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スローツーリズムPJ 橋本浩司 インタビュー

石川県の最も先端に位置する珠洲市。時に「さいはて」とも呼ばれるその場所で生まれ育った彼は、いま、石川県を丸ごと楽しめるようなツーリズムを仕掛けています。

彼がいま暮らすのは加賀市。珠洲市からおよそ200km離れた加賀市は福井との県境に位置する県内最南部のまちです。まるで石川県を縦断するかのように活動の輪を広げるのは橋本浩司さん。

2017年11月に加賀市に移住し、Next Commons Lab 加賀(以下:NCL加賀)のメンバーとして活動しています。

ーー 橋本さんのプロジェクトを教えてください。

プロジェクト名は、「暮らしを魅せるスローツーリズム」です。「食・祭・ひと」を大きなテーマとし、石川や加賀を訪れた方々が、観光スポットだけではなく、その土地ならではの「地元」に触れることで「またここに帰ってきたい」と思ってもらえるような体験を提供したいと思っています。

2018年2月には、本格的にツーリズムを企画・プロデュースするため【musubi-結-】を立ち上げました。ゆくゆくは加賀だけではなく石川全域を繋げられるようなツーリズムを目指していきます。

ーー 加賀に来る前のこと、詳しく教えてください。

高校を卒業して地元の石川を離れ、京都にある大学に進学しました。大学時代は、NPO法人きょうとNPOセンターのインターン生としてNPOのリサーチや学生起業家を発信する場をつくったり、休学してカナダに語学留学もしていたりしました。

学生時代から旅行が好きで、国内に海外に、バックパックで回っていました。社会人になってからは、自分がやりたいことがあればツアーをつくり、友人を誘っていました。「屋久島ツアー」や、地元を巡る「能登ツアー」もつくり、友人に来てもらったりもしました。もともと旅を企画することが好きでしたが、「能登ツアー」を楽しんでくれる友人の姿をみて、たくさんの人に石川の魅力を伝えたいと思うようになりました。

大学を卒業した後は、家具や雑貨を国内で販売する商社に就職して、福岡で5年、その後に東京で2年、営業の仕事をしていました。

ーー 石川県加賀市やNCL加賀を知ったきっかけは?

県外で働きながらも、ずっと地元のことは気になっていました。でも帰ったところで自分はどういった働き方ができるのか。具体的にイメージができずにいました。そんな頃に、東京で開催されている地域おこしのイベントに参加して、NCL加賀の存在を知ったんです。

最初は、生まれ育った珠洲と加賀が離れていることもあり、迷いも大きかったんですが、最終的には「珠洲だけではなく石川県全域をつなげて盛り上げていくことが出来るんじゃないか」と、プラスの思いに変わり応募を決意しました。

ーー「橋本さんといえば祭」というイメージがあります。

祭が純粋に好きなんです(笑)

そもそも石川に帰ろうと考えるきっかけは、東京のとある祭に神輿の担ぎ手として参加したことなんです。東京のひとはよく「地元がない」って言いますが、その祭に参加したときに、“東京にも地元がある”と思いました。祭には、その地域の方が大切にしているものすべてが詰まっていると思います。

そして、祭が持っているパワーや世代を超えた繋がりはおもしろく特別です。東京でそれを体感したからこそ、「やっぱり地元の祭に帰りたい」そう強く感じました。それで石川に帰ることを決めました。

加賀にきてからも積極的に祭に参加しています! そんな祭好きが高じて、地域の方と一緒に「祭学」というイベントを開催しました。加賀にもバラエティに富んだ祭がたくさんあるので今からワクワクしています。

ーー 加賀にきて、今はどんな暮らしを送ってますか?

【musubi-結-】の仕事として、移動観光を手がけるWILLER株式会社と一緒に日本海レストランバス(加賀コース)の企画協力を担当させていただきました! 加賀に移住してから出会った農家さんや漁師さん、そしてビール工場の方たちと一緒に、ここでしか味わうことの出来ないツアーを組み立てています。

また、石川を訪れる観光客の方々は、まだまだ金沢だけで終わっている人も多いと思っています。自分も石川のことを知っているようで知らない部分も沢山あるので、リサーチを兼ねて月に数回、金沢のゲストハウスで働いています。宿泊されるゲストの方を能登や加賀につなげていくことも考えています。

石川に戻ってから、中学や高校時代のつながりもより深くなって、新たな仕事が生まれたりしています。やっぱり昔から知っている人と改めて何か一緒にできるのは嬉しいですね。

ーー これからチャレンジしたいことを教えてください!

加賀にきて、レストランバス以外にも色々なことにチャレンジさせてもらっています。祭を学ぶイベントや、地元農家さんと一緒に企画した食のイベントなど、地域の人とがっちりスクラムを組むイベントはとても刺激的で、これからもどんどんやっていきたいです!

自分がつくりたいツーリズムは、訪れてくれた人がその地域のリアルな暮らしや営みを知ることで、「またあの人と話したい」「あの場所に帰りたい」と思ってもらえるようなシーンを、たくさんつくっていく事だと思っています。

それはきっと、大規模な観光ツアーである必要はなくて、例えば農家さんの畑を訪れたり、地域の祭に参加したりなど、そこで暮らしている人たちが大切にしているものを共有させてもらうことで、記憶に残る旅になるんだと思います。これからもそんな「暮らしを魅せるツーリズム」を地域の人と一緒につくりあげていけたら嬉しいですね。

(インタビュー:2018年8月21日 場所:山代コドン

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