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飯田創造館


夏の彫塑講習会

 飯田市の文化の拠点、飯田創造館の閉館が決りました。寂しい限りです。私もかつては南信美術会に所属し、毎年夏に同館で開かれる彫塑講習会に参加していました。真夏の1週間粘土と、石膏と、木やシュロ縄そして何より、モデルとの格闘です。と言っても、モデルさんを引っ叩くわけではありません。講師は長野県阿南町出身の彫刻家城田孝一郎先生。初めてご指導いただいたのは二十代後半だったでしょうか。とーっても穏やかに「こんな心棒じゃいつまでやってもロクなものになりませんよ。」言われてしまいました。もとよりカッとなりやすい性質の私、「チッきしょー!!」「ダメなら1からやり直してやるよーー!!!!」(心の声)6〜7割ぐらいついた粘土を全部引っぺがして、心棒も全部崩して捨ててしまいました。ここまで2日間の工程がゼロ。高く高く伸びた鼻をへし折られた瞬間でした。頭から湯気を立ててやり直しているとスーッと近づいてこられて一言、なんだか嬉しそうに「やってますね〜。」。「やってるよっ!!!」(心の声)モデルさんにも励まされてしまいました。「きっといい作品になりますから頑張って下さい。」。
 先生の指導は当初とても難解に聞こえました。しかし面白いもので2〜3日後に腑に落ちたり、あるいは半年ぐらいして腑に落ちたりしました。それだけレベルが違ったのだと思います。また、少しでも気を抜いた箇所はピンポイントで指摘し、指導されてしまいます。普段の作品を見ていただく「講評会」ちょっと嫌でした。とーっても穏やかな口調でけちょんけちょんなので。
 その後、村会議員になり、彫刻に手が付かなくなり、講習会に参加できなくなり、会の活動も何もできなくなってしまったので南信美術会も退会させていただきました。引退したらまた始めます。当時一緒に取り組んだ仲間にはもう追いつけないでしょうが。先生はご存命のはずです。私なんぞのことは忘れてしまわれたと思いますが、、、、。
 創造館が無くなってしまったら彫塑の講習会はどうなるのかと部外者ながら心配しています。彫塑に限らず絵画、書や、陶芸、ダンスや音楽など文化活動の中枢でした。こういった文化活動は無くならないと楽観していますが、やっぱり寂しいです。

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