がんになった話
2022年にがんを患った。
身内に記録をつけておいたほうがいいよとも勧められたけど、とくに書きたいこともないしな……と、ここまで来てしまった。しかし後年再発した場合に、あのときはこうやって対処してたっけと思い出せるものがあると便利かなと思うので、ちょっとだけ書き残すことにする。
ざっくりとした経緯
乳がんステージⅡa。初期症状は乳頭の陥没。その後に痛みが出たため、検査をお願いしたところ病気が発覚した。
先生の勧めでまずは抗がん剤治療から始めたところ、手術前にはがんが消えているように見えると言われ、部分切除手術に臨みはしたがリンパなどへの転移もなく、ほぼないことを確認するだけで済んだ。
抗がん剤治療は4回ずつ投薬を変えて計8回。術後に3週間おきの点滴を10回、その後放射線治療を約1か月半(平日毎日)というのが大きな治療の流れ。入院は、抗がん剤治療の各初回と手術の計3回した。
現在は、かかりつけの先生へ3か月ごとに通院してお薬をいただき、半年に1度マンモとエコーを受診している。
お金の話
結局がん治療ってどれくらいかかるのか。友人知人とも話したけども、やはり治療に際してお金の不安は一番の敵だと思った。
まず、わたしの場合は1年半ちょっとの通院で手払いした病院代のみで約100万ほど。別途、薬代や入院に必要なものを揃えたり、仕事を休む必要があるため生活費も入用。
高額医療申請をしていても、1回の支払いで5万以上払うこともしばしばあったので、通院治療はもちろんだけど、告知された時点でそれなりの一時金くれる保険に入っておくと安心感があるんじゃないかな。
副作用の話
昨今、先生が治療前にものすごく丁寧に説明をしてくださる。なので、わたしの場合は説明を受けた症状が出ても気にしない(自分なりの処置はするけどそれを理由にくよくよしない)ようにしていた。気にしてもいいことないからね。
以下に、お薬でなんとかならなかった副作用対策、わたしの場合はこう対処したよという覚書を残しておく。
1)脱毛
もともと毛量が美容師泣かせなくらいあったので、抜ける切なさより掃除があまりにも大変で「早く抜けきって…!」と願っていたくらいだった。
脱毛時に散らかり防止で使用するネットは1セット(10枚)では全然足りず、ピーク時は1日1枚では不快感があって交換したくなるので、2~3セットはあらかじめ買っておくと安心かもしれない。
ウィッグは、仕事などである程度外に出る・人と接する必要がある場合は、人毛混以上がいいと思う。
お値段も跳ね上がるけど、きちんとした医療用ウィッグでも見た目や質感があまりにも違うので、今はネット購入も可能だけど実際の商品を見て触って納得したものに決めた方がいいと思う。あと、ちゃんと医療用ウィッグのお店で買うと、メンテナンスもしてくれるし、困りごとがあっても相談に乗ってもらえる。(店員の方にも経験者の方がいたり、お客さんからの体験談もたくさん聞いておられるという意味でも幅広く相談に乗ってもらいやすい)
抗がん剤後半になると髪以外の体毛にも影響が出始めたけど、眉やまつげ以外は寧ろ日々のケアが不要になって楽ちん。眉は全滅こそ免れたものの、以前より描くのが上達したので悪いことばかりではなかったと思う。
抗がん剤終了から2年経っての毛量は、美容師泣かせな頃までは戻り切っておらず、「ちょうどいい」と感じるくらい。眉も以前の2/3くらい。
全部戻り切るかはわからないけど、不自由はない。
2)味覚障害
抗がん剤後半と、術後の点滴治療の時期に味覚障害が出た。
前者では、旨味・塩味・苦味がわからなくなり、後者では旨味と塩味がわからなくなった。カレーも辛いことしかわからないし、とんこつラーメンで脂っぽいことしかわからない衝撃はなかなかの体験。
しかし味覚が制限されてても、おいしくご飯を食べることはあきらめない。そういった時期に食べていたもの。
まず、肉より魚のほうが味を感じやすかった。特に青魚やまぐろのお刺身はおいしく食べることが出来た。
甘味や酸味はきちんと味が感じられたので、無印の輸血パックに激似と評判のねり梅や、カルディの香草チーズパン粉は常備。オムライスやナポリタン、ポテサラやかぼちゃサラダもよく食べた。
術後の点滴治療は期間が長かったこともあり、味覚が戻るまで少し時間はかかったが、水の味の違いがわかるくらいまでちゃんと戻っている。
3)爪の割れなど
ゆるやかなカーブを描いていた爪がぺたんこになったりするのはどうしようもなかったが、治療もいよいよ終わろうという頃に笑っちゃうくらい爪がもろくなった。
程度で言うと、缶のプルタブを上げようとしたら割れる。食品のキャップについている開封防止のプラスチックフィルムに触れても割れるレベル。
なにをしても割れるため、伸びすぎないよう常に爪を整えるのはもちろん、ネイルポリッシュで保護したりはしていた。それでも割れたところに直接塗るのは気が引けるし、すぐ剝がれてしまうため、割れたところはまず塗る絆創膏で蓋をして、更にネイルを重ねて硬度を上げていた。割れの程度によるが、塗る絆創膏で若干凹凸は出るものの、トップコートの厚みで案外誤魔化せる。
あとは、ケアの際にオイルに加えて、ネイルセラムを使い始めてから回復が早くなったという体感がある。早ければ即日欠けたり週2~3回の塗り直しが必要だったのが、今では1週間余裕でもつくらいにまで戻った。
お薬でなんとかならない副作用への対処はこれくらい。
自分への覚書も兼ねてはいるけれど、必要な人の一助となれば幸い。
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