奇術

私はマジックが好きだ。奇術と呼ばれるそれは、魔法に最も近い存在であり、そして紛れもなく芸術のひとつだと思う。
私の推し(2次元)にもマジシャンがいる。金田一少年の事件簿の高遠遙一というキャラクターで、簡単に説明すると、コナンで言う黒の組織と怪盗キッドを足して2で割った感じだろう。事件によっては共闘もするが、ちゃんと人も殺すキャラ。
……殺人鬼だけどマジシャンである。

そんな彼は一瞬にして赤い薔薇を出すというマジックが代表的だ。赤い薔薇は彼のトレードマークで、初登場の言葉は「血のように真っ赤なバラをどうぞ」である。厨二病にはたまらないキャラだと思うので、気になった方はぜひ本編を読んで頂きたい。アニメだったらAbemaTVで順繰り放送をやっているはずなのでそれで無料で見れる。

これ以上彼について語り出すともう少し長くなるのでここら辺でやめておく。


1回、本物のマジシャンに出会ったことがある。中学二年生の時、所属していた児童劇団のプチ公演でとある方のトークショーにお邪魔した時。
私が出会ったマジシャンはその観客だった。見た目を端的に表すなら、おじいさん、と言った言葉がぴったりの。
トークショーも私たちの演目を終わったあと、みんなで一緒にお茶をする時間があった。子供だったのでジュースとお菓子を貰ってニコニコしながらお話に混じっていた。

すると突然、そのおじいさんは私たちにマジックを見せてくれた。

面白いもの見せてあげるよ。

ほら、よーく見て。



おじいさん、いえ、そのマジシャンはテーブルにあったスティックシュガーを手に取り、そのまま左手にぶちまけた。スティックシュガーは重力に逆らうことなく、手のひらにその山を作る。マジシャンはその山を右手で覆った。

1.2.3!

さっきまでスティックシュガーの山だったそれは、ひとつのコロンとした角砂糖に変化していた。



私はもう大興奮である。
私の目の前でありえないことが起きた。周りに砂糖も落ちていないし、角砂糖なんてこの部屋にはなかった。スティックシュガーが角砂糖になるわけが無い。

あれは正真正銘のマジックだった。

その後マジシャンはみんなの前に立ちマジックを始めたが正直内容がうっすらしている。6年前だから許してほしい。

ただその目の前で見た奇術だけは、はっきりと今も覚えている。


あのマジシャンは今どうしているだろうか。私は退団したし、トークショーの主催者も去年老衰で亡くなってしまった。
是非ともどうかお元気で、今の子供たちにマジックを披露し続けているといいのだが。



熱を出していると色んなこと思い出す(現在進行形で原因不明の38度から39度台の熱が3日間続いている人)。

またなにか書きたくなったら元気な時間帯に書きます。今は多分薬が効いているので、かなり楽。

みなさんも原因不明の高熱には気をつけて。それではまた。

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