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NBA Finals!! ウォリアーズ vs セルティクス・シリーズの見どころ

ウォリアーズとセルティクスのファイナルズがいよいよ明日からはじまります!少しでもこのシリーズを楽しむために、いくつかの見どころをピックアップしてみました。

まずはベーシックな数字を比べてみましょう。

▪️オースルター後のレギュラーシーズンのエフィシェンシー:

ウォリアーズはカリーやドレイモンドのケガの影響もあり、数字的にはまったく良くありません。なにせ、今のスターター全員が揃ったのがプレーオフのファーストラウンドの初戦で、ケガ明けのカリーはベンチ出場をしていました。攻守の要のどちらかを欠いていたレギュラーシーズン後半と今プレーオフを戦っているチームはまったく違うチームだと思ってもいいでしょう。比較するのにはあまり意味のない数字ですね。

しかし、セルティクスのレギュラーシーズンの強さは圧倒的です。プレーオフでは7戦目まで2シリーズ連続だったので、そんな印象はないかもしれませんが、チームのファンダメンタルは変わっていないと思います。ケガやプレーオフ特有の激しい守備が影響したのかもしれません。

念のため、プレーオフの数字も紹介します。プレーオフは限られたチームと少ない試合からのサンプルなのであまり参考にならないかもしれませんが…(ディフェンスが弱いチーム相手だとオフェンス値が高くなったりと、その数値を吸収できるくらいのサンプル数がない)

▪️プレーオフのエフィシェンシー:

こうして見ると、プレーオフでのネット・レイティングの1位と2位の対決です。

▪️相手オフェンスをどれだけ抑えているか(OPP FG%)で見てみると、両チームともディフェンスが良いことが伺えます。

  • ウォリアーズのOPP FG%:44.1% プレーオフ3位

  • セルティクスのOPP FG%:43.3% プレーオフ2位

また他に両チームともよく似ている数字としては:

▪️TO
ウォリアーズのTOの多さが言われていますが、実はセルティクスもあまり変わらない数字です。

  • ウォリアーズのTO%:15.0% プレーオフ10位

  • セルティクスのTO%:14.6% プレーオフ9位

セルティクスは1試合15以上のTOをした時は0-4で、TOを15以下におさえると12-2だそうです。ウォリアーズは相手に1試合につき14.5TOをさせているので、ギリギリのラインのTO争いが見れそうです。

▪️スリー

両チームともスリーを多く撃っています。

  • セルティクスの3PTのFGA率:45.5%でプレーオフ2位(1位はマブスの51.3%)/100ポゼッションの3PAが38.7本

  • ウォリアーズも100ポゼッションで36.1本とプレーオフ6位です。

▪️その他

両チームともポストアップ%は低く、カットが多いです。

逆に対照的な数字は…

▪️クラッチポイントのオフェンス

▪️リムまわり

セルティクスはスペースボールとバスケットへのアタックが少なく、ドライブ&キックが多い印象です。

▪️ミドル、ハンドオフ

セルティクスは長いミドルレンジを撃っていますが、ウォリアーズはほとんど撃っていません。

このプレーオフのハンドオフを多くやっているのは、ヒート、ウォリアーズ、バックス、ネッツになっていて、すべてセルティクスの対戦相手です。セルティクスはハンドオフのスクリーンのスウィッチなど対応力がありそうです。

こうしてみると、両チームとも

  • ディフェンスがいい

  • オフェンスではスリーが多くスペースを使っていて、ポストアップが少ない

  • ウォリアーズは効率の悪い長いミドルレンジを撃たない

  • セルティクスはクラッチとリムまわりが弱い

チームの構成的

お互いのチーム構成は良く似ています。お互いにスターターの4人がそれぞれの球団の生え抜きの選手です。優勝するためには2スターが必要と言われている昨今では、このように指名した選手が主力を占めるチームがファイナルズへ進むのは珍しいのではないでしょうか。

▪️スターターの生え抜き選手

プレースタイルは前回のスペースボール特集で取り上げましたが、ウォリアーズはスモールボール、セルティクスはそこから進化したスペースボールを得意としています。

このプレーオフで、ウォリアーズのスモールボール・ラインアップのステフ・カリー、ジョーダン・プール、クレイ・トンプソン、アンドリュー・ウィギンス、ドレイモンド・グリーンは、94分プレーして+15.7。レギュラーシーズンにウォリアーズがこのラインアップでプレーしたのはなんと0分です。

セルティクスのスペースゲーム・ラインアップは、マーカス・スマート、ホワイト、ジェイレン・ブラウン、ジェイソン・テイタム、アル・ホーフォードのラインアップはプレーオフで72分プレーし+3.2になっています。レギュラーシーズンでは22分プレーして+0.1。

注目ポイント

どうセルティクスのディフェンスがウォリアーズの特徴的なモーション・オフェンスを止めるかが大きなポイントになりそうです。セルティクスのディフェンスはサイズがあり、そのためスウィッチも1~4やオールスウィッチも可能で破壊的な威力です。

スマートとホワイトもスクリーン・ナビゲーションがうまいので、ウォリアーズのカリー、プール、クレイらの動きにもついていけそうです。ただ、ブラウンとテイタムがはスクリーンをくぐって相手を追い回すのには慣れていないと思うので、彼らがアクションに引き込まれると、後からスペースが生まれてしまったりローテーションが遅れそうです。試合終盤には疲れも出てくるでしょうし、セルティクスはウォリアーズの速いペースについて行けるでしょうか。

ウォリアーズのガードを追いかけまわすよりも、エリアを守った方が効率良さそうでもあります。ハイブリット・ゾーンで、R・ウィリアムズ((以下タイムロード)とホーフォードをルーニーとグリーンから離してペイントエリアを固めて、スクリーンをスウィッチしていき、ウォリアーズのスリーとスペースを制限していくと思われます。実際に、ウォリアーズはグリズリーズにスティーヴン・アダムスとJJJに中を固められて苦労していました。特にJJJの守備は参考になりそうです。

ウォリアーズのオフェンスは判断が早いモーション・オフェンスです。トランジションも多く、オフェンスに入るのが遅かったネッツ、バックス、ヒートと戦ってきたセルティクスは慣れるまでは時間がかかりそうです。リチャード・ジェファーソンもキャブス時代にウォリアーズと戦った時は、イーストではないオフェンスなので、動きに慣れずにあっと間にシリーズが0-2になっていた的な話をしています。逆に、セルティクスがウォリアーズのオフェンスにシリーズ序盤から対応できるようなら、セルティクスはかなり優位にシリーズを進められるでしょう。

この辺りのセルティクスがどうウォリアーズのオフェンスに対応していくかがいちばんの楽しみです。

このように、スマートはカリーに強いので、ウォリアーズは最悪カリーが抑えられた時、どこから点を取るのかで苦労しそうです。クレイはまだ毎試合爆発的な活躍はできないでしょうし、プールもディフェンスを考えるとプレー時間が短くなりそうです。ウィギンスはスポット的なダンクはありますが、チームを勝利に率いるようなオフェンスはできないのではないでしょうか。

そのコートの逆サイドでは…

セルティクスのオフェンスですが、バックス戦ではグレイソン・アレン、ヒート戦ではタイラー・ヒィーロやマックス・ストルースを狩っていたように、今回もカリー、プール、クレイをスウイッチ・ハントしてくるでしょう。

ウォリアーズは、スペースボールのディフェンスはマーヴェリックスで経験済みで、これに対してはマーヴェリックとのシリーズでやったように攻撃的なヘッジ&バックやスクラム、ゾーンで対抗してくると思われます。テイタムに対しては、ウィギンスやグリーンやルーニーで1対1で守りに来るのではないでしょうか。そしてその裏ではスリーへのパスのレーンを潰して、クリーンなパスがスリーポイント・シューターに行かないようにすると思われます。

ウォリアーズにとって、ジェイレン・ブラウンのようなスピードのあるウィングはこのプレーオフではじめてなので、マッチアップを変えて、ブラウンにウィギンス、テイタムにドレイモンド、ホーフォードにクレイ(ステフ)をつけるかもしれません。

こう見ていくと、ディフェンス勝負のシリーズになりそうです。最終的に勝負を分けるのは、どれだけスリーが決まるかのような気もします。それぞれのチームが、相手のスリーをどう制限していくか見るのもおもしろそうです。

不安要素とXファクター

心配なのが、セルティクスのケガと疲労です。シリーズを1日置きに7試合を連続でプレーしてきていて、ディフェンスの要のスマートとタイムロードの調子もケガで100%ではありません。また、東から西へと横断移動もあります。ただでさえ、ウォリアーズを相手にするのはメンタル的にもフィジカル的にも大変と言われているので、セルティクスの試合終盤の消耗が心配です。スリーの精度も心配です。特にクラッチが弱いので、セルティクスは試合終盤までに点差をつけておきたいところです。

また、Xファクターはファイナルズの経験だと思います。ウォリアーズの中心選手のカリー、クレイ、ドレイモンドは8年で6回ファイナルズに進んでいます。反対にセルティクスのファイナルズ経験はゼロです。試合前日はメディアデーになっていて、それもかなりカオスな状態だそうです。ウォリアーズはそれらを乗り越えるためのルーティーンが確立されているので、その辺りの精神的余裕がゲーム1に影響するのではないでしょうか。

逆にウォリアーズは、シリーズダッシュを決めたいところです。休養を十分にとっていて、試合ではファイナルズの雰囲気とモーション・オフェンスに慣れていない相手の隙をつき、試合を優位に進められそうです。ウォリアーズは2013年から26シリーズ連続でアウェイで少なくても1試合は勝っています。ウォリアーズがホームで2連勝すればかなり優位に立てるのではないでしょうか。最初の2試合が1-1になると激しい戦いになることが予想されます。

ゲームとは関係ないところでは、オーナー同士が友人ということにも注目です。ウォリアーズのオーナーのジョー・レイコブは、2002年にセルティクスを買収したグロースベックの投資グループに入っていて、セルティクスの共同オーナーでもありました。レイコブは2008年にはセルティクスで優勝も経験しています。今でもセルティクスのオーナーのウィク・グロースベックとスティーヴン・パリュウカとも仲が良いようです。ウォリアーズのPOBO/GMのボブ・マイヤーも当時のセルツのGMのダニー・エインジからの紹介だったそうです。

レイコブ:レイコブ:「彼らは今も友人だ…今は彼らをやっつけたい。コート上だけではなく、オーナーシップのレベルでもバトルがある。彼らも同じように考えているのは確かだ。私たちはお互いやっつけたがっていて、勝ちたがっている。両チームともだ」

このファイナルズでは選手やコーチたちだけではなく、オーナー同士の戦いもアツくなりそうです。

最後にレポーターたちの予想を紹介します:


サムネイル画像:Photo by Winslow Townson/USA TODAY Sports

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