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LB6でアルトリア・キャスターが見ていた星とはなんだったのかという話
・はじめに
どうもよるとりです。
思ったより魂がLB6に囚われ続けてる。助けてくれ。
最近原稿のためにLB6を読み返したり追加燃料があったりで、ようやく「オベロンのいうティターニアとは何なのか」とは何なのか、人に自分はこう認識していると説明できるくらいにはなったのですが、それを話すにはどうしてもこのnoteのタイトル「アルトリア・キャスターが見ていた星とは、一体なんだったのか」ということを明らかにして、前提条件として認識してもらう必要があるため、このnoteを執筆します。
というか4月12日に答え合わせが来るから慌てて書いてます。助けてくれ(二回目)
アルトリア・キャスター(以下、キャストリア)自身が作中「あの星がなんなのかわかりません」と、明確な答えを出さないので、そこにFateの他作品の引用を用いて推察する記事です。
暇つぶしになれば幸いです。
結論から先に言うと「アルトリア・キャスターが見ていた星は、汎人類史のアルトリア・ペンドラゴン」です。
・Fateにおいて星とは、個人を指す場合はアルトリア・ペンドラゴンを指す
身も蓋もないことを言うと、これに尽きます。いや、早く自分もこの結論に至りたかった。
Fate/stay nightをプレイした方や、小説版Garden of Avalonを読んだ方はわかるかと思うのですが、サーヴァントの総称を星、星の光と表現することはあれど(例・終局のアレ)個人を指す星の使い方の場合は、アルトリアを指します。
きれいなものに憧れた。
多くの人と街を見て回った。
きれいなものは何処にでもあった。
……ただ、あの日に別れた、星の輝きには出会えなかった。
きっと、彼の旅が終わらなかったのは、目的がなかったからではなく。
本当に見つけたいものを、見つけられなかったから。
でも、満足のいく人生だった。
○因縁キャラ
アルトリア
届かぬ理想(ほし)を目指し、足掻く姿こそ、地上における唯一の星である。
星とは天にあっても地にあっても届かぬもの。だからこそ美しいのだ。
「いいから。大切なのはキミが何を救うために生きたのか、その過程だ。結果なんてものは常に新しい結果に塗り潰される。王の正しさは次の王が自分の都合のいいように消してしまうだろう。残るものはない。残るものはないんだ。
それでも───キミの人生が最後まで穢れず、誇れるものであるなら───万人にとって愛されるものであるのなら、それは人間の歴史が回り続けるかぎり、永遠に残る記録(ほし)になる」
「あの、それでも聞きたいんですけど、貴方から見た感想はどんなものだったんですか?」
「そりゃあお前、ああ、そうだな。輝ける星、ってやつだな。
道に迷った時、夜空を見上げて宛にする標(しるべ)だ。
あいつはそのように望まれて生まれ、そのようにあろうと戦い、その結果眠りについた。
それ以上でもそれ以下でもない。」
……勇ましき騎士の王。ブリテンを救ったお方。
貴方こそ、我らにとって輝ける星。
7──今回の展覧会では、『Fate/stay night』の3人のヒロインを、会期ごとに分けて大きく取り上げています。今期のヒロイン・セイバーは、いまのお二人にとってどんな存在なんでしょうか?
奈須 もともと武内からのリクエストで生まれたヒロインなので、今も大切に預かっています。いつも「星」として描いています。
なるべく複数の媒体からアルトリアについて語られている箇所を引用させて頂きました。思ってたよりし多分まだあるなこれ。
Fate/stay night、Fateルートで描かれた物語。
アルトリア・ペンドラゴンは自らの人生をなげうち、ブリテンの王となる人生を選び、その果てに王として孤独に滅びました。
彼女はその終わりに「自分ではないものが王になった方がよかったのでは」と世界と契約をして衛宮士郎と出会い、諭され、気付き、その願いを捨て、眠りにつきました。
衛宮士郎、アーチャー、ギルガメッシュ、マーリン、サー・ケイ、円卓の騎士たち……。アルトリアの儚くも美しい人生が目に焼き付き、そして焦がれた人たちは、Fateシリーズという作品が広がる度に一人また一人と増えていきました。
そんな作中人物(というかライターの奈須きのこ氏)が彼女を表現する言葉が「星」なのです。
・「Garden of Avalon」におけるアルトリア・ペンドラゴンの受容
「Garden of Avalon」(以下GoA)は2014年放送アニメ「Fate/stay night -Unlimited Blade Works-」のブルーレイボックス特典の小説です。奈須きのこ先生書き下ろし。すごい。
とはいえそちらを読んでいない方も多いかとは思いますので、かいつまんだ説明と概要、LB6とこのnoteに関わる部分をこちらで取り上げさせていただきます。
GoAを一言で言うなら「アルトリア・ペンドラゴンの生涯と、それに寄り添った魔術師の記録」です。
あらすじを起承転結で要約して載せます。本当に粗筋なので、詳しく読みたい人は円盤を買うかドラマCDを買いましょう。両方買うのがいいと思います。(推しまくる)
【起】マーリンは楽園で一人、物思いに耽る。それはブリテンの滅びを共にしたアーサー王、アルトリア・ペンドラゴンという少女のこと。マーリンは『人類のハッピーエンド』のためと、罪の意識なく他者を消費してきた。そんな彼が唯一、罪の意識を感じた少女のことを回想する。
アルトリアは、ブリテン島を永らえさせるという目的のもと、マーリン、先王ウーサーの企みによって生まれた。竜の炉心を持った赤ん坊は、唯一性別だけを違えて生まれ、厳粛な老騎士の元で育てられる。
そうして時が経ち選定の剣を抜く日。
「その剣を抜く前に、よく考えたほうがいい」
マーリンはアルトリアの覚悟を知らずそんな忠告をした。いつかその少女が選択を後悔する、その時に手助けすればよいか、と思いながら。
【承】アーサー王としてブリテンを統べ、腰を落ち着けたキャメロット城でマーリンとアルトリアは、ブリテンの神秘とこれからについて話し合う。
「人間は正しいものを好むが、正しすぎるものを嫌う。キミにあたえられるものは不義と不理解。支配者側と従属側はどちらか一方しか幸せになれない生き物だ」
「私が苦しむほど、民の生活は豊かになると?」
「うん、分かっていたことだろう?」
「はい、その点において、私はうまくやっていると自負しています。」
そのやりとりの中でマーリンは、先王ウーサーと犯した過ちに気づいてしまった。
【転】アーサー王がキャメロットの玉座をいただいてから十年目の終わり、ランスロット卿と王妃の不貞が発覚する。その折、マーリンは要領を得ない話をしながらアルトリアに語りかける。
「その理想は果たせなくても。キミがいつかの誓いを守り続けられるのなら、救われる人達は必ずいるっていうコト」
珍しく本質を突いた話だったのに、とひとりごちるマーリンだった。
そうして時が進み、船出の日。
「ウーサーと僕は理想の王を作った。その後はうまくいかなかった。はじめから見ているものが違ったんだ。その違いにもっと早く気づけばよかった」
そんなことを言いながら、自分はヘマをして少し隠れるとアーサー王に告げるマーリン。
「ありがとうマーリン。貴方は偉大な師だった。もしかしたら、私は貴方に恋をしていたのかもしれません」
アルトリアは人間の愛をまだ知らない。知りうる限りの親愛の表現。魔術師は人間の愛はわからない。なのにただひとつ、美しい心(カタチ)に恋をした。
「非人間な者同士が人間の真似事をしたんだ、噛み合うはずがなかったのさ」
【結】 カムランの丘でアルトリアは絶望する。こんな終わりを求めていたわけではなかった。そうしてアルトリアは世界と契約し、未来永劫、救われることのないループに落ちた。英霊契約。魔術師は囚われた牢獄から、ただそれを眺めることしかできなかった。アルトリアは選定の剣のやり直しを望むが、それをなかったことにするのだけは間違いだ。そう強く思いながら。
じっと滅びの丘を見つめ、長い時間をかけ、そうしてアルトリアは穏やかな終わりを受け入れた。
「いよぅし!美しい、なんて奇跡だ!」
アルトリアは長い聖杯探索の果てに、自らの運命を良しとした。魔術師はアルトリアという少女のすべてを自分の報酬として、惑星の終わりを待ち続けることにした。
要約だけで結構な尺を割いてしまいました。読んでくれた方ありがとう。
本当に美しい話なので本編を読んでほしい……。
Garden of Avalonとは一体どういう話だったのか。
アルトリア・ペンドラゴンは、ブリテンを生き永らえさせるために作られ、生まれました。そうしてアルトリアは望まれたまま理想の王になりました。
王として消費するために作られた少女の幸せは誰も考えないまま、理想の王を作り上げてしまった。
ブリテンのために「消費」されるためだけに作られた少女の人生。
マーリンはその罪に気付かされ、やがてアルトリアは少年に出会い、自分の穏やかな滅びを迎えることを良しとする。
「目的のためにアルトリアという少女が大義のために消費されるということと、それは周囲の人間にどう映っていたのか」
これがGoAの一つのテーマとなっていることがわかります。そしてこれは後述するキャストリアについても繋がる要素になります。
・キャストリアにとって、アルトリアはどう映っていたのか
はてさて、汎人類史のアルトリアはそれはそれはもう星だったわけですが、それはキャストリアからどう映っていたのでしょうか。
その結果がこれだ。
人も街も國も、全部立て直したのに、
騎士にも民にも除け者にされて、
なんの楽しみも知らないままで、
ひたすら他人の願いに押し潰されて、
あげく、築いたものは台無しにされて、
仲間内で殺し合って、
みんな先に死ぬものだから、
ひとりぼっちで死んでしまった。
ふざけないで。ふざけないで。ふざけないで。
都合よく使って、いつまでも無視して。
物語を楽しんだ後のように、あっさりと忘れるんだ。
アルトリア・キャスターにとって、アルトリア・ペンドラゴンは異様な光景でした。自分が幸せじゃないのに、どうして人を幸せにするためにすべてを投げうてるのか。そうして終わった彼女の運命に、キャストリアは憐憫とも同情とも怒りとも似た感情を抱いていました。
でも、聖剣を造るという事は、
彼女の運命を決定づけるという事です。
聖剣さえなければ、
彼女の人生は違うものになるのです。
自分が予言の旅を投げ出せば、彼女はこのような末路を迎えなくて済む。
……この辺の話になってくると、そもそもキャストリアとアルトリアの関係がわからず「んん?」となってくると思うのです。
そんなわけで次項。
・アルトリア・キャスターという「楽園の妖精」の使命の真相
楽園の妖精の使命は、表向きは「巡礼の旅」を終え、鐘を鳴らし、ブリテンを正しく導き、救うこと。
しかしながらその実態は、彼女の命と引き換えに聖剣を作り、外敵と戦う藤丸たちにそれを託すこと。それが使命でした。
ではそれが汎人類史のアルトリア・ペンドラゴンとなんの関係があるのか?
……いいワケないじゃん。
正しさとか、そういう話はやめてよね。
あなたが使命を放棄したから、わたしが生まれた。
あなたがちゃんとやっていれば、
あの娘は王になんかならずに済む。
モルガンと対峙した時のセリフです。
ここ、初読時も「うん?」となった部分ですが、改めてこちらを用いて書いていきたいと思います。
第二部冒頭。汎人類史は地球の表面ごと漂白され、聖剣の概念は失われました。
汎人類史のアーサー王、「アルトリア•ペンドラゴン」という聖剣の王がいたことも失われました。
聖剣を復活させるために星の内海は「楽園の妖精」を派遣して、聖剣を作ることに。しかしその方法は、楽園の妖精の集めた情報を元に聖剣を鋳造するというもの。
しかしはじめに派遣された楽園の妖精、ヴィヴィアンはその使命を捨ててモルガンとしてブリテンに君臨しました。
そうして2番目の楽園の妖精として生み出されたアルトリア•キャスター。その名前の由来は「唱えるもの」。作中度々この呼び名で呼ばれていました。
アルトリアという王の名前を唱えるためにこの名前と共にブリテンへ流れ着きました。
それはつまり「汎人類史のアルトリアの存在証明をするために、アルトリア・キャスターは生まれ落ちて命を散らす定め」だったわけです。
ヴィヴィアンが聖剣を作った場合、アルトリアという王がいたという存在証明にはならない。
『あなたがちゃんとやっていれば、あの娘は王にならなくて済む』
この台詞の真意はそんなところにありました。
ブリテンを正しく終わらせること。
汎人類史のために聖剣を造ること。
汎人類史のアルトリアの存在証明をすること。
アルトリア・キャスターはこれらの目的のために、都合よく使い捨てるために作られた物語のような存在でした。
・アルトリア・キャスターの答え
キャストリアはそれらの運命を理解しながら、迷いながら、それでも星の内海の鍛冶場まで辿り着きました。
なぜ彼女が聖剣を造る=自らの運命を受け入れることができたか。
それが妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ「星の生まれる刻」です。
───安心する。
これなら、きっと善い剣になる。
あの嵐の中の光のように。
どんな悪性にも負けない、輝ける地上の星。
───ここではない彼方。
───わたしではない貴方。
多くの願いを受けて、多くの笑顔を報いにして、
選定の場で顔をあげた、貴方に相応しい剣に。
わたしは、いつもずっと輝いていた、
あの小さな星の光だけは、裏切りたくないのです。
キャストリアは星を裏切りたくない、つまりは違う世界の輝かしい自分に相応しい自分でいるということのために聖剣を造ること、自身の滅びの運命を受け入れました。
滅びの丘で、自らの運命を穏やかに受け入れたアルトリア・ペンドラゴンと同じようにそれを自ら選んだわけです。
ということを言うためだけにGoAの要約を必死になって読ませました。読んでくれて本当に本当にありがとうございました。
・おわりに
色々引用足らずなところがありますが、私が4月12日に○ぬための遺書みたいなものなので(意味不明)それ以降に大幅な加筆修正するかもしれません。
LB6を読んでアルトリア・キャスターのことをあまりよく理解しきれなかったみたいな人とかの手がかりになれば幸いです。
それではここまでお付き合いいただきありがとうございました。
支援貰えると美味しいご飯がより美味しくなるのでよろしくおねがいします