を完了しているので上記の作業はなし=切り捨て)

 かような過程を基準を明確にしておくことで,時間的に細切れに行わざるをえない採点作業において評価のブレも減るし,もしあとで再調査依頼が届いても自分で採点の過程が容易に辿れるので,自分の中で「どうしてこの評価にしたんだろう…」と悩むことはまずありません.したがって成績報告後に再調査依頼を受けて採点結果を変えたことは皆無です.1回だけ「可」から「良」に修正報告したことはあって,病欠のためコメントペーパーを〆切後にメールで受け付けた結果,その提出回数を手入力し忘れてしまい,評価点数の区切りで点数が変わったというもので,不可を可に変更したことはないですね.(修正報告を出すことに心理的負担を大きく感じる質なせいか,どうも採点に多少時間が掛かってしまう…このあたりは自分の直したいところ…)

 以上のような自分の評価方法・基準やパフォーマンスについて「ひょっとして,わたしがつける評価,厳しすぎ?!」と家人や知り合いやスクールカウンセラーに相談したこともあります(時に期末試験を受けた半数近くを不可にした学期もあったなあ…).

 でも,わたしの在学時代を振り返ってみて,あるいは院進を経験したことのある友人や,諸事情で複数の大学に入学した(入り直した)家人との話の中でも「単位を取るのが大変だった先生とか,予習や復習が必要で厳しかった先生の講義や実習の内容が一番ためになったし,結果的に今の自分を作ってるから,そのやり方でいいんじゃね?」という結論で終わりました.「一所懸命準備して話しても講義の内容が届かない学生はいる,そこにまで力を掛けるのは無駄,時間は有限なんだから」とも.結局のところ,レポートも満足に書けてない学生へのケア,ましてやコピペで切り抜けようとしている学生の救済に時間を掛けるより,いろいろ質問したり,レポートをしっかり書こうとしてくれたりする学生の取り組みをサポートした方が良いよね,と.

 講義を取る学生の立ち位置は様々で,非常勤のわたしに一般教養科目の受講学生を取捨・選択する権利・余地はありません.「この科目の内容を聞きたかった」「関連する専攻に進みたい」「卒業論文に役立つ知識を得たい」というレベルから,「単位が取れたらラッキー」「コマが空いていたのでとりあえず入れてみた」「レポート出したら単位はくれるかも」(小柄で優しそうな面構えの先生に思われているフシあり)まで誠に千差万別・ピンキリという印象です.当然ながらピンに合わせる方がわたしもストレスが少ないので,(単位を楽に取りたいと思ったのか知らんけどレポートを読む限り)レベルがキリの学生を引き上げることに過剰なエネルギーを注がない・時間をあまり割かない・報酬に見合わないことはしない等を最近は心がけています(以前はそこで不毛に消耗してました…今でも気を付けないとそうなってメンタルが削られてしまいます…)

 家人の「必修科目なのに卒業年度かどうかは全く考慮していなかった教授もいたわぁ」と述懐する言葉を頭の隅に置き「わたしの担当は必修科目ではないし,単位を落とす学生が増えても気にしない・思い悩まないことにしよう,これでいいのだ」と年の瀬に改めて思うのでした.

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