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続・ミスミ製のアルミフレームでの端面接続方法はどれを選ぶべきか

■概要

前回の記事で、ミスミの8シリーズにおいては3種類の端面接続を使い分けるのが良いと書いた。
[1] 後入れダブルジョイント
[2] (先入れ)センタージョイント+直角接続ブラケット
[3] シングルジョイント

これについて、実際のパーツを用いて内容を補足する。

■後入れダブルジョイントとセンタージョイントとの違い

後入れダブルジョイントとセンタージョイントは共にM穴を使用する。どちらにも溝を押さえる爪のついたポストがあるが、ダブルジョイントはフレームの両端、センタージョイントはフレームの中央、と異なる。

note_続端面接続_シングルジョイントとダブルジョイント

この違いは、フレーム同士を接続する際の角度決めに波及する。フレームの両端にポストがあるダブルジョイントではあそびの影響が少なく、簡単に角度が決まるのに対して、センタージョイントでは締付けるまで角度を決められない。したがって、センタージョイントは直角接続ブラケットを併用した方が作業性が高くなる。

note_続端面接続_シングルジョイントとダブルジョイントのあそび

逆に強度確保などで直角接続ブラケットとの併用を前提とした場合には、センタージョイントは使用できるブラケットの選択肢が多いという点で有用である。

センタージョイントのM穴部分は、芋ネジがある側しかフレームの溝を邪魔しない。

note_続端面接続_シングルジョイント表裏

また接続するフレームに対して穴の方向を2つから選べる。これらはすなわち、併用できるブラケットの選択肢が多いことを意味する。

note_続端面接続_シングルジョイント左右

むろん後入れダブルジョイントでもブラケットとの併用は可能である。押出厚型ブラケットであればナットがポストに干渉しない。しかし突起付ブラケットと薄型ブラケットでは使用できないものがでてくる。

センタージョイントであっても、芋ネジ側には制限がある。例えば、センタージョイントと突起付ブラケット+先入れナットとの位置関係をみると、4穴タイプの片側では干渉しないが2穴タイプでは干渉する。もっとも芋ネジ側をブラケットで覆わなくてはならない状況は少ないだろう。

note_続端面接続_シングルジョイントとブラケット

センタージョイントよりも後入れダブルジョイントのポストは大きいため、同じ4穴タイプであっても、偏芯ナット等を使用しないと僅かに干渉してしまう。

note_続端面接続_シングルジョイントとダブルジョイントの大きさ

単純に接続強度だけであれば、直角接続ブラケットのみを2つ以上使用した方が、安価に高められる。端面接続を使用するメリットは、接続するフレーム同士の隙間を簡単に排除できる点であったり、位置的にブラケットの使用に制限がある場合であったり、部品点数や美観であったりする。

前回の記事にも書いたが、端面接続を主に単体で使用したいのであれば、後入れダブルジョイントが良い。センタージョイントは直角接続ブラケットとの併用で生きてくる。

■突起付きブラケットと押出型ブラケット

押出厚型ブラケットには交差接続用がないので、多くの場合で突起付ブラケットと薄型ブラケットが必要になる。

突起付ブラケットには多少の大きさ違いがあるものの、穴は同じ位置にある。薄型ブラケットの穴の位置も同じである。これに対して押出厚型ブラケットの穴の位置は角からより遠く、強度確保の点では有利だろう。しかし溝に沿う突起がないのは少し不便に思う。

note_続端面接続_-突起付3種

4穴の突起付ブラケットは穴の位置が異なり、少し角から遠い。逆に押出厚型では2穴より角から近い位置に穴があるので、端面接続のポストとの干渉に注意が必要となる。

note_続端面接続_2穴と4穴

■タッピングジョイントの真実

タッピングジョイントは、位置が固定になってしまうものの、最も安価な端面接続方法である。必要なのは、レンチ穴(120円)とタッピングネジ(58円)だからだ。

ミスミの8シリーズにおいては、φ10.5mmの中心穴に、タッピングネジの長さおよそ25mm分をねじ込まなければならない。製品ページには適正締付トルク(最大)が74N·mとあり、電動工具を使えば比較的楽に作業できるが、必要なトルクが大きいと慣れも必要である。

note_続端面接続_タッピングジョイント

前回の記事では、アルミ母材へのタッピング固定による強度を懸念したが、それ以前に、タッピングジョイントそのものでねじ切りしながら締込むことの難易度が高く、ネジか母材の山を潰してしまう危険性こそ無視できないと感じる。ましてや、レンチ穴から固定強度に達するまで締付けるのは簡単ではないだろう。

■脱落防止策としてのタッピングジョイント

タッピングジョイントに使うネジは、フレームの溝に対して若干のあそびを持っている。そのため、ジョイントをつけたまま溝の上を移動させられることから、端面固定用ではなく脱落防止フックとして利用することができる。

note_続端面接続_脱落防止策

もちろん、他の端面接続方法かブラケット接続であっても、締付けを緩めることで同様に溝の上を移動させられるが、緩め過ぎれば完全に外れてしまうので、不用意に外れて欲しくない場合にこの方法は有効だろう。

■シングルジョイントの有用性

接続する位置を固定できるのであれば、シングルジョイントはダブルジョイントを使うよりも価格的なメリットがある。
◆シングルジョイント
410円 = 120円(レンチ穴) + 120円(D穴) + 170円(シングルジョイント)
◆後入れダブルジョイント
573円 = 120円(M穴) + 453円(後入れダブルジョイント)

シングルジョイントは溝を押さえるプレートが大きく、ポストがフレームの両端にくるダブルジョイントと同様に、あそびによるフレームの動きが少ないため、フレーム同士の角度が簡単に決まる。

例えば下の写真のようにフレームを枠組みする場合には、フレーム同士を密着させやすい端面接続が便利であり、また枠組み故に接続位置が固定されるシングルジョイントであっても不都合はない。

note_続端面接続_シングルジョイント接続

シングルジョイントはダブルジョイントのようにフレームの溝を邪魔することがないため、もしも端面接続だけでなく、直角接続ブラケットで補強したいのであれば、ブラケットの選択肢が多いシングルジョイントは有用である。

note_続端面接続_シングルジョイント



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