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④入社7か月目の面談

中途社員の後輩が入社してきて7か月目に面談をした。

大雑把に言うと、私が彼に彼の優れている人当たりについて、そのあとで「この仕事に向いていない」「好きなことを仕事にしたほうがいい」と伝え、彼は「頑張ります」との返事だった。

どう頑張るつもりなのかを追加で聞くと、「いろいろ勉強して」との返事だったので、何をいろいろ勉強するかを聞いたところ、具体的な返事がなかった。

本当に彼にとってはノーアイデアだったんだと思う。悪気はなく追い詰めてしまったのだろう。

私は彼に「(後輩さんの)いいところを生かした仕事はいっぱいあると思うよ。人懐こくて優しいので、人を支えたり励ましたりする仕事が向いていると思う。」と伝えた。

彼は悲しい笑顔を見せた。今にして思えば、フィットネスインストラクター業を目指していた時期だった。なかなかお金にならないため定職に就いたところで、非定型業務で、かつ熱心すぎる先輩にあたってしまった不遇な彼。

自分と同じ給与レベルで入ってきた後輩はちゃんとできていてほしい。そんな「ずるい」という気持ちが自分には合ったんだと思う。そして、数年後、発達障害かもしれない彼が自分の上司候補として入ってきたことを知らされたときに、一気に彼に対して当たりがきつくなってしまったことは自分の弱さだと思う。

彼の過失ではなく、会社が採用した人。そう最初から思えていたらこんなひどいことにはならなかった。当時の自分は、彼が経歴詐称かもしれないにわかに信じがたい経歴で入社してきて、自分と同じ給料をもらいながら、仕事が全くできていないことが許せなかった。

しかも彼の発達障害に似た独特の感性で、フォローの負担がつらかった。彼のルーティーンに対するこだわりが見えるたび、彼に対する不信感がどんどん募っていく。不信感は4年後に自分の発病という形で終わりを迎えることになる。

そのくせ、自分は解決法を探るため発達障害の本を読み漁るため、「発達障害であるかないかにかかわらず、できる仕事を渡して根気よく仕事を出来る環境にしましょう」という理想的な環境を会社に要望していた。上司は私が発する「発達障害である可能性がある。産業医につないでほしい」という言葉を聞くたびに及び腰になった。(結局彼が大きなミスを連発した後でその可能性があることを認めてくれた)誰も採用者責任を取りたくないのだ。「大手飲料メーカーのグループ会社で働いていた」「社長や部長と楽しく話せていたので」という信じられない理由で採用された彼。誰もかれの能力を確認していなかった。

この会社は仕事をするところではない。波風を立てずに仲良く過ごす場所なんだなと今にしては思う。


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