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続・ウルブスの買収はうまく行くか?

アレックス・ロドリゲス(以下A-Rod)とマーク・ロリーによるウルブスの買収に問題が出てきてしまいました。なかなかうまく話が進まないので、また買収がなくなってしまうのか気になるところです。いったい何があったのでしょうか。

以前、ここでも紹介しましたが、4月にA-Rodとロリーのコンビが、オーナーのグレン・テイラーとウルブスを約1500億円のバリュエーションで買収することで合意をしました。これまでも他にも何度か買収話はあったのですが、テイラーはなかなかウルブスを売却しなかったので、はじめての買収合意にはメディアも大きく取り上げました。それもつかの間、ここで新たな問題が発生します。

ウルブスの17%を保有する少数株主のメイヤー・オーバックが、タグアロング権を行使してテイラーに自分の株式も約300億円で買い取るように求めてきたのです。

タグアロング権は、企業の買収案件などで契約に入る条項で、ググると以下のような説明が出てきます。

「株式売却における条項のひとつ。 ある株主が株式を売却する場合、他の株主も同じ条件で同じ買い手に売却する権利を保障する契約のこと。 大株主は往々にして影響力が強く、その持ち株を大量に手放してしまうと株価が下落するため、少数株主は一方的に被害を受けることとなる」

簡単に言えば、オーバックはテイラーが勝手に売却の話を進めて、自分だけ金を得るのだったら、こっちにも同じバリュエーションで最初に金を払えと言ってきているのです。

(左からグレン・テイラー、メイヤー・オーバック、上海の投資家、NBAコミッショナーのアダム・シルヴァー)

テイラーは、タグアロング権の発動には球団の支配権を売却することが必要条件のため、自分の少数株式を売るだけではその権利は行使されないと解釈しています。逆にオーバック側は、売却に合意した時にその権利は施行されると解釈しており、テイラーを法廷に訴えました。

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