♢ 神様になれなかった天使 【プロローグ】
「ねぇ、母さん」
「なぁに?」
「こないだおばあちゃんちに桃届けに行った日にさ、帰り道で昔夏祭りで神社に行ったの思い出したんだけど、あの神社ってどこにあったっけ?」
夕飯の支度をしていた母に話しかける。
母は包丁軽快に動かしながら教えてくれた。
「あぁ、あの鳥の神社、懐かしいわねぇ」
「鳥?」
「あら、覚えてないの?あの神社に祀られてる神様は鳥の翼を持つ神様でね。」
「あなたおじいちゃんにその事聞いたら、天使の神様だぁって騒いでたじゃない」
「なにそれ、全然覚えてない」
「天使は天使なのにどおして神様になれるのぉって、おじいちゃんのこと質問攻めにして困らせてたわよ」
「りょうはまだ小さかったから覚えてないか」
そんなことがあったのか。
「今日はカレーよ、カレーのお皿出してくれる?」
「分かった」
皿を出しながら、今度その鳥の神社に行ってみようと思った。
古書店に神社か、我ながら渋い趣味だなと思った。
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