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赤ずきんとオオカミさん。




ある小さな村の小さな森の中に、とても恥ずかしがり屋で優しいオオカミが住んでいました。
ある日、森の中を散歩していると花畑で花を摘んでいる人間を見つけました。
見つかったら怖がらせてしまう、そう思ったオオカミは木の影に隠れました。
花を積んでいる人間は赤い色のずきんをかぶっていました。
そしてそのずきんの下には、鮮やかなピンクの髪の女の子の顔が見えました。
オオカミは一瞬でその子に恋をしてしました。


女の子は、小さな村に住む赤ずきんという名の子でした。
赤ずきんは週に一度、村の隣の森に住むお婆さんの元へパンやブドウ酒を届けていました。
赤ずきんは、花がたくさん咲くこの森が大好きでした。
赤ずきんの母親は、森には恐ろしいオオカミが住んでいるから気をつけるんだよ。
そう言われていましたが、赤ずきんはこんなキレイな場所に怖い者などきっといないと思っていました。




赤ずきんが森にやってくるようになってから、いくつ月が沈んだでしょうか。
毎週やってきては花を摘む赤ずきんの姿を眺め、どう声をかけようかとオオカミは考えます。
ですが、突然目の前に現れたらきっと怖がらせてしまう、と声をかけられずにいました。

その日は爽やかな風の吹く日、いつものように赤ずきんは花畑でお婆さんへ花を摘んでいます。
そんな赤ずきんを木の影からオオカミが見ていると、ビュウっと強い風が吹きました。
オオカミは驚いて目を瞑り、次に開けた頃には赤ずきんの姿がありません。
辺りを見渡しても見当たりません、不思議に思うオオカミの後ろから突然声がしました。

「おおかみ、さん」

驚いて振り向くとそこには赤ずきんが立っていました。

「え、、、い、いつのまに、、、俺はその、怖がらせたくなくて、、、、」

オオカミがそう言い終わると赤ずきんが言いました。

「ずっと、みてるの、しって、た」

「おおかみさん、おはなさいてるの、、ところ、ほかにある、?」

赤ずきんはオオカミのことを恐れませんでした。
オオカミを恐れない赤ずきんの声は、小鳥の声のように可愛らしいものでした。

「俺が、怖くないの、、、?」

赤ずきんはオオカミの手をとりさっきいた場所へ引っ張って行きストンっと腰を下ろしました。

「このおはなの、あかいの、ほしい、おばあちゃんにあげたい、の」

赤ずきんがそういうと今度はオオカミが赤ずきんの手を取り、赤い花の咲くところまで案内しました。
オオカミは、自分の姿を見てもちっとも怖がらない赤ずきんのことがますます好きになりました。




花畑に着くと、赤ずきんはずっと探していたお婆さんの大好きな赤い花を、大切に大切に摘みました。
そして摘んだ花で花冠を作り、オオカミの頭に乗せました。

「おはな、ありが、と、またあそぼ」

そういうと、微笑み赤ずきんはおばあさんの家へ向かいました。


その晩、オオカミは赤ずきんからもらった花冠を枕元に置き眠りました。
次はいつ会えるだろう、今度会った時はもっとたくさんの花が咲くところを案内してあげよう。


おしまい。

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