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「夢路空港」を観て深夜3時から感想と自分語りをする奴

4月16日24時開演の、ストーリーレーベル「ノーミーツ」という団体が制作した「夢路空港」というオンライン演劇を観ました。

https://twitter.com/nomeets_/status/1515279148952223745

予告編だけでも見て頂きたいのですが、
・空港を丸ごと貸し切る
・深夜24時からの開演
・ジャルジャルさん、前田敦子さん、乃木坂46の清宮レイさんをはじめとする豪華俳優陣

この3つの要素だけでもかなり多くの人が惹かれるのではないでしょうか。

お話を文章で端的に表現する力を残念ながら持ち合わせてないので後の方でつらつらと書きますが、観劇している時間は、夢と現実という大半の人がぶつかる思いに、ひっそりと寄り添ってくれる時間でした。
「夢路空港」を観ることで、自分自身が変わって悩みが吹き飛ぶみたいな劇的な変革は個人的にはもたらさないかなと思います。ただ、そんな特効薬みたいなお話や本よりも、もっと大切にしないといけない何かが詰まっていると思うので、是非。

5月1日までアーカイブあります。深夜に観るのがおすすめです。

一点、オンラインだけで行われる演劇というものに抵抗ある方も若干いるかなと思うので補足すると、
「ノーミーツ」という団体は2020年4月から立ち上がって、旗揚げ公演「門外不出モラトリアム」、最近ではニッポン放送とコラボしたオールナイトニッポン55周年記念公演「あの夜を覚えてる」など今までに様々なオンライン演劇を行っています。
僕はひっそりと最初から見続けているただのファンですが、オンラインでの見やすさというのはずっとこだわり続けている団体なので、その点はご心配ないと思います。

ここからは、若干ネタバレありの文章です。ただ、突発的に書いていて台詞等をメモしているわけではないので、考察や結末は書きません。あくまで自分が感じた事、タイトルにもある通り自分語り中心になると思います。
なので、どこのどいつかも分からない奴の自分語りを読んでも苛立たない方や、ちょっとまだ買うかどうか迷ってて多少お話の空気感や概要が分かってもストレスにならないという方は先をお読み頂けると嬉しいです。





このお話はタイトルにもある通り「夢」を題材にした物語です。夢にまつわる様々なメッセージをこの物語は伝えてくれました。ただ、夢にまつわるメッセージというのは様々なもの、例えば音楽や小説、あるいはビジネス書といったようなものでも書かれていて、既に出尽くされていると思います。

なので重要なのは、普遍的なメッセージのそれではなく伝え方だと思うのです。僕はtwitterのプロフィール画像が顔写真で私は有益な情報を常に皆様にお届けしていますみたいな事を平気で言える強者ぶっている人に「夢を持つことは素晴らしい」と言われても全く響きません。

この事を前提にして、今回僕に一番刺さった事は自分は人の何を見て、そして何になりたいんだろうという事です。
これだけでは全く何の事やら伝わらないと思うので、文字数を使わせて頂きます。メインの役者さんだけでなく、マイルドヤンキーやゆうくんのお母さんについてもいちいち語りたいのですが、如何せん文字数がえらいことになるので今はジャルジャルの福徳秀介さん演じる毛利を起点に自分の感じた事を書きたいと思います。

毛利は、バリバリの商社マンで仕事一筋、俺は金持ってて家も広くて常に忙しいんだぞみたいな事を言うような人です。
「夢路空港」は割と彼を物語のメインの筋としているのですが、毛利は様々な人と出会っていく中で自分の中身の空虚さと向き合い、自分の現在は果たして自分が本当になりたかった人か、という感情を抱いていきます。
この物語は結果よりも過程が重要な物語だと思うので別にこれはネタバレと言えるほどではないですが、毛利は結果的に自分が他人を見るときに地位などの外側部分だけしか見ず、自分自身も外側部分を着飾ってばっかりで、夢を持っていた内側部分が忙しさなどに押しつぶされ空虚になっていた事に気づきます。

毛利のようなキャラクターはこの演劇には間違いなく必要で、毛利に一番心揺さぶられましたが、キャラクター像だけ見ると割と色んな物語にいる人物だと思います。例えば仕事一筋だったけど家族が亡くなって家族の大切さを知るだとか、超絶美人が自分には振り向かず何故かお金が無いニートと付き合ってる、一体なぜ!?みたいなやつです。

ですが、終盤の方に毛利が荒牧慶彦さん演じる天翔と前田敦子さん演じるきな子それぞれと会話するシーンがあるのですが、ここがこの演劇の核心であると思っていて、メッセージがこの物語で包まれた事で生まれた感情、そして包まれた意味があったと感じた箇所でした。
ここまで読ませておいて書かないのは少し意地悪と捉えられても仕方がないとは思いますが、こればかりは是非映像で確認して頂きたいです。そっちの方が数万倍心に残ると思うので。そして感想をお聞きしたいです。

ここから自分語りに入るので少しお付き合い頂きたいのですが、僕は毛利をみて、「ああ、僕も毛利と根幹の物の見方は同じだ」と感じました。
僕は21歳、現在大学3年生なのでお金持ちでも仕事をしている訳でもありません。ただ、ずっと他人の事をこの人が何をしている人なのか、どういう事ができるのかという尺度で見ていなかったか、とこの演劇を観た後ずっと考え続けています。そして今もこの答えは出ていません。

僕には明確な夢というのはありませんが、将来は今自分が楽しんでいるエンタメの作り手になれたらいいなと思っています。中高の頃から単純に色々なエンタメが好きだし、仕事をするのであればものづくりがしたいというのはずっと思っていました。エンタメを楽しむためには大学は東京がいいと思って受験しましたが、落ちて地方の大学に行く事になりました。ちょうどその時コロナが流行りだし家から出られなくなり、様々なオンラインのエンタメが誕生しました。
ノーミーツ、サカナクションのオンラインライブ、SCRAP、オールナイトニッポン、泊まれる演劇、細かいものを挙げ始めるときりがありませんが、これらの大好きなものたちは、家にいないといけない状況そのものから救ってくれたというよりかは、場所に制約がない事で地方在住で上京した友達を少し羨んでいた僕を救ってくれました。

大学で2年間過ごす中で、その作り手になる為に、と言っては少し大きすぎますが割と色々なものを作ったり、また面白そうな企画に積極的に参加しました。謎解きを作ってみたり、脚本スクールに通って脚本を書いてみたり、時にはファッションショーの演出をした事もあります。今回「夢路空港」を制作されたノーミーツさんのある企画で学生ボランティアのような事もしてみたりしました。
3年生からはもっと自分を制作する環境に置きたいなと思い、芸術系の学部に転学部をして勉強をしています。

ここまでしておきながら、最近になって僕は何がしたいんだろう、何になりたいんだろうという疑問をずっと持ち続けています。

それは、将来作り手になりたいという事を前に書きましたが、なりたいではなくて作り手として自分を見て欲しいという意味なのではないかと思ったからです。というのも、例えば今映画監督として売れている方は、明日から一生商業映画は撮らせませんと言われたときにきっぱりと映画制作を辞めれるかというと、ほぼ全員といって言いくらい違うと思います。僕の想像でしか無いですが、お金は何とかしながらも自主制作映画や何かしらの形で映像を撮り続けるのではないでしょうか。

要は、作り手というのは別に目指す夢とかではなく、単純に好きで作り続けていたらそれがたまたま多くの他人が良いと思ってくれるものだったという事に過ぎないのではないかという事です。そして、この作り続けるというある意味では狂気とも呼ばれかねない原動力というのを、僕は持ち合わせていません。機会がまず先にあり、その機会に合わせて作るという行為をしてきただけです。

そして、このどう見られたいかというのを事を思っている人の他人の見方というのは、その人自身ではなくその人が持つ能力だったりしてきた事に対するものなのかなと思います。自覚はあまりなく、クラスの一軍っぽいから仲良くなっとこうみたいな打算的な感覚は僕にはありませんが、これは毛利も同じだと感じました。毛利は打算的とか効率的というよりかは、自分の内面が知らず識らずのうちに空虚になっていったのと同じように、知らず識らずの内に他人の外側だけしか見えなくなっていったのだと思います。

少しだけ話は脱線しますが、SNSで登場する人への憧れは、その人自身を全く知らないのにも関わらず能力やしてきた事だけを注目してしまうため、過剰に大きく見えるのかなとも思いました。

とにかく、「夢路空港」に出てくる毛利を見て、愕然とこの事に気づいたわけではないですが、何となく薄々思っていたことが表面化したからこのnoteを書いているんだと思います。ほんと思ってばかりです。

自分が思うだけでなく、それを踏まえてどうしていくか、毛利のように最後晴れやかな表情になれるかはわかりませんが、とりあえず今夜また「夢路空港」を見てみようと思います。

ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
まだ「夢路空港」を見られてない方は、ぜひ検討してみて下さい。

以上、書き終えて時間をみたら6時で愕然とした奴のnoteでした。









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