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プール&ウィギンスの契約延長とウォリアーズのサラリーキャップ

ステフ・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの3人は、2014-15シーズンからの8年でウォリアーズをNBAファイナルズに6度導き、ウォリアーズの4回の優勝に貢献しました。3人が健康な時は2016年から未だプレーオフシリーズで負けなしという驚異的なトリオですが、その3人の終わりがバックミラーに見えてきました。

2022-23シーズン開幕前に、ウォリアーズがジョーダン・プールとアンドリュー・ウィギンスの契約延長。それにより2023-24シーズンのキャップが予算オーバーしています。そうなると、誰かを放出してタックスを削らなければいけません。現状キャップやチームのダイナミクスなどを見ると、その「誰か」はドレイモンド・グリーンになりそうです。

今回は、プールとウィギンスの契約延長がウォリアーズの未来にどう影響しているのか見ていきます。

契約延長の内容

ジョーダン・プール

プールの契約延長は4年で$123M+インセンティブの$13Mになります。

インセンティブは1シーズン最高$4.25Mで次のように細かく別れています。

  • $250,000:レギュラーシーズン最低65試合出場 + ウォリアーズがプレーオフで1stラウンド進出

  • $250,000:レギュラーシーズン最低65試合出場 + ウォリアーズがプレーオフで2ndラウンド進出

  • $250,000:レギュラーシーズン最低65試合出場 + ウォリアーズがプレーオフのカンファレンス・ファイナルズ進出

  • $250,000:レギュラーシーズン最低65試合出場 + ウォリアーズがプレーオフでNBAファイナルズ進出

  • $250,000:レギュラーシーズン最低65試合出場 + ウォリアーズが最低レギュラーシーズン52勝

  • $1,000,000:MVPになれば$1M

  • $1,000,000:DPOYになれば$1M

  • $500,000:3つのオールNBAチームのどれかに入れば$0.5M

  • $500,000:ふたつのオール・ディフェンシブチームのどちらかに入れば$0.5M

インセンティブにはライクリーとアンライクリーの2種類があり、ライクリーは前年度に達成しているものになります。プールは昨シーズン76試合出場していて、ウォリアーズはレギュラーシーズン53勝&リーグ優勝しているので、上の5つの$250,000のボーナスがライクリーになります。

アンライクリーは前年度達成していないものになるので、プールのケースではMVPやオールNBAやDPOY獲得などが入っている下から4つがアンライクリーになります。

プールのインセンティブのカテゴリー別:

  • ライクリー → $1.25M

  • アンライクリー → $3M

ライクリーはサラリーキャップにカウントされるので、プールのサラリーキャップの計算は$28.7Mになります。アンライクリーはキャップにカウントされませんが、達成したら換算されるのでタックスに影響し、プールの場合はプラス$1Mのインセンティブが達成されると、ウォリアーズのタックスは$8M増える計算になります。もしプールがDPOYを受賞すれば、タックスを削りたいウォリアーズからは嬉しい悲鳴が聞こえてきそうです。しかし、MVPやDPOYなどが達成される可能性は限りなく低いので、今回の計算に含めなくても問題ないでしょう。

最終的に、プールのキャップで計算するサラリーはこのようになります。

  • 1年目:$28.7M

  • 2年目:$30.9M

  • 3年目:$33M

  • 4年目:$35.2M

合計で4年およそ$128Mです。もちろん、ケガなどでインセンティブが払われない場合は、最終的にこの数字は低くなります。

アンドリュー・ウィギンスの契約延長

プールと同じCAAのアンドリュー・ウィギンスも、プールと同じタイミングで契約延長にサインしました。おそらくCAAがプールとウィギンスをセットにして売り込んでいたと思われます。その契約は4年$109Mです。

その契約の各シーズンのサラリーは以下のようになります。

  • 1年目:$24.3M

  • 2年目:$26.7M

  • 3年目:$28.2M

  • 4年目:$30.1M(プレーヤー・オプション)

ウィギンスは現在27歳でプライムの真っ只中で、リーグのエリート3&Dウィングのひとりです。この契約はかなり格安です。その理由のひとつに、ウィギンスがウォリアーズを気に入っているというものもあるでしょう。

ウィギンスがウォリアーズについて:「ここは私に安らぎを与えてくれる場所だ。自分でいられる場所だ。”私たちは全員ひとつの大きな家族なんだ”と言う人もいるが、ここではそうは言わない。彼らはただそれを見せるだけだ。わかる?彼らはただそれをして見せるんだ。一流の組織がするように、ここは皆をとても親切に扱うので、私の家族はここにいるのが好きだ。そして、皆が勝ちたいと思っている。上から下まで私たちは皆同じ意識を共有している。私たちは皆お互いの成功を願っている。それは私に安らぎを与えてくれる」

しかし、理由はそれだけではなさそうです。

ちょっと契約が安すぎて気になったので、来年のFAの市場を調べてみました。主なキャップがあるチームは以下のようになっています(2022年10/20日時点)。これには来年のドラフト指名する選手のサラリーは入っていないので、指名権をキープするチームのキャップは指名権の順位と数に準じて減っていきます。

  • マジック:$75.4M (10人)

  • スパーズ:$74.7M (7人)

  • ロケッツ:$63.3M (12人)

  • ペイサーズ:$61.6M (10人)

  • ピストンズ:$52.2M (11人)

  • ホーネッツ:$44.8M (7人)

  • サンダー:$39.1M (11人)

  • ジャズ:$34.6M (11人)

  • レイカーズ:$33.5M (4人)

  • キングス:$26.4M (7人)

  • ウルブス:$23.97M (7人)

ちなみに来シーズンのマックスは次のようになります。

  • 0~6年選手:$33.5M

  • 7~9年選手:$40.2M

  • 10+年選手:$46.9M

こうして見ると、来年はかなりのキャップがあるチームが多いですが、再建チームがほとんどです。良いチームに移籍して優勝争いに加わりたいFAにとっては、レイカーズやウルブスくらいしか移籍先はなさそうです。

ちなみにウィギンスのマックスは$46.9Mで、FAで新チームとマックス契約だと4年$201.6Mで、ウォリアーズとマックス契約した場合は4年$210.1Mでした。マックスはさすがにムリでも、ウィギンスに現状維持の$33Mを払う再建チームはあるでしょうか?そして、ウィギンスは再建チームに行きたいと思うのでしょうか?

優勝を目指せそうなチームでキャップがあるは、レイカーズやウルブスくらいしかありません。レイカーズはカイリーを狙っているという噂もありますし、シーズン途中でウェストブルックのトレードがあればキャップスペースはなくなってしまいます。仮にそうでなくても、ウィギンスの他にも後10人と契約しなくてはいけないので、まるまる$33Mもらえる訳ではありません。どんなに高くても実際には$20Mの前半くらいになるはずです。ウルブス(出戻り)やキングスでも同じ考え方で、他のロスターも埋める必要があるため、年間$10M〜14Mになるのではないでしょうか。

そうなってくると、格安に感じるとは言え、$24Mあたりは市場価値以上のような気もします。ウィギンスにとってもウォリアーズとの契約は、お金も勝利も両立する良い契約だったのかもしれません。

そんなウィギンスの次の目標はオールNBAディフェンシブ・チーム入りだそうです。

ウィギンス:「私はここでレジェンドになりたい」

ウィギンスが想定していたよりも安いサラリーで契約してくれたので、今シーズンはトレードを気にすることなく現状のチームのままで乗り越えられます。しかし、来シーズンはそうはいかなくなります。

ウォリアーズの2023-24シーズン、サラリーキャップ最新版

プールとウィギンスの新契約の数字を入れた来年のサラリーキャップはどうなっているかと言うと(ドレイモンドとドンテ・ディヴィチェンゾがオプトインすると仮定):

ウォリアーズのサラリーキャップ上限は$400M~$450Mと言われているので、来年にそれぞれ削らなければいけない金額は以下のようになります。

  • $450M → $7.58M削減

  • $400M → $13.58M削減

この数字におさえるためにもっともシンプルな方法は、ドレイモンドがオプトアウトしてFAになってからウォリアーズと安い金額で再契約することです。

● ドレイモンドがオプトアウトしてからの再契約:

ドレイモンドが自分のプレーヤー・オプションを放棄してFAになって、以下のような数字で再契約してくれれば、ウォリアーズはチームの誰も犠牲にすることなく予算内に収めることができます。

  • 上限$450Mの場合:$20Mで再契約(4年契約は$20.1M、$21.7M、$23.3M、$24.9M)

  • 上限$400Mの場合:$14Mで再契約

ドレイモンドに$20Mと相場よりも安い金額ですが、 4年という長期契約$90M(4年目は部分的な保証かチームオプション)をオファーするのもありかもしれません。

来年は多くのチームにキャップがあるので、ディヴィチェンゾを失う可能性は高いです。そうなると、$450Mにおさめる場合は、ドレイモンド+FA(ミニマムまたはミニMLE)のふたりで$24.7M、$400Mにおさめる場合は、ドレイモンド+FA(ミニマムまたはミニMLE)のふたりで$18.7Mを分け合う事になります。

また、$20Mでドレイモンドと契約できれば、再来年の2024-25シーズンでのクレイの契約延長/再契約とワイズマンの契約延長/再契約にも余裕ができます。クレイはACL損傷でシーズン全休が濃厚になった後でもウォリアーズからマックス契約をもらっているので、しっかりした理由があれば次の契約は安くしてくれると思います。本人も「スティーヴ以外の他のコーチとはプレーしない」とも言っている程なので、そこそこのサラリーがもらえるならウォリアーズに残りたいのではないでしょうか。仮にクレイと$20Mで再契約+ワイズマンと$18Mの契約延長+ミニMLEをまるまる使っても、サラリー+タックスで$338.9Mになります。ワイズマンが今年急成長をしても多少のバッファーを確保できる数字です。

ひょっとしたら、ドレイモンドが$20Mを受け入れてくれる感触があったのかもしれません。それなら、なぜウィギンスが$26Mではなく$24Mで契約したのかも説明できます。

ドレイモンドと$14Mの契約ができればもっと楽になるのですが、来シーズンのフルMLEが$11.3Mなので、それとさほど変わらない$14Mでの再契約はむずかしそうです。それならドレイモンドはオプトインしてしまうかもしれません。

そうなると、ウォリアーズが目標の数字にキャップをおさえるためには誰かをトレードする必要が出てきます。

ESPNのザック・ロウ曰く、ウォリアーズはシーズン中にドレイモンドはトレードしないそうです。ザック:「彼らはドレイモンドをトレードはしないという情報しか入ってこない。それは起きない。何か大きな問題が起きない限り、彼らは優勝を狙っていく。ドレイモンドはシーズンずっとチームにいると聞いた」

そのため、トレードは今シーズンが終わってからになりそうです。

(*シーズン中にドレイモンドがオプトアウトしてからの契約延長はありません。もしそうすると、オプトアウトした年のサラリーかそれ以上での契約になってしまうので、ウォリアーズにとって今契約延長をするメリットはありません)

サラリー削減のトレード検証

もしドレイモンドがオプトインして誰かをトレードしなければいけなくなった場合、ウォリアーズがどれだけサラリーを削らなければいけないかというと、次のような数字になります:

  • $450Mにおさえるなら→$7.58M削減

  • $400Mにおさえるなら→$13.58M削減

● ドレイモンドがオプト・インした場合&上限が$450M:

ウィギンスのマーケット調査?でも見たように、32歳のドレイモンドに$20M払えるチームは限られてきます。ドレイモンドのリーダーシップを求めて$30M払うチームがあるでしょうか?ドレイモンドの性格はウォリアーズのカルチャーがあるから通用してきたのかもしれません。レブロンと仲が良いドレイモンドですが、クラッチ繋がりでレイカーズ行きはあり得るのでしょうか。レブロンにアウトサイドのないドレイモンドはフィットするでしょうか?

市場状況次第では、ドレイモンドにとってオプトインして$27.5Mを確実に手にした方が短期的にはベストになるかもしれません。もしそうなれば、サラリーキャップを予算内に収めるいちばん簡単な方法は、いちばん数字合わせが簡単でキャリア終盤に入ってきたドレイモンドのトレードです。

ドレイモンドは皮肉にも金を取るとトレードされてしまかもしれないというジレンマに直面します。これはもちろんドレイモンドもクラッチも理解しているはずです。ドレイモンドがオプトインした時は、その覚悟があると考えてもいいでしょう。

数字的には、ドレイモンドをストレートにトレードしても$20.7Mのサラリーをテイクバックしなかればいけないので、削減は$6.8Mしかならず、$7.58Mまでは少し足りません。ウォリアーズがトレードで$7.58Mを削るためには、$28.5Mをトレードアウトしなければいけない計算になります。そのためドレイモンドの契約にロリンズをつけて$22Mの契約を受け取ればだいたい$7.2Mまで削れます。

ドレイモンド+ロリンズの$29.3M ⇄ $22M

または、夏にオプトインしたドレイモンドをトレードして、そのトレードした選手を更に2月のトレード・デッドライン前にトレードするタックス節約方法も考えられます。

(スプラッシュブラザースを解体して、契約最後の年のクレイをトレードする場合は$10.8M節約できます)

ちなみに、The Athleticのアンソニー・スレイターによると、ブレイザーズのデミアン・リラードはドレイモンドとプレーする考えに取り憑かれているそうなので、ウォリアーズ、ブレイザーズ、スパーズの3チーム・トレードを試してみました。予算$450Mのトレードバージョンです。

  • ウォリアーズ獲得:ジョッシュ・ハート($12.9M) + ゲーリー・ペイトンII($8.7M)

  • ブレイザーズ獲得:ドレイモンド・グリーン($8.7M) + ライアン・ロリンズ($8.7M)

  • スパーズ獲得:グレッグ・ブラウン($1.8M)をキャップスペースに吸収+ウォリアーズの2巡目指名権

● ドレイモンドがオプト・インした場合&上限が$400M:

もしウォリアーズが使える金額が$400Mまでの場合、$13.58Mを削減しなければいけません。そのためには$55M分の契約をトレードしなければいけなくなります。トレードパッケージは、ドレイモンド+ワイズマン+クミンガやドレイモンド+ウィギンス+ムーディーなどになり、チームを崩すようなトレードにしかなりません。継続性を大事にするウォリアーズにとってそれは避けたいはずです。トレードでこのような大きな金額を削るのはむずかしくなります。

他に考えられる手段はサラリーダンプです。ドレイモンドに未来の1巡目指名権をつけてドレイモンドをスパーズのようなサラリーキャップがあるチームにダンプするのです。そうするとウォリアーズのサラリー+タックスは$300Mちょいまでさがります。

このドレイモンドのサラリーダンプの場合、トレード・エクセプションがもらえるので、$14Mくらいの予算内でフリーエージェントを探せるメリットもあります。今シーズンの活躍次第ですが、それくらいの金額で契約できそうなフリーエージェントは、ボーヤン・ボグダノヴィッチ、ブルック・ロペス、ディロン・ブルックス、パトリック・ベヴァリーらあたりでしょうか。優勝に貢献したオットー・ポーターとはもっと安く契約できるかもしれません。

最終手段は$14M以上の選手をウェイブ&ストレッチすることです。仮にドレイモンドをウェイブ&ストレッチすると、来シーズンは約$18M節約できるので、$400M問題は回避できます。しかし、その後のストレッチしたサラリーが1シーズンにつき$9.1Mづつ残ってしまいます。そうなると現在のタックスの計算では、1年につき$73M近くのデッドマネーがサラリーキャップにプラスされることになります。何もないのに$73Mを払い続けるのです。それを考えるとむしろ球団の株を売ったり、ローンを組み直したりして金を融通して$500M払った方が良いかもしれません。なので、これは文字通り最終手段だと言えます。

ドレイモンドのオプトイン&サラリーキャップを$400Mまで削る状況になると、非常に厳しいものがあります。ウォリアーズにとってなんとか$450Mまでは捻出したいところですね。

● ドレイモンドがオプト・インした場合&その他の方法

他にドレイモンド含む主力をキープしながらキャップを$400Mにおさえる方法としては以下のような事が考えられます。

  • $450M→$7.58M削減の場合:ディヴィチェンゾがFAになり、クミンガとムーディーとPBJかロリンズをサラリーダンプして、3人のミニマム選手と入れ替える。またはワイズマンかルーニーをミニマム選手と入れ替える。

  • $400M→$13.58M削減の場合:ディヴィチェンゾがFAになり、ルーニーとクミンガとムーディーとPBJかロリンズをサラリーダンプして、4人のミニマム選手と入れ替える。またはワイズマン+もうひとりの若手をミニマム選手と入れ替える等。

これは紙の上では可能ですが、実際にはこのような未来をサラリーダンプするような無謀なキャップワークはあり得ないと思います。その過程でトップ5内が確実な未来の1巡目指名権がいくつか得られれば話は変わってくるかもしれませんが、相手チームもそのような最高レベルのアセットをこのトレードでは手放さないでしょう。

ドレイモンドのチーム内の状況

これまで見てきたように、ウォリアーズは今シーズンが終わったら、誰かをトレードしなければいけない可能性が高くなっています。実際に誰をトレードするかは、今シーズンの結果を踏まえて考えるでしょう。マイヤーズは来年のサラリーについて「数字のことはわかっている… 今シーズンに起きたことを見ないと、来シーズンに何をすればいいか評価できない」と言っています。

マイヤーズが言っている評価の中には、サラリーの数字やプレーだけではなく、チーム全体のケミストリーやカルチャーにどうポジティブな影響を与えていたのか等のコート外での要素も入ると思います。

その意味でもドレイモンドが現状トレード有力候補です。

The Athleticのスレイターは地元ラジオThe Ringerのライエン・ラッシロのポッドキャストでチーム内でのドレイモンドの状況を「冷めている。それ以外に言いようがない。明らかに冷めている。現時点で、彼はロッカールームで少し距離を感じている。私は、今のようにドレイモンドとウォリアーズの間でこれほどの距離があるのを感じたことはない」と説明しています(10/17の週)。

被害者のプールも、殴られてからの最初の会見でドレイモンドとの関係は「ビジネス」だと言っているので、本人たちはまだ本格的に仲直りはしていなさそうです。本当に何も問題なければビジネス関係にはなりません。この事からもプールとドレイモンドの関係に距離が感じられます。

また、スレイターによると、ロッカールームにはドレイモンドを擁護する人はいなく、チームメイトたちは「ドレイモンドはとても悪いことをして、”ジョーダン・プールの方が(ドレイモンドから)不当な扱いをされた。私たちはこれに関してはジョーダン・プールの味方だ。ドレイモンド・グリーンは信用を取り戻さなくてはいけない”」的な感じだそうです。

ですが、ドレイモンドは「信用を取り戻す」という言葉に抵抗しているそうです。ドレイモンドは信用について「信用とは何かあまり良く理解できない…聞こえは良いと思うし、皆がその意味がなんなのかわかっているような感じだ。でもその本当の意味はなんだ?」とチームメイト(ルーニー)の言ったことを遠回しに否定して自分の行為を肯定しようとしています。ドレイモンドはそれよりも「仲間意識」を大事にして行きたいようです。

仲間意識にも信用が必要だと思いますが… このあたりの考えの違いがチームメイトとの壁をつくっていそうです。

また、ドレイモンドは開幕戦前に、契約中のTNTを通してプールを殴った自分自身の「ドキュメンタリー」をリリースしました。

これに関してはいい感想を聞いたことがありません。私が聞いたメディアの感想は「自分を被害者のように見せている」とか、「せっかくチームが全力で騒動を火消ししたのに、当の本人がぶりかえしてしまって、マイヤーズはさぞ怒っているだろう」とか 「反省してないんじゃないか」などすべて否定的です。ツィッターのコメントを見ても否定的な意見が大半を占めているので、このPR戦略は逆効果だったと思われます。

このようにドレイモンドはプールを殴ったことによる批判や罰金ではあまり変わらなそうです。いつも彼が言っているように、これまでこれで成功してきているのだから、なぜ今変わらなければいけないんだ?というところでしょうか。

また、GMのボブ・マイヤーズもドレイモンドのことを「彼はすばらしい年を過ごすと思っている。彼には多くのことがかかっている」と言っています。なんとかサラリーを削らないといけないウォリアーズにとって、ドレイモンドもその候補に入っていると言うことです。

もしかしたらドレイモンドがDPOYに輝いて、スリーも30%後半で決めてチームの優勝に貢献するかもしれません。そうなれば、プレー次第では契約延長したプールやウィギンス、それにクレイなどのトレードの可能性も出てきます。

ただ、プールや若手の順調な成長を見れば、また何をしでかすかわからずプレーが確実に衰えるドレイモンドを出すでしょう。また、ドレイモンドはこの夏に昨シーズンのケガは腰のヘルニアだったと明かしています。今後再発したらシモンズやMPJのように手術になるかもしれませんし、その後の復調もどうなるかわかりません。また、衰えが見えてから動いても、交渉相手に対してレバレッジを失ってしまうのでリターンも少なくなります。ひょっとしたら今が高値で売れる最後のチャンスかもしれません。

ステフ・カリーは開幕戦前にドレイモンドのトレードの噂について「ドレイモンド、クレイ、私の私たちはそれら(チーム解体の噂)を経験してきて慣れている。私たちは、その終わりは勝てなくなる時であることを望んでいる。それが終わりであるべきだ。優勝候補チームでないと感じた時だ」と話しています

ウォリアーズにとって、フランチャイズ・プレーヤーのカリーの意見の比重はとても大きいと思います。しかし、ウォリアーズがプールとウィギンスの契約延長をした時点で、ある意味球団は方向性を出しています。その結果であるキャップは現実的にどうしようもできませんし、いずれにしろウォリアーズはどこかのタイミングでチームの若返りが必要になります。若手をあきらめないで前進するにはドレイモンドかクレイをトレードするしかありません。

そして、もどかしいのが、ドレイモンドがディスカウントで再契約してくれるのか、オプトインするのかはシーズンが終わるまでわからないところです。もしドレイモンドがオプトインすれば前述したようなトレードシナリオになり、誰かをあきらめなくてはいけなくなります。ひょっとしたら、今シーズンがウォリアーズのBIG 3のラスト・ダンスになるかもしれません。


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