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『非往復書簡』#3が過去の私に与えた影響(寝袋夢日記)



3/12/土/晴れ

とても暖かい日で、縁側でスマホを弄っていたらそのまま寝てしまった。

そして追われる夢を見た。

私はとても小さくて、相手はとても大きく感じた。黒ずくめで、手には棒状の物が握られていた。上から振り下ろされるそれを私は必死に避けた。だけど脚は重たい。まるで思う様に走れない。ギリギリで躱し続ける。もしかしたら相手は私を泳がせて遊んでいたのかもしれない。

「痛くないから」

確かにそう聞こえた気がする。優しい声だった。しかし棒で思い切り殴られて痛くないわけない。でもその言葉に戸惑いと少しの安堵を感じた私は、つい脚を緩めて振り返ってしまった。

「御安心召されて下さいな」

言葉と同時に棒が頭上に降ってきた。羽が舞った気がする。肌が痒い。

痛みを感じる間もなく、私は意識を失って縁側に戻っていた。

面白かったので、忘れないうちにとそれをSNSで呟いた。すると知らないアカウントからDMが来た。

「そういった棒は男性器の象徴と言われています。貴女は性行為が怖いんだけど、相手の言葉に気を許しそうになってるんじゃないですか?恐怖の根本に幼少期からのアレルギーが関係していそうですね。アレルギー性皮膚炎によって性交渉が不安とか…。」

アカウントのプロフィールを見に行くと夥しい程の専門用語、うるさい程の絵文字が並び、その横では自慢げな浅黒い顔が微笑みを讃えてこちらを見ていた。鳥肌が立ちそうになる。

どうやらこちらが悪夢のようだ。

いくら私のアカウントが女性っぽいからと言って、私をうら若き処女と勘違いしたどこぞの自称心理学者。

「人生は心理学で変えられる!」

まずは唐突にセクハラコメントを送ることが出来る自らを心理学で変えられないものだろうかと思うが、何も送らずにそっとブロックする。

こんなこと晦さんに話したら一緒に笑ってくれそうだ。

そして私はアカウント名に「男」をつけた。

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