ほぼ日の塾に通らなかったはなし
ほぼ日の塾の第4期選考に通らなかった。
''落ちた''という表現はなんか違う気がして、''通らなかった''ということで。
最初に書いておくと、この文は通らなかったことに対しての負け惜しみとかそういうのではないこと。
選考結果メールを受け取ってから感じたことを流れるままに書いている。
なので、ところどころ支離滅裂な部分があるかもしれません。
それでも最後までお付き合いいただければ幸いです。
''ほぼ日の塾''とは、コピーライターの糸井重里さんが主宰するウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』(以下、ほぼ日)内にある人気コンテンツのひとつで、ほぼ日のコンテンツがどのように作られているのかを一般の人達が学び、それを実践編としてインタビューやエッセイとして発表する…というものである。
高校生の頃からほぼ日のいろんなコンテンツを読んできたけれど、ほぼ日の塾での塾生の皆さんのコンテンツはどれも面白くて、年齢や境遇が近いからか深く頷きながら読むものも多かった。読みながら力を貰えたり、救われたような気持ちになることもあった。
そんなほぼ日の塾が今回第4期を募集することになったのは8月の初めの話。応募するのに迷いはなかった。
急いでほぼ日の塾の開講スケジュールを確認してみる。…うん、頑張れば行けそう。
ほぼ日の塾の開講場所はもちろん東京で、わたしが住んでいるのは東北だったものの、交通手段が多様になった現在、いくつも行ける手段を組み立てられる。頭の中では自然と考えていた。
早速応募フォームにアクセスしてみる。
必要事項の中には応募動機を書く部分があって、書き進めてみるものの何度も手が止まる。そして少し唸る。
書けば書くほど、自分が今の状況と悩みにちゃんと向き合えてないことが見えてきた。
わたしの応募動機はどちらかというと明るい志望動機ではなく、書くのが好きだったのになんだかぎこちなくなってしまったこの状況を打開したい、どうにかしたいというものだったので書けば書くほど自分の痛い部分とどうしても向き合わなければいけなかった。
普段仕事や生活していて、悩みや痛い部分について考えているつもりだったものの、本当は向き合えていなかったのだ。
わたしが向き合っていたのは、ぼんやりとした得体の知らないオバケのようなものだった。
それでも、応募するには書かなきゃいけない。
仕事の合間、帰宅後、パソコンを開いては自分の文と向き合い、唸り、何度も書いては消しを繰り返した。
すると、少しずつだけども得体の知らないオバケはすらすらと表現となり、言葉となり、画面の中に並んでいくようになった。
その頃から、頭の中のもやもやが少しだけ晴れた気がした。
オバケの正体がわかった安心感からだろうか。
そして、書き進めていくうちに思った。
「わたし、今はほぼ日の塾に向いてないかもしれない」と。
書き進めてオバケの正体もわかった。わずかながら自分がどうしたいのかわかった気もする。
だけど、果たしてそれはほぼ日の塾が向かおうとしている方向と同じだろうか?
わたしのベクトルと、ほぼ日の塾のベクトルと同じ向きだろうか?
そんな感覚に気づいてしまった。嘘はつけなかった。
それでも、ほぼ日の塾に行ってみたい。受けてみたい。
修正と加筆を繰り返し、応募〆切のギリギリに完成したその文は、最近書いた文章の中で一番正直で、悩んでいたぎこちなさも(自分の中では)感じられないような仕上がりとなった。
エンターキーを押した後、ちょっと清々しい気持ちになった。
自分のできることはやった。''人事を尽くして天命を待つ''みたいに、あとはもうどうにでもなれ。どうか、いい方向へ。
〆切後、ささやかな夏休みと夏風邪と仕事を経て、ついさっきほぼ日から選考結果メールが届いた。
メールのタイトルが目に入った瞬間、身体中の体温が一気に上がる。汗が噴き出す。
メールを開いてゆっくりと本文を読み進めた。
結果は、冒頭の通り。
メールを読み進めていくうちに落胆する気持ちと、しょうがないと納得する気持ちと、けどやっぱり悔しいという思いと。
やはり今のわたしにはほぼ日の塾とのベクトルが合わなかったらしい。
でも、書けるだけ書いたし、応募しなければあんなに自分の痛い部分と向き合うこともなかったかもしれない。
ズルズルともやもやを引きずってはオバケは大きくなっていただろうと思う。
それだけでも応募して良かったなぁと思った。
まだちょっと苦いけど。
今回は900人を超える応募だったそう。
そんな膨大な量の応募の中でもわたしの文を読んでくださって有り難かった。
いつか、沢山埋もれた中でもパッと見で惹かれるような文章が書けるようになりたい。
ほぼ日の塾の応募のことは、家族にも言ってない。
普段あれこれする時に「〜しようと思うんだけど」と言っていた自分の癖と決別するために。
(受かったらさすがに説明するつもりだったけど)
自分で自分のことを決められていないような気がして、それがずっと引っかかっていたからだ。
今回は残念だったけど、いつか家族や友達に良い報告をできるようにしたい。
「ほぼ日の塾受けてくるね」と言い切るみたいに。
P.S.わたしがほぼ日の塾の中で好きなコンテンツです。よかったらご一読くださいな。
第2期
『「常連さん」へのあこがれと、定食屋『チャーリー』』ゆうきすずき
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