観測者 ナズナに関するデータ

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本名:ナズナ

出身地:地球

種族:アンドロイド

年齢:不明

性別:女性

詳細

 観測者の医務室にいることが珍しい医療向けアンドロイド。神がかり的な医療技術や豊富な医療知識を蓄えており、僅かでも生きていれば助けることができる腕を持っている。
 しかし、治療に関することには一切口を挟むことを許さず、患者の反論も許さない。自分の治療法こそが最善だと信じ込んでおり、邪魔をしようとすれば物理的に鎮圧するようになった。とあることから観測者に身を置くようになる。
 常に患者を安心させるようにと微笑んでいるが、それ以外の表情を他人を見たことがない。医療知識しかインストールされていない為、感情データは削除されたとも噂されている。
 戦闘方法は身長ほどに巨大化したメスを使った薙刀術。その他には投擲術などを習得しており、局員たちの中では比較的高い戦闘力を持つ。中でも武器などを一切使わない肉弾戦が最も得意であり、他のアンドロイドとは違って射撃を苦手としている。
 決して自分の過去を語ろうとはせず、医療現場にいるとき以外はあまり口を開かんない。無口からなのか。それとも『――――――編集済み――――――』
 時折、空を見上げていることがあるが何を見ているのかは分からない。その瞳は何を映しているのだろうか。

過去

 元々はヴィルーパがある銀河系の裏側にある太陽系の地球出身の量産型アンドロイド。外洋航行調査船の乗員の医療班として搭乗しており、豊富な医療知識をダウンロードして無数の命を救ってきた。幾つもの惑星を巡っていく中で、ふとしたことから未知のウィルスによるバイオハザードが発生。感染した乗員が異形化して他の乗員を襲う事態になり、船内は地獄と化した。
 その中で彼女も鎮圧部隊の一人として急遽選抜されることとなったが、彼女自身がそれを拒否。乗員を守ることには賛成だが、異形となっても乗員を傷つけることができなかった。無理やり持たされた銃の先には不気味な姿になった元乗員であったモノがいる。乗員は守らなければならないという感情と今まで一緒に過ごしてきた乗員を傷つけたくないという感情。矛盾を孕んだ思いを胸に異形を排除していくが、あるものを見つけてしまった。
 それは異形となりながらも人の顔の姿をして助けを求める乗員の姿だった。ストレスで彼女の壊れかけた感情が激しく揺れ動く。撃てずに震えている彼女を異形が襲って損傷していき、ついに動けなくなった。このまま壊されてしまうのかと諦めかけた彼女だったが、化け物はこちらには向かわずに別の方向へ向かっていく。ノイズにまみれた視野を動かすと、少し前に助けた少年が泣き顔になりながら石を投げていた。だが、そんなもので止まるわけがない。

 少年の声がする。

 スパークする体を動かす。あちこち傷付いたせいでうまく動かない。エラーが視界を埋め尽くす。オーバーライドして無理やり動かす。動け動け動け動け――――!! 

 身体から火花を上げる。視界はノイズまみれと酷い状態だが、彼女は銃を構えて咆哮しながら撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。血飛沫が飛び、肉塊が弾け、ついに異形は倒れた。
 ほっとしながらも少年を見る。自分を助けてくれた彼にお礼を言いたくて口を開こうとした時、赤い液体が広がっているのが視界に入る。そこにあったのは、瓦礫に背を預けながらも血の池を生み出している少年の姿だった。慌てて駆け寄ろうとするが、身体が限界に来たのか倒れこむ。血まみれになりながらも這いずって少年の元へ行こうとするが、だからこそ腹部に銃痕があるのが見えてしまった。偉業を撃つ時にノイズで視界がふさがれかけたせいで照準がズレて少年の体に当たったのだ。
 少年を治療しようと手を伸ばす。本当は、彼女は気付いていた。銃弾は急所を貫いており、この出血量ではもう彼は助からないと。そして、彼を殺したのは自分であると。
 人を救うために生まれたのに、救うべき人を殺してしまった。その事実に彼女の脳は過負荷を起こし、強制停止してしまう。その時に小規模な爆発が起こり、彼女は船外に弾き飛ばされて宇宙を彷徨った。
 幾星霜の時が経った時、彼女は偶然にも一隻の戦艦に流れ着いた。今の人類よりもはるかに文明が進んだ高高度文明人が作り出した大型惑星間航行戦艦。本来は船団に属していたのだが、長い航海で艦が航行できない状態になったので破棄されたものだった。
 その艦の管理AIが彼女を回収し、自身を修理させて任務を遂行するために彼女を修復。幾つか足りない部品があったのと自身を護らせる為にファクトリーにあった機械生命体の部品を使い、自身の考える限り高機能に仕立て上げられた。幾つもの圧縮データをメモリーいっぱいに叩き込まれたせいで感情に関するデータのほとんどは医療関連の知識に上書きされ、表情を変えることができず、感情も出せない。また、人工頭脳の損傷もあったせいで過去に関するメモリーは全て失われた。
 治療や手術に関しても容赦がなくなっており、救えることができればどんな手段も問わない冷酷な性格へと変化。記憶を失っても、子供を自身の手で殺めたことが頭脳の奥深くにトラウマとして刻まれており、銃器を使うことができないように厳重に火器管制システムがロックされている。代わりに多彩な近接格闘技術をインストールされており、大幅な戦闘能力の底上げがされている。

 本来ならば彼女を配下に任務を再開する予定だったが、目覚めた瞬間に知能を無理に弄ったせいで暴走した彼女によって管理AIは破壊された。収まった後は彼女は何故か分からないまま艦の修理を開始した。その後は知っての通り、惑星であったヴィルーパに不時着。局長の治療のために観測者へ入社することとなる。


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