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扉を開けるとタイムトリップできる異色のお宿「Nazuna 京都 椿通」【Nazuna宿紹介 vol.01】

京都、四条大宮の一角にたたずむ「Nazuna 京都 椿通」。

築110年以上の町家が並ぶ路地をまるごと改装したこの旅館には、外の世界と隔離された非日常な空間が広がっています。

古き良き町家の雰囲気と、過ごしやすいモダンな空間が交差するこのユニークなお宿は、どういう経緯で誕生したのでしょうか。

今回は、Nazuna代表の大門さんに、知られざる「Nazuna 京都 椿通」の裏側についてお聞きします。

大門真悟/OKADO SHINGO
滋賀県出身。関西大学システム理工学部3年の時に、1年間休学し単身ベトナムへ渡り「居酒屋やんちゃ」の立ち上げを経験。卒業後は商社へ就職し、その後2014年にインバウンドの旅行事業を開始。2018年に現在の株式会社Nazunaを設立し、現在4つの旅館と8つの一棟貸しの宿を運営している。


「貴重な町家を残したい」という思いで始まった


ーー「Nazuna 京都 椿通」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

「京町家の並ぶ路地を更地にしてマンションを建てる計画があるが、何とか残せないだろうか?」という相談を受けたのが、すべての始まりです。

改修前の様子。細い路地に、明治時代からの町家が立ち並んでいた。

すぐに現地に行って、「こんな貴重な場所がマンションになるのはもったいない!」と直感的に思いました。それまで僕は、京都で「Nazuna 京都 椿通」ほどまとまった町家がある場所を見たことがなかったんですよ。

その時、この場所はすでにマンション開発者に売り渡されるぎりぎりのところでした。なので、一緒にプロジェクトを進めていた株式会社kirakuとともに、急いで企画や経営戦略などを立てていったんです。

ーー「この場所を残したい」という思いで始まったプロジェクトだったんですね!

正直、オープンしてゲストの方々にお越しいただけるまで、本当に不安だったんです(笑)

町家というのは、文化的には意義があっても、不動産としては「ただの古い建物」になってしまいます
経済的に価値があると認めてもらえないため、銀行からお金を借りるのも難しいんですね。資金調達は株式会社kirakuさんが主に担当していたのですが、たくさんの苦労をかけました。

それから、立地が大宮というのもネックでした。京都旅行の宿泊先として人気のエリアではないので、「どういう宿にするか?」「どれくらいお客さんが来てくれるか?」というのは何度も練り直していきました。

ーー結果として、現在は海外からもゲストが多く訪れる、人気のお宿となっています。

ありがたいことに、今では予約がすぐに埋まるお宿になりました。

現在のNazunaの様子。時代とともに手が加えられた外装をもとに戻し、昔ながらの風情ある町家を取り戻した。

「Nazuna 京都 椿通」のプロジェクトは町家の可能性を広げられたと思いますし、他の旅館にはないユニークな価値を生み出せたと感じています。

路地には表札やお地蔵さんまで!本物を改修したからこそのリアリティ

ーー「Nazuna 京都 椿通」のコンセプトについてもお聞きしたいです。

初めて現地を訪れたときに、江戸時代の「花街」のような雰囲気を感じました。

花街というのは、路地全体に活気がありますよね。そんな風に、客室やロビーだけでなく、宿を取り巻く路地全体に賑わいを出したいと考えて、皆で考えていったのがいまの「Nazuna 京都 椿通」です。

ーー施設の中で、特に気に入っているところがあれば教えてください。

昔ながらの町家の風景、施設内で楽しめるレストランなどおすすめしたいところはたくさんありますが(笑)、気に入っているところはやっぱり路地です。

「Nazuna 京都 椿通」の入り口は、扉が開くとタイムトリップした世界になるようにデザインされているんですよ。

路地にある電線はすべて地中化されており、まさに昔ながらの路地の景観が広がっている。

さらに、あまり気づいてもらえないのですが、町家の前には表札やお地蔵さん、鍾馗さん(京町家の屋根によく置かれる瓦製の人形)も置かれています。

本物の町家だった場所ならではの、リアリティが感じられる路地空間になっているんです。

路地の中には客室となる町家だけでなく、お地蔵さんなども鎮座している。

ーー広い路地の中に、細やかなこだわりが詰め込まれているんですね。

路地だけでなく、入り口にあたるレセプション棟には、昭和を代表する枯山水庭園師・重森三玲氏の孫で、現在日本を代表する庭師でもある重森千靑さんの石庭もあります。

こういった細部にも京都の風情を詰め込んでいるので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

レセプション棟の様子。モダンな佇まいの中に、隠れた京都らしさを見つけることができる。

古さだけでなく高級旅館としてくつろげる空間に


ーー客室についてもお聞きしたいです。「Nazuna 京都 椿通」では、TAKE・MIZU・IWA・HANA・HAをテーマにした5種類の客室が楽しめます。

竹の曲線美が美しい「TAKE」のお部屋。

客室はどれもすべて「京都の自然」をテーマにしています。

もともとが昔の町家なので、それぞれのお部屋は決して広くないんですよ。

その分、何度来ても楽しめるような飽きのこない内装にこだわり、半露天風呂つきでゆっくりくつろいでいただけるようにしています。

すべてのお部屋で、半露天風呂が楽しめる。

ーーお部屋で京都ならではの自然美を楽しめるのは素敵ですね!
昔ながらの町家は、そのままだと現代人や外国人にとって不便だったり使いにくかったりする点もあると思います。改装するにあたって、こだわったところはありますか?

町家をもとにした宿泊施設の場合、「町家ならではの不便さも体験のひとつ」としてしまうことも多いんです。でも、当館はそうではなく、通常の宿泊施設としてもご満足いただけるようにこだわりました。

特に、宿泊の際にどうしても気になる水まわりや空調などは、快適に過ごせしていただけるよう細心の注意をはらっています。

ーー歴史を感じながら、高級旅館として快適な時間を過ごすことができるんですね。いまNazuna椿通を利用するなら、どのような利用がおすすめですか?

カップルの記念日や、初めての京都旅行にぜひご利用いただきたいと考えています。

私たちは創業時から「おせっかい」を自分たちの大切な理念として掲げてきました。
宿泊いただいたゲストには、スタッフが「自分がされて嬉しいことを 、人にしてあげたい」という思いでおせっかいを焼かせていただいています。

そういった、施設だけではないNazunaならではの魅力を、ぜひ特別な日に楽しんでいただきたいです。

ーー本日はありがとうございました!

あなたに「おせっかい」を焼いてくれるかもしれない「Nazuna 京都 椿通」のスタッフ達

加茂瑛江さん

小さい頃、たまたま泊まったホテルにいた従業員のお兄さんの対応がかっこよかったんです。幼いながらに感動して、それ以来ずっと宿泊業に憧れがありました。
Nazunaで働いていると、お客様からの感謝のお言葉やお手紙をたくさんいただきます。働きがいになりますし、「働いていてよかったな」と思います。
京都のおすすめスポットは下鴨神社です。意外と知られていないのですが、境内にある河合神社は「美人になれる神社」と呼ばれています。
普段使っている化粧品で絵馬にメイクするとご利益があると言われているので、ぜひ一度訪れてみて欲しいです!

宮坂朗子さん

飲食業のアルバイトをしていたときに、「人の喜ぶことを仕事にしたい」と思ったのが宿泊業に興味を持ったきっかけです。
時間を割いて、お客様ひとりひとりときちんと向き合いたいと思ってたときに、いまのNazunaに出会いました。
趣味は無計画な旅行で、新しいところに行って新たな発見と出会うのが大好きです!

「Nazuna 京都 椿通」について

〒600-8388 京都市下京区高辻通大宮西入坊門町838
Tel: 075-748-0402 | Fax: 075-748-0404
Email: tsubaki@nazuna.co

ご予約はこちらから:https://www.nazuna.co/

ライター:まいしろ
エンタメ分析家。なんでもないことを真剣に調べてみる記事をたくさん書いてます。デイリーポータルZ、Yahoo!個人などで書いてます。
Twitter:https://twitter.com/_maishilo_ note:https://note.com/maishilo