ヒグラシ文庫8周年トーク・イベント（5）「飲食店ラプソディ～何の飲食店哲学の欠片もなく」

2019年3月13日（土）鎌倉の「まちの社員食堂」（神奈川県鎌倉市御成町11-12）で開催されたトーク・イベントの内容をお届けします。
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Q：あの、みかじめ料とか、やっぱりあるんですか？　

丸山：それぞれのカフェにはそれぞれのシステム、だいたい家賃に対応したパーセントを自分のやった営業日からいただくとか、場代をもらうっていうのはもちろんあります。でも、やっててちょっとキツそうだなと思えば場代はなくなったりとか。するんですけど、絶対とか約束はできませんけど。

あとは、使い方によって、これはお客さんからこれくらいの値段しか頂けないのでパーセントこれくらいって個々に相談、というのを一番。でも一番大事なことはミーティングに来ることなんですよ。

ミーティングっていうとあれですけど、とにかく顔合わせはしないといけない。僕とだけじゃなくて一緒にやってる人たちと月1回なんですけど、顔をあわせるというのをしてて、それが一番大事。知り合いになるということなんです。この人はどういう人かというのを。みんなが認知する、それがある意味で信用の土台。口がうまくてあちこちでやってますよといくら喋っても、この人ちょっと信用おけないなということだと、相手から来ない。ここはそういうノリではないと勘づかれるので、そういうことのないようにミーティングに。

中原：お客さんが聞きたいのは、お店開くと怖いお兄さんが来ないかってことですよね。

丸山：あー、そういうこと。

中原：たぶん一番怪しいところでやってると思いますけど、一回もないです。今、安心していいんじゃないかな。もうむっちゃくちゃ儲かってたらわかりませんけど。なんか、かわいそうだな、みたいな感じで、それはないと思います。

丸山：中野では、ずいぶん変わったんですけど、再開発地域、昔のカルマやってた飲み屋街再開発地域になったとたんに地上げ屋がいっぱい入り込んで個人の飲み屋をどんどん潰し、歌舞伎町に次ぐみたいになってますけど。その頃はよく、カルマにさえ黒塗りの車が(笑)。「オレ、ベジタリアンなんだ」みたいな。

（会場爆笑）

丸山：「オムライス作ってくれぃ」みたいな感じできましたけど、別にお金は普通に。おもしろいなと。

Q：飲食店の人たちって人が来なくて客待ってる時ってどういう心境でどういうアプローチをするのか。

こないだ馴染みのおでん屋で、いつも流行ってる店なんですけど、たまたま客がいなくて、70いくつの大将、「こういうのお茶をひくなんていうの？」なんて言いながら自分の昔話を延々してた日があるんです。僕、ただ行って酒飲んでるだけの人間なんで、時々、帰りたくなる時あって。そういう時の対処法。

中原：ものすごくありがたいことに開店以来、いわゆるお茶っぴきという、ひとりもお客さんこないってのはなくて。ただ、色んな人見てると、暇でも全然平気な人っているんですよ。そういう能力をもったスタッフが欲しいなあと。僕なんかはお客さん来ないと不安で不安でしょうがないんです。それで、次のお客が来るまでこいつをひきとめようと必死になるんですよ。したくもない話題をふったりして。

これはね、全然お客さんいなくても平気っていう才能をお持ちの方はぜひ来ていただいければ。

按田：同じく、暇でも平気な人がいると本当に安心で。経営してると金勘定みたいなのが頭にあるので、どうしても考え方がセコくなってくるし。私が一番やっちゃいけないと思ってるのは、たとえば「3時から5時、すごい暇だから餃子屋だけどケーキセット出しちゃおう」とか、なんかこう、自分のやりたいこと曲げて、やることだけはやめようと。だから、そういう暇でも大丈夫なスタッフがいるんですよ。そういう人がいてくれると、本当に安心ですね。

― さっき始まる前にちょっと話したんだけど、私が関係してる中野のゲストハウスのオペレーションは、普段はだいたい8割が外国人スタッフ。すると非常にトラブルになるのは南米の方で、もう、まったく時間の感覚とか違うんですよ。すると寛容なスタッフでもだんだんイライラしてくるんですよね。それが爆発するわけなんだけど、まあそういうことありますよ、って寛容性が試される。寛容って素晴らしい、自由とか素晴らしいなと思って。

丸山：まあ暇な時間に対して、僕はだいたいカウンターで人に対峙して仕事をするのって苦手で、それこそ話つなぐとかできないので、カルマはカウンターあったんですけど、あの、目隠し(笑)…なるだけ顔あわせないようにみたいな。今はカウンターのお店ではないので、どっちかというと。もちろんお客さん来ないなというのはざらにあって。本当に丸一日こないなんていうのもあるんですけど、そういう時、この時間を使って何か仕事しようとか。なんか時間の有効な使い方はね。

中原：暇だから明日の仕込みしよう、とかしてたらお客さん来たりする。

丸山：あるあるですね。まかない食べようとか、パスタ茹で上がったらお客さん、あーあと2分ていう時とか、冷めちゃうとか、よくね。