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見えない物への不安

学生時代、どの先生の授業だったかは全く覚えていないのだけれど多分、島崎藤村さんについてのお話だったように思う。

島崎藤村さんの作品には精神を病んだ人が登場するお話がいくつかある。

その理由の一つに身近な人の病があると言われていて(実姉さんだったと記憶している)、藤村さんは身近な人が精神を病む様子を見て『同じ遺伝子をもつ自分もいつかあんな風に・・・』という気持ちがいつもどこかにあり、見えない将来への恐怖があれらの作品を生み出したのでは・・・というような授業内容だったような???

(何せぼんやりした学生だったので勘違いだったら申し訳ないです。)

いつか爆発するかもしれない爆弾を抱えて怯える。

その爆弾が実際爆発するのか、それともず~~っと静かに沈黙したままなのかは死ぬまでわからない。そんな不安を抱えたまま藤村さんは生きた人だった、というのがその先生のお話だった。

若かった私にははっきりしない不安感がつかみどころ無くて、ただぼんやりと聞いていただけだったけれど。

最近になって少しその気持ちがわかるような気がしてきた。

認知症になってしまった母をみて、自分もいつか・・・と考えることが何度かあるから。


こんなに年月を重ねてからそんな風に思い出し、考えることが出てくるとは思わなかった。

ぼんやりしていてもきっと心のどこかに引っかかっていたお話だったんだろう。

あの時、私に話してくれたもう覚えていない先生。どうもありがとう。

この小さな感謝の念が先生にささやかな幸運を運びますように。


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