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【最終話】POP UP STORE"音標本箱"の開催を振り返ってみて

こんにちは。こんばんは。
今回、noteにて連載記事として取り上げていた「POP UP STORE"音標本箱"」に関して、2024年4月27日-28日に無事に開催することができたことを記念し、【最終話】として振り返りの記事を残していく。

開催概要
タイトル:音標本箱
日時:2024年4月27日(土)〜4月28日(日) いずれも10:00〜18:00
場所:gallery yururi
東京都目黒区緑が丘2-7-13
東急東横線/大井町線 「自由が丘駅」から徒歩約7分

当日の様子

プロトタイプからプロダクトへ

出展したプロダクト

音を採取して3Dプリントすることでマテリアライズする試み「音標本」
2年前からプロトタイプを重ねて、ワークショップ・展示を行っていた。

以下のnoteにて詳細は記載

1番最初のプロトタイプ(2022年3月)
ワークショップを通して体験者と一緒に楽しむ試み(2023年)

今回はプロトタイピングレベルではなく、コースター・ボールペン・キャンドルケース・ランプシェード・アクセサリー・スモールストレージ・ドライフラワー用花瓶…などなどプロダクトへと転用し販売を試みた。

小さな白い箱のようなギャラリーを、さまざまな音標本が詰まった箱へ

会場の様子

会場は東京都目黒区にあり自由が丘駅から徒歩10分程度の「gallery yururi」という場所を借りた。となりには「みどり湯」という銭湯があり、同じオーナーが管理している。

白い空間をどう活用するか。プロダクトを売るだけではなく標本化した音が詰まった箱をどう表現するか。試行錯誤を重ね、インスタレーションを設置した。

音を標本化したインスタレーション

見どころのインスタレーション

録音した音を最初から最後まで全て3Dプリントするというものである。この標本をつなぎ合わせると1つの録音データから採取された音の波形が手に取れる。
全てが違う形状をしている筒状の音標本を並べ、音が流れる時間、高さや大きさによって生まれる波、を表現した。

8人のクリエイターが生み出すさまざまな音標本が並ぶ空間

主催であるND3Mメンバー7名+今回の企画のコラボクリエイターであるTOTTI氏を含めた8名の作品が並んだ。

コラボクリエイターであるTOTTI氏についての詳細は以下の記事にて

来場者数は2日間で50名を超え、1人1人に音標本について、作品について、丁寧に説明を行った。

作品について説明する様子

小さなギャラリーである分、来場者と作品を通した密なコミュニケーションが生まれたことが印象的である。

リアルタイムに3Dプリントする試みも行った

製品だけでなくパッケージまでこだわりを

「標本」をテーマにしたパッケージデザイン
中でプロダクトが揺れない工夫も

標本につける「ラベル」をデザインへ

ラベルデザイン
フライヤーデザイン

プロトタイプを通して生まれる会話と、プロダクトを通して生まれる会話と。

今回ははじめてのPOP UP STOREの開催となった。
最も印象的であったのは「クリエイターと、作品を手にとる人との間で生まれるコミュニケーション」である。

今まで回数を重ねてきたプロトタイピングや展示・ワークショップで生まれていたコミュニケーションは、創り手も受け取り手も「体験」そのものに価値を見出した対話が中心であった。こどもたちが「3Dプリンターを使って楽しかった」、親が「こどもの笑顔を見ることができて、ワークショップから帰ったあとも生き生きしていて親としても嬉しい」といったものである。
創り手にとっても「リアルタイムに音を採取して3Dプリントしてみたら面白かった」「予測不可能な形状が生まれて気づきがあって楽しい」というような会話が中心である。

一方で、今回のようなプロダクトまで仕組みを落とし込んで販売する試みでは「この波がキラキラしているのが可愛い」「手に馴染む」「色が美しい」「音を身につけている、それはどんな音か、というのを話題にできて盛り上がりそう」といった対話が受け取り手と創り手の間で生まれていた。

「どうやってマテリアライズしたか」よりも「どんなマテリアルか」に対話がシフトしていたことが印象的である。

プロトタイピングのように脳みそで考えて吸収して価値や面白さを見出す行為と、プロダクト製品のように手で触れて五感で素直に価値や面白さを見出す行為の両方を何度も往来した。

食べ物を話題にしたかの有名な話を引用すると、どこで誰がどう作ったかというようなストーリーに価値を見出し「脳みそで楽しむ」行為と、実際にどんな味がするか「舌で楽しむ」行為のように。

「脳みそで楽しむ」「五感で楽しむ」を往来し、いかに面白く美しいマテリアルを世の中へ生み出すかについて、強く実感した試みだった。

クリエイターズ集合写真

最後に

今回のシリーズを最後まで読んで頂いたみなさま、ありがとうございました。
告知から最終話までND3MのMEDYが担当しました。

2年前、奈良県の吉野の山の麓で生まれた取り組みが、名古屋市内での数々のワークショップ、岐阜でのこどもたちとのワークショップを経て、プロダクトへと成長するとは…2022年春先の我々には想像がつかなかったことです。

プロトタイピングで終わらせすプロダクトへ昇華させることでどんな世界が見えるのか、クリエイター達の好奇心・探究心・向上心から生まれた挑戦的な企画であったと感じています。

「音標本」を足がかりとし、まだまだ我々は新しい世界を探っていく所存です。
今後も一緒にまだ見ぬ世界を楽しめたら良いなと思っています。

また会う日まで!





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