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#衛星

【図解コラム】私たちはデジタル情報をどのように電波や光で送っているか

民間企業による人工衛星を使ったビジネスによって、今後10、20年で市場が爆発的に広がると期待されている宇宙産業。さらに人工衛星の通信における媒体が「電波」から「光」へと変わると、地球上ではさらなる高速・大容量・低遅延の通信が実現すると言われています。 以前、IISE noteのコラム記事では「情報通信において電波と光にはそれぞれどんなメリットがあるのか」を紹介しました(記事リンク)。そもそも、私たちは普段スマホやPCで文字や音声、画像に映像と、さまざまなデータを送り合って

OneWeb、Project Kuiper、中国政府……スターリンク以外の衛星コンステレーションの動向

急拡大する宇宙ビジネスの中で特に注目されている「衛星コンステレーション」。一定の軌道上に多数の人工衛星を打ち上げて、一体的に機能させるシステムを指しますが、中でも近年は米Space Xの「Starlink(スターリンク)」を筆頭に、高度200km~2000kmの軌道上に何百、何千、何万機と衛星を打ち上げて連携させる"低軌道・大規模”の衛星コンステレーションを各企業や政府が計画しており、関心が寄せられています。 Starlinkはすでに高度550kmの低軌道に5250機以上

「必要なのは、衛星データが前提の社会デザイン」新しいルール構築に向けた、城戸彩乃さんの仲間づくり

宇宙ビジネスに取り組む企業の増加や衛星データ利活用の推進によって、宇宙産業は今後 より大きな発展が予想されています。そんな中で、将来的に宇宙ビジネスをより大きく育てていくため、携わる企業や人にとってはどういった取り組みが必要になるのでしょうか。 自身を「技術の翻訳者兼プレイヤー」とし、企業と連携した宇宙テクノロジーの社会実装に取り組んでいるのが、株式会社sorano me代表の城戸彩乃さん。同社は主に宇宙産業に関する業務支援やコンサルティングを行い、宇宙技術の利活用を考える

自動運転や防災・減災まで 地図アプリだけじゃない測位衛星の活用事例

自動車のカーナビゲーションシステムやスマートフォンの位置情報サービスに活用されている、衛星測位システム。アメリカによる28機の人口衛星からなる全地球測位システム「GPS」がおなじみですが、日本でも準天頂衛星システム「みちびき(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)」が、測位衛星4機体制で2018年から運用されています。 衛星測位システムは、複数の測位衛星から発信した電波を(スマートフォン等の)受信機が受け取り、測位衛星それぞれとの距離を測り受

環境問題解決に向けた先端技術、宇宙、資金~ASIA GREEN TECH SUMMITインタビュー~

IISEの野口聡一理事が、2024年3月8日にシンガポールで開催されたASIA GREEN TECH SUMMIT(日本経済新聞社・Financial Times共催)のキーノートインタビューに登壇しました。今回はこのキーノートインタビューの内容を報告します。 同イベントでは、アジア地域を中心とした各国のビジネスパーソンが参加し、アジアにおけるGXの方向性についての活発な議論が行われました。 キーノートインタビューのモデレーターは、日本経済新聞社の安藤淳編集委員が務められ

人工衛星の「光害」は、社会に何をもたらすか 国立天文台・平松正顕さんインタビュー

米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」を筆頭に、民間企業による人工衛星の打ち上げが加速度的に増している今、天文学者の間で「光害(ひかりがい)」に懸念の声が高まっている。人工衛星に太陽光が反射して天体望遠鏡に写り込むなどして、天文観測に大きな支障をもたらしかねないとするものだ。 「影響は天文学だけではありません。2030年頃には10万機ぐらいの人工衛星が飛ぶ世界になるでしょう。そうなると私たちが見ている星空が、これまでとは質が違うものになってしまう可能性がある」

日本のスマート農業に人工衛星がもたらす未来 第一人者が語る「アジアをリードできる可能性」

近年、民間企業による人工衛星が増加しており、衛星からの位置情報やリモートセンシングデータを活用したさまざまなビジネスの創出が期待されています。その中の一つで注目されているのが「スマート農業」。労働力不足が深刻な日本の農業において、測位情報を使って農業ロボットを自動運転させるなど衛星の活用が進められています。 農業におけるビークルロボティクス研究の第一人者である北海道大学の野口伸教授は、2022年に高知県の柚子農園で準天頂衛星「みちびき」を活用した柚子の運搬作業の実証試験を

まずは社内で宇宙を使い倒す。三井物産流・新産業の創出法とは〜宇宙は社会課題を解決するのか#2〜

気候変動や自然災害、少子高齢化……。 私たちが直面している社会課題の解決策のひとつとして「宇宙空間」の活用が注目されています。 このシリーズでは、グローバルに活躍する様々な業界・業種の皆さんとNECの独立シンクタンク・国際社会経済研究所(IISE)の理事を務める野口聡一さん、NECフェローの三好弘晃さんとの対談を通じて、宇宙利用の可能性を探っていきます。 第2弾となる今回は、三井物産 モビリティ第二本部 航空宇宙部 宇宙事業開発室 室長の重枝和冨さんをお迎えして、宇宙事業

【図解コラム】通信における「電波」と「光」の違いは? それぞれの長所と短所

民間企業による人工衛星の打ち上げが急増し、これから10、20年で市場が爆発的に広がると期待されている宇宙産業。現在、人工衛星の通信には主に「電波」が使われていますが、近い将来「光」も多くの通信で用いられるようになると、さらなる高速・大容量・低遅延の通信が実現すると言われています。 私たちは普段、音声や画像、映像などさまざまなデータをスマホやPCで送り合っていますが、この通信にも電波や光が使われています。光回線、光ファイバーといった単語には聞き馴染みがあっても、なぜ光のほうが

注目の「衛星コンステレーション」とは? 背景や仕組み、代表的な企業、メリットやビジネス分野を紹介

はじめに 従来、宇宙に関する産業は、日本のJAXAやアメリカのNASAが代表されるように、国が主導する事業がほとんどでした。しかし最近では、民間企業が人工衛星やロケットを打ち上げ、それをもとに新たなサービスが提供されるようになってきました。 中でも注目されているのが「衛星コンステレーション」。多数の人工衛星をある軌道に打ち上げ、一体的に機能させる技術構想を指します。 近年は、低軌道に何百機、何千機もの大規模な衛星コンステ―レションを築くことで、いままでにない新しい価値や

人工衛星による「光害(ひかりがい)」、天文観測へ深刻な影響 夜空の文化遺産を守るためには

地球から高度200km~1000kmほどの低軌道上に、何百機、何千機もの人工衛星を打ち上げて一体的なサービスを展開する「衛星コンステレーション」ビジネスが、近年盛り上がっています(※参考記事)。世界に大きな市場をもたらすと期待が寄せられる一方で、衛星による「光害(ひかりがい)」を懸念する声も天文学者の間で年々高まっています。 天体観測が阻害されるだけでなく、人類が築いてきた“夜空における文化遺産”が失われるとも指摘される、衛星コンステレーションの「光害」。世界で交わされてい

「光通信は、実装のフェーズに入ってきた」ワープスペースが構想する、通信衛星とそのマーケット

「宇宙の通信をよりシームレスに」という目標を掲げ、地球と宇宙を結ぶ光通信ネットワークの実現を目指す宇宙スタートアップ企業、株式会社ワープスペース。 同社が構想する「WarpHub InterSat(ワープハブ・インターサット)」は、中軌道上の人工衛星3基による衛星コンステレーションです。3基の衛星の役割は、地上局と人工衛星との間で行われる通信を中継すること。光通信を利用して、従来よりも大容量かつ高速に、人工衛星が取得したデータを地上へと伝送するのがサービスの目的です。 ワ

【図解コラム】スターリンクで注目の「衛星コンステレーション」 メカニズムを解説

スペースXの「スターリンク(Starlink)」を筆頭に、今後10年から20年で世界に大きな市場をもたらすとして注目を集めている「衛星コンステレーション」。 一体どんなシステムなのか。これまでの人工衛星とどう違うのか。そして地球上の私たちの暮らしにどのような影響を及ぼすのか……まだまだ聞き馴染みの薄いこのキーワードについて、図や表をつかってわかりやすく解説します。 多数の人工衛星が一体的に働く 衛星コンステレーションコンステレーション(英: constellation)とは

国内の衛星コンステレーション構築に取り組む企業、それぞれが提供しているソリューションは?

宇宙空間を舞台にした経済活動に取り組む企業が増える中で、地球の軌道上で、独自の「衛星コンステレーション」を構築する企業が増えてきています。 衛星コンステレーションとは、軌道上に多数の人工衛星を打ち上げて、一体的に機能させるシステムのこと。現在は、人工衛星1機あたりの打ち上げコストが抑えられるようになったことから、地球上の低軌道(地上200km〜2,000km)に打ち上げた複数の人工衛星による「低軌道かつ大規模」な衛星コンステレーションが注目を集めるようになっています。 海