四国八十八ヶ所巡礼⑨
テントを叩く雨の音で目を覚ました。
ふむ。雨か。
天気予報に傘のマークは見ていたが、冬季なのでワンチャン雪にならないかなと期待していたが、そこまで気温が下がらなかったらしい。
雨の日にバイクに乗るのは嫌いではないが、キャンプとなれば話は別だ。
撤収に時間がかかるからだ。
昨日購入した2束の薪は一晩で1束半ほど使っている。軽量を追い求めた結果チタン製の薪ストーブを購入したが、放熱量が大きいのか火を絞るとすぐに立ち消えしてしまい、もれなくテントの中で燻製にされてしまう。
黄金比がどこかに無いかと試行錯誤してきたが、燃費が悪いなら悪いで、しのごの言わずに薪を大量に持ち歩けば良い、と言う情け無い結論に到っていた。
残りの薪を焚きながら朝食を取る。
薪を燃やしてしまわないと、持って帰るにも荷物に余裕は無い。
結局全ての撤収を終えたのは10時も回った頃になってしまった。
雨の中、山を下る。
雨の寺院も良い、と思うが冬季である。
テンションは低めである。
夜間に少し傘マークがあったくらいで快方に向かう筈の天気は一向に良くならなかった。
お遍路されている方も居ない。
一つお参りしては、雨宿りしながら待つが、雨は止まず諦めて次へ、みたいなペースでは一向に進まない。
雨宿りしていると、首から下げた頭陀袋を見つけてか、地元の方に良く話しかけて頂いた。
そもそも冬場にお遍路されている方も少ないのか。
雨は止まない。
とうとう雨合羽を抜けて、中に着ていたダウンが濡れて来た。
冬場のバイクは基本的に体力を使う。
身体がどんなに頑張って発熱しても、走り出せばすぐに赤字に転ずるからだ。
これは、潮時だ。
風邪でも引けば元も子もない。
久しぶりの四国はなかなかハードな結果に終わった。
土日だけで行った、といえばまぁこんな感じなのかなと思うが、私としては冬季の、まして雨の中でも1年振りのお遍路を再開出来た事に大きな充足感を得ていた。
ヘッダーの画像は、帰宅翌日から始まったギア乾燥祭りの様子。
TCのテントは、なかなか乾かない。
つづく
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