ドロボーさんにお茶を出した話。
まだ私が小学1〜2年生の頃の話で、そのころ両親と祖母は、みんな働きに行って鍵っ子だった私。
広島の山奥の一軒家に住んでいた私は、あまりに山奥過ぎて誰も遊びに来てくれないから、ひとりでいることが多かった。
夕方になれば、祖母が仕事から自転車で帰ってきていたのだけれど、それでも1番に鍵を開けて待っておくのはいつも私だった。
当時の家は、それはもうネタに困らないくらい珍客!?やら、激しい出来事やらたくさんあった家だった。
そんな中の1つのこの話は、まだ軽い出来事のうちに入る。
話は戻って、その日、鍵を開けてる時に、なんだか人の気配が。振り返ると当時30代前後のおじさん(子どもからしたら)が、わたしの後ろにぴったりとくっついていた。一軒家なので、当然周囲は山ばかりで、誰も見ていないし誰にも見られていない。
一瞬ぞぉ〜っとしたものの、子どもながらに、ここは冷静にと思った。(野良犬に遭遇した時と同じ波動だ!と直感的に思った)
【いつも野良犬に遭遇した時は、一旦自分の気配を消すように呼吸を整える。大袈裟な動きをしない。後ろを振り向かずいつも通り堂々と歩く怯えたエネルギーを出したら、やつらはやってくる。と子どもながらに悟っていたので(笑)。】
そうして鍵を開けたら、一緒にピッタリとくっついてきて、家にずかずかと上がって部屋中を巡回し始めた。
私は、2階の自分の部屋に行き、ひとまず自分の服を着替えることに。
着替えながらも、階段上から1階にいるおじさんの様子をチラ見。
一瞬目があった。
おじさんは「ここ以外に、大事な物置いてある場所ある?」とわたしに堂々と聞いてきた。
もともと我が家は、父の人付き合い!?が、ちょっと荒かった(子どもながらに、あまりいいエネルギーの人たちではなさげだったと感じていた(笑))ので、謎のおじさんがよくきたりすることが多かったのだけど、この人はまったく初めて見る人だったのだけど、もしかしたら父の知り合いかもしれないと思って、”2階はお父さんの部屋だよ”とおばかにも私も言ってしまったのである(笑)
そうしたら、そのおじさんはつかつかと2階にあがってきたので、
私は ”やっぱりおとーさんの知り合いだったのか!” と変に納得し、
その時父に”お客さんが来たらお茶を出すように!”と言われていたことを
ふと思い出したのもあって、
”そうだっ!”と台所の椅子に上がって、お寿司屋さんで出すような漢字がいっぱいついたごっつい湯呑み茶碗を手に取り、そのまま高い位置のポットから、どぽどぽとお湯を出していたら、
おじさんがやってきたので、”おちゃど〜ぞ!”って言ったら、
おじさんは急に慌てふためいて、”いい。。。いいですっ!”っと
オロオロとしながら、玄関先へ逃げていった。
玄関を出たところで、ばーちゃんがわたしを呼びながら叫ぶ声。
”なぁに〜?”と呑気に出ていったら、”無事だったか?”と聞かれた。
”うん。なんかね、おとーさんの知り合いのおじさんかなんかかしらんけど、大事な物ないかと聞かれて、お茶をだしたらあわててにげていった!”と言うと、
ばーちゃんは勢いよく”あれはどろぼーじゃけぇー!お茶なんか出さんでいい!!!なんもなかったならよかった!無事なんじゃね、なんもされとらんね?”と何度も聞いてきた。
今考えたら、ぞっとする話だけれど、その家はとにかくそう言うことが多かった。その日の夕食の時に、父と祖母が話しているのは、その出来事。
ばーちゃんは意気揚々と玄関で泥棒と鉢合わせした件を父に話してたんだけど、よくよく聞いていると ”(泥棒に)あんた!今度来たら警察にいうけんね!!!って言ってやった!”っというオチだった。
今言えよ。
って今なら思うけれど。(笑)
その後、そのおじさんは、こりもせずまたやってきたそうで、またまた遭遇したばーちゃんは見逃したそうな。。。
ずっとこの話を周りの人に言われて、昔住んでたところでは、”泥棒にお茶を出した子”という妙なキャッチフレーズがついてしまったわたしでした。
もう祖母も父も他界してしまって、この世にはいないのだけれど。
そちらで聞いていますか?(笑)次は通報してください〜〜!(笑)
という今日のふと思い出した、思い出話(笑)でした。