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その1 シェルターでパルボが発生。子猫親猫12匹感染し、パルボと戦ったお話

2020年、コロナウィルスの蔓延で、ネコリパブリックの保護猫カフェ事業は大打撃をうけました。

全店舗休業。でも猫たちはいるからスタッフはお世話に通わないといけない。売上ない。どうしてくれようーー。。と。。。

そんな中、ネコリパブリックが行ってるブランド事業でマスクを販売したり、定期サポーター様募集などでなんとか乗り越えることができました。


パルボ発生で天を仰ぐ

本当に、お店を継続するのは経営と一緒ですから、山あり 谷あり仕方ないところはあります。なので、今までも色んな出来事があり乗り越えてきたので大抵のことは動じない鋼の心臓を持っていると自負していました。


しかしながら、2021年6月にネコリパ岐阜店のシェルターでパルボが発生した時は、1分くらい天を仰ぎました。
本当に、心臓止まるかと思いました。


電話で報告を受けた瞬間、頭が真っ白になるのではなく、一番に浮かんだのは、最初に簡易キットでパルボだと診断された子猫シェリーの顔。
私が、とある保健所から引き出した子猫の兄妹の一匹です。

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パルボ=死

というイメージくらい、怖い病気です。子猫やワクチンをうっていない成猫が感染したら致死率99%と言われるほど、、、

あの子が死んでしまう。。そう頭に浮かんで、いてもたってもいられなくなったのを覚えています。

パルボと診断されるまでの経緯

シェリーは保健所から引き出したときから、少し下痢をしていました。ただ食欲もあり、元気です。保健所からシェルターに入る前に、獣医さんのもとで、簡易パルボ検査を行い陰性であることを確認してシェルターに入所しました。

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保護をしてから10日ほどして、嘔吐があり、下痢がまだ続いているため、病院へ連れて行くことになりました。この時点ではまだ元気でした。
連れて行った病院では、以前パルボが発生したことがあったとのことで、念の為、パルボ検査をしようということになり、10日前に行ったのと同様の簡易パルボ検査を行ったところ、、陽性反応が出てしまったのです。


当時、私は東京に出張中にスタッフから電話で報告がありました。

スタッフは、電話口でどうしていいか指示を待っています。

いつもなら、どんなことも、パッパと指示をしてしまう私ですが、流石にうろたえてしまい、3分待ってと電話を切って、1分間天を仰いだわけです。

そして、残り2分。。猛烈に頭の中をフル回転させました。

まず、パルボの子たちの隔離場所。
その後、その他のシェルターの猫たちの検査。
その後、シェルターと店舗はまったく区分けされているけれど、お世話している人間はかぶっているので100%安心できない。お店の運営をどうするか?
発表はどうするか?
運営は大丈夫か?

などなど、瞬時に頭の中はさまざまな映像で溢れていました。
これから、どうなるのか?
一匹たりとも大切な保護猫たちの命を諦めたくない。だって、私達は猫たちを救うためにこの活動をしているんだから、、パルボに負けない。そう思いながら、、
2分後に電話とスタッフLINEで怒涛のように指示をだしました。

シェルターは、保護したばかりの子を検疫をするための場です。

当時のシェルターは、大人猫はワクチンを打って2週間以上だった子たちのみ、子猫は月齢的にワクチンがうててない子がシェリーとラフロイグ以外に7匹。その母猫ともう一匹の成猫。シェリーとラフロイグと触れ合っていたエリザベスという成猫は、完全に感染しているかも、、と思いました。

まずは、パルボの検査キットがある分だけもらい、感染の可能性がある子、全頭検査。
結果は、、
簡易キット検査では、、なんと、、全頭パルボ陰性だったのです。
シェリー以外。。。シェリーの兄弟のラフロイグも簡易キットでは陰性。

一匹だけ、向かいのケージにいた子猫ベンジャミンが薄っすら陽性の線があるかないか。。。

簡易キットなので、間違いが出る場合がある。と獣医師の先生にも言われ、少しだけ希望を持っていました。もしかしたらみんな感染していないと、、

とにもかくにも、感染しているか、していないか、わからないのでは、対策のしようがないので、はっきりさせるために、全頭PCR検査をすることにしたのです。

PCR検査は血液と便とで両方できますが、往診の先生に来ていただき、子猫全員の血液を採取して検査機関に出します。結果がでるまで4,5日かかるとのこと。

結果がでるまでの間、ひとまず、今できることを、、ということで、同じシェルター内にいたワクチンをうって簡易キットでも陰性だった大人ネコたちは、パルボの潜伏期間と言われている2週間の間、預かりさんや、別部屋を用意して全頭隔離。

保護猫カフェも結果がでるまで休業を決意

そして、パルボ発生が発覚した日が保護猫カフェの定休日の前日だったため、今後の営業についても、完全に安心してご利用いただけるようになるまで、結果がでるまでひとまず休業しようと決心しました。

まずは、猫たちの体調不良につき、お休みをいただきます。とアナウンスしました。
この時点で、本当にパルボに感染しているかどうかPCR検査の結果まちだったためです。
そして、検査をした子猫たちはすこぶる元気。食欲も旺盛。下痢もなし。きっと簡易キットの間違いなんだろうな、、とスタッフと一緒に話していました。

ただし、初期医療がとても大切だということだったので、最初にパルボ陽性と判断されたシェリーとその兄弟のラフロイグこの時点からすぐに治療を開始しました。治療の内容は 

インターフェロン 0.1ml/kg 
エンロフロキサシン 0.1ml/kg
セレニア 0.1ml/kg
レバギニン 0.2cc
ソルラクト 20ml  点滴

うっすら陽性の線がでたベンジャミン一には、点滴のみ行いました。

パルボが判明した翌日から、シェルターは完全にレッドゾーン。シェルターと保護猫カフェの行き来を禁止しました。

スタッフは防護服に着替え、バイオウィルというパルボウィルスに有効な消毒液を使い、完全な衛生管理を行い始めました。

そして、毎日往診に来ていただき注射・点滴を継続しました。

4日後、、結果がLINEで報告されました。

PCR検査した子、全員 陽性・・・・

この時、人生で初めて血の気が引くという経験をした気がします。
本当に、貧血になりそうな感じ・・・・

3回くらい、LINEを見直しちゃいました。嘘でしょ?って。

もう、こんなに元気なのに、この子たち、死んじゃうの??って。。

慌てふためいた私ではありましたが、、、3分後に、くよくよしててもしょうがない、絶対にこの子達を守り抜くと決意をします。

そうです。だいたい3分間あれば、人間は、前に進むために我に帰ることができるのです。悩んでも仕方ない。前にすすむ方法を考えるのだ。

こうして、私達のパルボとの戦いが始まったのです。

つづく



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