中東情勢が為替市場にどう影響するのか

中東情勢は、主に以下の3つのメカニズムを通じて為替市場に影響を与えます。

1. 原油価格への影響

中東地域は世界最大の産油地であり、中東情勢の緊迫化は原油価格の変動要因となります。原油価格が上昇すると、エネルギー輸入国である日本にとっては円安圧力となります。一方、原油価格が下落すると、輸出国にとっては円高圧力となります。

2. リスクプレミアムの変化

中東情勢が不安定化すると、世界経済全体のリスクプレミアムが高まります。リスクプレミアムが高まると、投資家は安全資産である円を買い、リスク資産であるドルを売る傾向があります。そのため、円高・ドル安方向へ為替市場が変動します。

3. 資金の流れの変化

中東情勢の悪化懸念が高まると、投資家は中東地域への投資を縮小し、安全な地域への投資を増やす傾向があります。具体的には、中東地域の通貨を売却し、円や米ドルなどの主要通貨を購入します。この結果、中東通貨安・主要通貨高方向へ為替市場が変動します。

以下、最近の具体的な事例をいくつかご紹介します。

  • 2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻を開始したことを受け、中東情勢が緊迫化し、原油価格が急上昇しました。この影響で、円は対ドルで一時1ドル=135円台まで円安・ドル高となりました。

  • 2023年11月、イランと米国の間で核合意をめぐる交渉が行き詰まったことを受け、中東情勢が再び緊迫化し、原油価格が上昇しました。この影響で、円は対ドルで一時1ドル=140円台まで円安・ドル高となりました。

このように、中東情勢は様々な要因を通じて為替市場に影響を与えます。中東情勢の動向を注視することは、為替市場の動向を予測する上で重要です。

なお、為替市場は複雑な要因によって変動するため、中東情勢以外にも、世界経済の動向、金利動向、政治情勢など様々な要因を総合的に判断する必要があります。

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