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なぜウォリアーズはワイズマンを指名するべきではないか

ウォリアーズは11/18のドラフトで2ndピックを持っており、ウォリアーズにはCがいないのでワイズマンを指名するべきという記事やレポーターたちの言っていることを良く見かけます。ほぼすべてのメディアはワイズマン指名を押していると思います。
しかし、私がワイズマンのワークアウトや試合のビデオを見て思ったのは:
「ウォリアーズには合わないじゃん…」

ジェームズ・ワイズマン

すばらしい体格に運動能力が備わった数年に1人のすばらしい逸材で、申し分なくNBAで通用します。あの体格であのスピードとアスレティシズムはすごいと思います。NBAでもルーキーながらシーズン終わるころにはCでTop15には入れてしまうのではないでしょうか。

ワイズマン分析

● ビック
● AGE:19.1

● WINGSPAN:7’6”

● HEIGHT:7’1”

● WEIGHT:237

オフェンスもゴール下まわりなら問題なく活躍できそうです。セカンドリープは物足りないものの、リバウンドは得意そうです。体格に恵まれ、スターになれるポテンシャルが高い。

"STRENGTH"

  • サイズと体格


  • 長いリーチ&爆発力


  • リバウンド

  • ポストアップの可能性

  • ヴァーセタイル・スコアラー

  • シュートメカニクスとソフトタッチ/シュートの可能性もあり?

  • リムランナー

  • リムプロテクダー

  • インテリジェンス

"WEAKNESS"

  • 荒削りなスコアラー


  • ペイントでの弱さ


  • ショットセレクション


  • 視野の狭さ

  • ハンドルとパス

  • ブロックに行き過ぎ

  • 横のクイックネス

  • チームディフェンス

  • フリースロー

  • 5以外でプレーできない


  • ミッドレンジ~スリーが今の所ない

  • ほぼ高校からNBA入りなので、すぐには守備は期待できない


  • モーターにムラがある

簡単に言ってしまうと、ワイズマンはモダンバスケで活躍するようなモダンセンターではありません。
ポジションもCの1つでしかプレーできないし、ハンドルもパスもありません。
ミッドレンジも微妙でスリーはないため、スペースを殺してしまいます。
守備も横への動きはまだまだなため、スウィッチで狙われます。
 
ウォリアーズヘのフィット

みんながウォリアーズにフィットすると言っているのは、ただスターティングセンターがいないからなんじゃないでしょうか。だからと言ってワイズマンが自然とウォリアーズにフィットするとは限りません。

まず、誰がスタートするかよりも大事なのは、誰が前半と後半を「クローズ」するかです。レイカーズのスターターの5は試合をクローズしませんし、ウォリアーズもクリッパーズもそうですね。かならずしもスターティングメンバーがベストラインアップだとは限らなくなっています。
ウォリアーズでは守備がすばらしいドレイモンドが5で試合をクローズするため、ワイズマンは試合終盤に出番はないでしょうし、ドレイモンドがいる限りその方針は変わらないでしょう。
しかも、彼のゲームがウォリアーズのオフェンスやディフェンスのスタイルに合うのかは微妙です。
 

オフェンスのフィット:

ウォリアーズはリード&リアクトのモーション・オフェンスです。ビックはスクリーンやDHO、ポストやエルボーからのパス、ガードのためにスペースをつくるスリーが求められます。特にドレイモンド・グリーンがスリーを失ってしまったので、ここにワイズマンのようにもう1人スリーがない選手が入ると、スペースがなくなってしまい、とたんにオフェンスが苦しくなります。メンフィス大のハーダウェイが言うには、ワイズマンはスリーを練習していてスリーもあると言っていますが、元コーチが言うことなので、今のところ話半分(トップでドラフトされれば自分の株があがる)に聞いておいた方が良いでしょう。ちなみにワイズマンのスリーは高校で14.8% (4-for-27)でした。

また、ウォリアーズのフィロソフィーは、みんながボールを触ってのモーション・オフェンスなので、限られた人しか攻撃に参加できないPnRややりません。去年もPnRが得意でオールスターだったラッセルのためにPnRをやると言っていましたが、途中撤回していました。ただワイズマンの強みを活かすためだけにチームのフィロソフィーを変えてPnRをやり出したりはしないでしょう。

また、ウォリアーズの5にはポストやエルボーからカットする選手へのパスやDHOが必須スキルです。しかし、ワイズマンはコートが見えていないのかパスを出せないので、ここでも合いません。

ワイズマンがウォリアーズのオフェンスでプラスになるのは、リムランやロブをあげられる事です。マギー時代には試合に数回ロブをあげてました。でもそれも試合中に何回かあるかで、ロブを受けることなら他のCでもできます。ポストプレーやオフェンシブ・リバウンドはコロナでシーズンが長引いている間にどれだけ筋肉をつけて迫合えるかにもよりますが... でもこれも普通のCならできなくてはいけないことで、特にワイズマンでなければいけないと言う事はありません。

ディフェンスのフィット:

ウォリアーズはイギーがいた時は、試合のクロージングではデスラインアップ(懐かしい響き!)になってオールスウィッチをしていました。そのため、5や4はスウィッチした時に相手PGを守るために横の動きがあるとベターです。さもないとプレーオフでは狙われ続けて弱点になってしまいます。ルーニーはまさにこれが出来たため、オフェンスはあまり使えませんでしたがカーから重宝されていました。ワイズマンは横の動きがまだまだなので、スウィッチのディフェンスはむずかしいでしょう。

また、全体的にルーキーの守備はたいがい信頼できません。特にワイズマンは大学ではあまりプレーしていないので、ほぼ高校からの守備になります。エイトンが2年目に飛躍的に守備が良くなりましたが、オフェンスタイプのCとしては珍しいケースでしょう。ワイズマンはもともとチームディフェンスは得意そうではないので、守備をものにするのに数年はかかると思います。スターティングセンターを見つけたからと言って、1年目からヨキッチやADをしっかり守れるとは限りません。

そのため、ワイズマンがいる時のディフェンスのスキームが限定されます。彼が5になった時はゾーンやドロップバックが良さそうですが、それだけではプレーオフで勝ち残れないでしょう。

前述しましたが、試合のクロージングにはドレイモンドが5になるので、ワイズマンの出番はありません。ドレイモンドがADやヨキッチを守れている間は、ウォリアーズのクロージング・ラインアップはカリー、トンプソン、ウィギンス、補強選手、グリーンになると思います。
 

ワイズマンのサラリー的な価値:

ご存知のようにウォリアーズはタックスチームです。カリー、クレイ、ドレイモンド、ウィギンスで約130億円行ってしまっています。そのため、No.2ピックのサラリーは約9.1億円+タックスになり、チームにとっては実質倍近くの選手になってしまいます。チームの攻守のフィロソフィーにそこまで合わず、しかもモダンでもないCにその価値をつけるのは厳しすぎます。
しかも、3年や4年後にルーキー契約を延長する時、ワイズマンにはマックスやマックス近いお金を払わなくてはいけないと思れます。しかも、その時は、カリーやクレイの契約更新も控えており、リピータータックスに入っていると思われるので、ウォリアーズもサラリーに関して慎重になる必要があります。

今、Cは供給過多でサラリーが安くなっています。今ワイズマンと同じようなことができる(リムプロテクションが出来てロブを放り込めてリバウンドできる)トラディショナルなCは、タックスペイヤーMLEで買えてしまえます。それなら、タックスで約何10億円、契約更新で何100億(近く)になるであろうワイズマンよりもはるかに安くすむホワイトサイドやドワイト・ハワードでもよい気がします。

このように、ただ、スターティングCがいないからという理由だけでトラディショナルなCを選び、大金を払うという考えは危険です。それなら、ゲームメイクができるウィングや、スプラッシュブラザース&グリーンの強みを活かせるストレッチ5にお金を払った方がチームがより機能するからです。

トレード的な価値:

もしワイズマンを指名したとして、半年後や1年後にトレードした時に得られる価値は何でしょうか?

例えば、ブラッドリー・ビールやヤニスをトレードしたいと言った時、ワイズマンはトレード・パッケージに含めて相手が喜ぶ選手なのでしょうか?モダンバスケ的には、まだプレーメークができて試合にインパクトを残せるラメロ・ボールや、ガードで点を取れるエドワーズの方が需要が高いのではないでしょうか。特にガードは何人いてもスモールで同時に並べて使えるからいいですが、スターティングレベルのCは2人も同じコートにいりません。アセットの観点からも、ワイズマンよりもボールやエドワーズの方が高く売れると思います。
 

ワイズマンの将来性:

ドラフトの高順位指名でいちばん大切なポイントは、チームへのフィットよりも将来性だと言われています。

では、ワイズマンにスター性はあるのでしょうか?オールスターになれて、NBAを代表する選手になれるでしょうか?NBAを代表する他のCと比べてみるとどうでしょうか?

今マックスレベルの価値があるCはみな「スリー + オフェンスの強み」があります。エンビードはスリーもゴール下も守備もできます。オフェンスに関してはワイズマンよりも才能があるでしょう。ADはすべてが良し。ヨキッチにはパスとスリーがあり、バムは万能型、KATにもスリーがあります。まだリーグを代表するとは言えないエイトンですらミドルレンジがあります。
ただ希望があります。大学でのフリースローが70.4%(19-of-27)なので、あと数年かければスリーもいけるようになるかもしれません。

スリーが入るようになってやっとオールNBA候補のスタートラインに入ります。他エリートCでスリーがある選手は大学時代にはすでにスリーがありました。ワイズマンが彼らよりも成長する可能性は、現段階でよくても50/50なのではないでしょうか。

しかし、ワイズマンがオールNBA候補に入る別の道もあります。それはルーディー・ゴベアーのように守備特化型Cになる道です。体格的にも能力的にも不可能ではないと思います。

● ジェームズ・ワイズマン
身長:7、ウイングスパン:7’6”、スタンディングリーチ:9’3”
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● ルーディー・ゴベアー
身長:7’1、ウイングスパン:7’9”、スタンディングリーチ:9’7”

● モ・バンバ
身長:7’ 、ウイングスパン:7’10”、スタンディングリーチ:9’7”

しかも、ワイズマンはゴベアーよりもオフェンス能力に長けるので、彼が守備をがんばれば、ゴベアーの守備能力+オフェンスというすばらしいCになれるかもしれません。
 

ウォリアーズとワイズマン:

こう見ると、ワイズマンの行き着く先は、デアンドレ・ジョーダンやハッサン・ホワイトサイド的なCかもしれません。元グリズリーズのVPのジョン・ホリンジャーは、ワイズマンをハッサン・ホワイトサイドに似ていると評しましたし、例えスリーを身につけてもマイルス・ターナー2.0になるというスカウトの意見もあります。Draft Expressのギヴォニーとシュミッツの2人はこのドラフトではワイズマンをベストCにしていなかったりしています。

しかし、希望はあり、フリースローも決めているので、アウトサイドのシュートも入るようになるかもしれません。ただ、だからといって彼の未来はモダンC型のバムやADではないでしょう。

当たりならルーディー・ゴベアー以上の選手になれる可能性もあります。体格はほぼ同じなので、そのポテンシャルはあります。しかもゴベアーよりもオフェンスのスキルは多いので、ゴベアーくらい守備で試合を変えられるようになれば、NBAを代表する選手になれるかもしれません。その時は、カリー、クレイ、ウィギンス、グリーン、ワイズマンで試合をクローズできると思います。

運が良ければ、エイトンやマイルス・ターナー、デアンドレ・ジョーダンのようなCになれます。

下手をしたら、ホワイトサイドです。

このように、今のペース&スペースの時代に、PnRをしないチームがトラディショナルなCをNo.2で指名するリスクは大きく、ベストな選択肢ではありません。トラディショナルなCで最後にMVPを獲ったのはシャックだというのを見れば、Cは他のスキルがないとむずかしいポジションですね。NBAもただサイズがあって運動能力があるだけでは通用しない時代に入っていると思います。

以上のように、ウォリアーズはNo.2で攻守のフィロソフィーにフィットしないワイズマン以外の選手を指名するべきです。もしウォリアーズが彼を指名するとすれば、彼の知性と成長への姿勢、そしてシュート能力/守備能力があると見切ったと見るべきです。

ウォリアーズに必要な選手:

ではこのドラフトでウォリアーズが指名するべき選手は誰でしょうか?
私はイギーやリヴィングストンが抜けた穴を埋められるウィングだと思います。IQが高く、プレーメークができきて、守備的にもスウィッチできるウィングです。Cはこれまでのシーズンで見てきたように、相手のマッチアップ次第で、グリーン、ルーニー、クリスあたりが試合のクロージングで入れ替われば戦えそうです。それにプレーオフでのマッチアップ用にハワードやホワイトサイドをMLEで契約すれば十分ですし、この先もそういったMLEレベルのCはゲットしやすい状況は続くでしょう。

ただ、上記のようなウィングの供給は少なく需要が高いため、この先もFAやトレードでとるならすごく高くつきます。それならこのドラフトで、ウィングをとれば7年間キャップに悩まされることなくチームづくりができます。
そうなると、指名すべきはIQやフィールがありスター性もあるラメロ・ボール、デニ・アヴディヤ、タイリース・ハリバートン辺りになりそうです。特にラメロのようなパスのセンスは誰もが持っている訳ではありません。パスを重視するウォリアーズにはハマるのではないでしょうか。

オコロ、ヴァセルの声も聞きますが、2人ともロールプレーヤーですね。チームにはフィットしそうですし、十分あり得る選択肢だと思います。ただNo.2では取らなくてもいい選手たちなので、彼らを獲りたければトレードダウンするべきでしょう。

もしスターティングCをこのドラフトで狙うなら、ワイズマンではなくオンエカ・オコンウの方がウォリアーズには合っています。

オコンウは、ストレッチ5もストレッチ4もできて、複数のポジションをこなし、パスもできるしハンドルもあるモダンタイプです。その上、判断も良くて、守備も横に動けるのでスウイッチもでき、あきらかにワイズマンよりもスキルがあります。彼ならドレイモンドがいなくなった時や衰えた時にレイモンド2.0になれてチームコンセプトも引き継げそうですし、オフェンスで成長できればバム2.0になれるかもしれません。

それに、もしそのようなスキルがあるCをFAやトレードで取ろうと思ったら、約20億円は出さなければいけないでしょう。そんな選手をトレードするにしても相当なアセットが必要になるはずです。特にウォリアーズはトップヘビーで中間の手頃な約15億円の契約がないので、その場合はメイン4人の誰かを出さなければいけなくなります(ウィギンス?)。

今オコンウをとっておけば、モダンなCに成長できる可能性が高く、将来アセットとしても使えるかもしれなません。来シーズンいきなり活躍できれば、ヤニスやビールのトレード・アセットとしても相手からはかなり魅力的になるはずです。特にウィザースはオコンウを欲しがっていると良く聞くので、オコンウを獲っておけばビールに繋がるかもしれません。トレードしなくても成長してもらえば、ワイズマンよりも市場価値は高くなると思います。

NBA的に言えば、オコンウの株は買いです!オコンウ・バンドワゴンに乗り込んだり、オコンウ・アイランドの不動産は今のうちに買っておくべきでしょう 笑


 ウォリアーズとってベストなのは、今回のドラフトではロールプレーヤーを取り、来年のスーパードラフトでスター選手(ウルブス次第ですが)を得て、今シーズンの優勝に必要な即戦力はイグォダラのトレード・エクセプションで獲得する事です。そうすれば、優勝争いを続けられると同時に、あと3年で衰えるであろう中心選手からスムースに未来のチームにシフトして行けます。

カーもインタビューで、「未来のことも考えないといけない、次の10年も考えなければいけない。スパーズのようにずっと強豪で居続ける事が目標だ」と言っていました。ガヴァナー(オーナーのこと)のジョー・レイコブも約17.2億円+タックスは厳しいでしょうが(それだけで約63億円になってしまう)、カリーのプライム中に優勝を狙う&強豪でい続ける両取りをするのであれば、それがベストだと思います。

または、No.2ピックをドラフト10位以内のチームとトレードして、若手のビックかウィングを得ると同時にドラフトでロールプレーヤーを獲得することです。そうすれば、補強が必須のポジションを厚くできます。
例えば…

ザック・ロウの言っていたように、
・ルーニーとNo.2ピック ⇆ 4位のブルズとカーター+No.4ピック
・ルーニーとプールとNo.2ピック ⇆ 6位のホークスとハンター/コリンズ(サラリー的にはいけちゃう!)/レディッシュの誰か1人+No.6ピック
・ルーニーとプールとNo.2ピック ⇆ 7位のピストンズとケナードかセコウ+No.7ピック

このように、ニックスとミッチェル・ロビンソンと8位、ウィザースとトロイ・ブラウンと9位のトレードなども可能です。

また、今いるマーキース・クリスが成長しているらしく、デヴィット・ウェストやボーガットのようにパスができるようです。ひとまずはスターティングCは約1.8億円のクリスで良いと思います。


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