結婚指輪を失くした話②
関節をすり抜けるほどにブカブカになってしまった結婚指輪に衝撃を受けた。
指輪自体のサイズは変わってないのだから、正確には痩せてしまった指に、なのだが。
そんな状態にも関わらず指輪をして出かけた私が100%悪いのは分かっている。
でも、3ヶ月の出向研修がなかったら、こんなことにはならなかったかもしれない。
少し時間をさかのぼって、結婚指輪を失くした間接的原因である(と私が勝手に思ってる)3ヶ月の出向研修について書いていこうと思う。
これは別に、
「私、こんなにつらい目に遭ったんですー」
とか、
「私、こんなにがんばりました!」
という話ではない。
じゃあどういう話なのかというと、自分でもよく分からないというのが正直なところだ。
分からないから書いてみようと思った。
この3ヶ月の出向研修については、ブログにもどこにも書いたことがない。
文章としてアウトプットしたことがないこの出向研修について、
5年経ってkindle作家にもなった今の私が書いてみたら、どんな心境になるか、気持ちの整理がつくのか、新しい発見はあるのか、
興味があった。
note初挑戦のテーマに「結婚指輪を失くした話」を選んだが、私が本当に書きたかったのは、この3ヶ月の出向研修の方だったのかもしれない。
なんだか不思議な3ヶ月だった。
ふざけたファンタジー風タイトルをつけるなら
「魔女のもとで修行したら指輪を失くした話」
になるだろうか。
もちろん、魔女はただの例えだし、修行はただの後期研修のことなのだけど。
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2018年4月、私は初期研修を修了し、某マイナー外科の後期研修医になった。
初期研修の病院がたまたま医局の関連病院だったので、そのまま同じ病院で後期研修がスタートした。
ラッキーだった。
慣れた環境で、先生がたもスタッフさんも皆優しい。
切磋琢磨できる同期がいて、気軽に質問できる歳の近い先輩も多く、楽しく充実した後期研修生活。
そんなある日、部長から私ともう1人の同期にこんな話が来た。
歴代、若い先生たちには××病院に出向して研修を受けてもらっている。
ここでは見られない症例がたくさんある。
君たち2人もそれぞれ3ヶ月ずつ行って勉強してくるように。
とのこと。
私は10-12月、同期は翌年1-3月の3ヶ月間、××病院に出向することになった。
××病院は一般外来もやっているが、ある専門分野に特に強く、専門外来では普段見られない疾患がたくさん見られる。
外部からその分野の第一人者である偉い先生が来ることもある。
特殊な治療や手術も見学できるし、なんならやらせてもらえるらしい。
駆け出しの後期研修医にとって素晴らしい研修環境、成長する大きなチャンスだ。
問題は、××病院の部長(年配の女性)がクセが強く、今まで出向した若手ほぼ全員がいじめられてメンタルを壊して帰ってきた、らしい、ということ。
続く
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