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人を動かす原理

いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今週は壽田が投稿致します。

前回は、管理職が人を動かすことで、管理職が存在しないときに比べて大きな成果が上げるから、管理職の存在意義があるということを書きました。

今回は、「人を動かすにはどうしたらよいか」、ということについて書いてみます。これはマネジメントに携わる者としては永遠に探究し続けたいど真ん中の論点ですね。というのも、マネジメントは、人と人との相互作用を通じて成果を上げるのが役目だからであります。

人はひとりとして同じ者はいないのだから、「人を動かすにはどうしたらよいか」という問いに対する答えはないかもしれません。でも、それでは話がおしまいになってしまいます。ここでは、実践を繰り返しすことで見えてきたシンプルな原理を整理していきます。

人を動かす2つの方法

人に影響を及ぼして行動するように促すには、大きく分けて2つの方法があります。それは、相手を「操作する」か、「意欲をかき立てる」かです。
「あの話だな」と予想できる方も少なくないと思いますが、とても大切なことですので、少しお付き合い下さい。
相手を「操作する」とは、自分以外の何らかの力によって行動を起こさせる、ということです。スポーツの世界で、良いプレーができない選手に対して、指導者が大声で怒鳴りつけたり、罰として走らせたりする。反対に、親が子供に対して、ご褒美をあげることでお手伝いを促す、これらが「操作する」にあたります。
「操作する」ことは、非常に即効性がある反面、長く持続せず、更なる行動には常に何かを与えなければならないという難点があります。
これに対して、「意欲をかき立てる」というのは、人の内面にあるやる気や意欲が喚起されて行動を起こすことです。その行動をすること自体が楽しい、もっと上手にできるようになりたいなど、心の満足をエンジンにして行動するもので、趣味や遊びのように具体的に何かを得られるわけではないのに行動する、とても自発的で燃費がよいものです。ですから、「意欲をかき立てる」方が、行動の質が高く、長く持続すると言われています。その一方で、相手ごとに異なるため決め手や成果が非常に捉えにくところがあります。
では、管理職が部下に影響を及ぼす場合にどうしたらよいのでしょうか?


部下を操作する

数値では表現できませんが、上司が部下に影響を及ぼす場合、そのほとんどが「操作する」を使います。「操作する」は手っ取り早く即効性があるからです。
では、どのように上司は部下を「操作する」のでしょうか。
典型なのは、人事評価、昇給やボーナスです。これは部下にどういう行動を取ってもらいたいか、はっきりと伝えることができて効き目があるからですね。期待した行動を取った人は高い評価や報酬を与えられ、どうでない人は下げられる。制度をつくって一定の間隔で運用することで、部下の行動に影響を与えられるので、非常に効率よく「操作する」ことが可能です。
他には、ノルマを課して責任を負わせる、ルールをつくって守るように促す、というのも「操作する」ことになります。これらは程度の差はあれ、ほとんどの企業で採用しているのではないでしょうか。
ここまではどこかで聞いた話に近いのではないでしょうか。問題はここからです。
実は、「褒める」、「親身になって話を聞く」、「丁寧に教える」などというのも「操作する」にあたることがあります。「あたることがある」というのがポイントですね。「操作する」というのは、ある行為の内容で決まるわけではありません。何らかの力を加えて部下に行動を起こさせようとする意図を相手に感じとられたときには、「操作する」ことにあたると考えるのがよろしいかと思います。そうすると、長続きせず、更なるメリットを感じないと自律的な行動はしなくなるという、「操作する」の負の側面がはっきりと現れてしまいます。部下に「特定の行動をとらせる」という意図を持って働きかけをしないように注意しましょう。


部下の意欲をかき立てる

それなら「部下の意欲をかき立てる」ことで影響を及ぼそうということですが、どうすれば良いのでしょうか。これは非常に難しい論点ですね。難しいが故に多くの管理職が実践できないでいるのでしょう。
これまで多くの管理職と接してきたなかで手応えを感じているのは、「上司としての位置づけ(ポジショニング)」と「描く将来像への信念(ビジョン)」です。

ポジショニングとは、部下にとって最大の理解者であり支援者であるという位置づけをとる、ということです。部下が任された役割を全うするために、よく部下の話を聞き一緒になって考える、ときには教えたり、励ましたりして背中を押す、これを日常的な言動によって部下にその位置づけを認識してもらうということです。このポジショニングができてくると、自ずと部下への敬意や関心を持つようになりますので、管理職はそれを一つの目安として自身のポジショニングの良否を判断すると良いでしょう。
もう一つのビジョンとは、自分が実現したい将来像を心から信じてはっきりと口にする、ということです。この場合の将来像は一般常識として受け入れられないものではなく、社会や組織にとって魅力的なものでなければなりません。「部下の意欲をかき立てる」のに、直接部下には働きかけるわけではない、ビジョンが大切というのが意外に感じるかもしれません。しかし、人は文化や慣習として利他や互恵の心を持ち合わせており、それが意欲をかき立てる原動力になっているのではないかと思います。管理職が感情を込めて、「こうしたい」という行動にはとても力があるなぁと感じます。

最後に

人を動かして成果を上げるという管理職の本分は、捉えどころがないため、ノウハウのようなものにし難いものですが、組織OSのアップデートには避けて通れないことでもあります。熱中する組織では、これからも多くの管理職の方々との実践を通じて、人を動かす原理に迫っていきます。管理職に就いている方々は、ご自身の「人を動かす原理」を磨き続けて、所属する組織のOSをアップデートして下さい。


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