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狛犬ソムリエが久しぶりに会う話

皆様、こんにちは。

先日、ソムリエさんの執筆が遅れているため、皆様のお力をお借りしました。
コメント下さった方も、いいねを付けて下さった方も、個別の連絡で応援下さった方も、心の中で応援して下さった皆様も本当にありがとうございます。

念願叶って、ソムリエさんが投稿して下さいました。

今回は、私側からのお話を致します。

ソムリエさんが、まじめに書いて下さったところ、私の雰囲気では不謹慎に聞こえるかもしれないですが、自分なりの言葉でお伝えしようと思います。

よろしければ先にソムリエさんの投稿をお楽しみ頂いてから、私の話を読んで頂ければと思います。

登場人物

  • ソムリエ
    神社の狛犬や木々など、様々な存在の声が聴こえる不思議なお方


  • ソムリエさんが大好き

目次


それは夏日のこと

曇り空だけどとっても暑かったこの日、私たちは、計4名で早朝から浅草を練り歩きました。

又、大根をお供えするお寺がありまして、ソムリエさんは遠方にも関わらず「今日こそ、おさがりの大根を持って帰る!一回は持って帰る!」と決めてらっしゃったので、ハンドバッグにはずっしりした大根の茎が顔を覗かせていました。

私の方がうんと近所ですけれど、それでも、持ち歩くなんて嫌!重い!と思っていましたから、ソムリエさんはすごいなあと思いました。

そこからソムリエさんは、一緒にいた私たちの仲良しのお坊さんに、
「お坊さん、今日展覧会に行くの?じゃ、新幹線の時間もあるだろうし、今から向かった方がいいよ!むしろ、皆で今から展覧会に行こう!
とパワフルな提案をし、私たちは1時間くらい移動しました。

展覧会場にて

そして展覧会場では、ソムリエさんは雲の形の置物に一目ぼれして、これどうしようかなあ、と迷ってらっしゃいました。
それは作家さんが特別なものを混ぜて作った、神棚代わりに設置できる品でした。

ソムリエ「宅配便で割れたらショックだし、今日はもう大根持ってるし・・・持てないよ・・・」

私「あ、そしたら、帰りに別れるまでは私が片方持つよ!」

ソムリエ「え?本当?・・・じゃあ、お願いしようかな」

ソムリエさんは、結局は自分で持つと言い張り、大根と陶器の両方をご自身で一生懸命持ち歩いてらっしゃいました。
ただし、深刻そうなお顔でこんな呼びかけをしてきたのです。

ソムリエ「れいなさん・・・この焼き物を私、お守りだって思えて、行ける気がするの・・・。

ちょっとお願いがあるんだけど・・・せっかくここまで来たから、午後、〇〇神社に一緒に行ってくれない?」

私「?いいですよー」←事情は知らない

ソムリエ「れいなさん、アタシみたいに神社の狛犬さんと会話するの、もうほんと上達したよね!」

私「ええ、おかげ様で」

ソムリエ「アタシ、狛犬さんから隠れてるから!!!
その辺の壁にこうやって潜むから!!!」←家政婦は見た的な動き

ソムリエ「だから、れいなさんが行ってきて!!!
それで、狛犬さんに、アタシが参拝してもいいか、聞いて!!!

私「・・・???(行けなくなっちゃった神社があるとは聞いてたけど、そこのことかな?)はぁい、いいですよー」

ソムリエ「やったー!」

数分後、同じく展覧会場にて。

ソムリエ「れいなさん!
そしたらアタシ、狛犬さんから隠れてるから!!!
その辺の壁にこうやって潜むから!!!
だから、れいなさんが行ってきて!!!」

私「い。。。いいに決まってるじゃないですか」

ソムリエ「ほんと?!んもぅ怖いぃ~!数年ぶり!!!
れいなさんが頼り!やった!嬉しい!!!」

数分後、同じく展覧会場にて。

ソムリエ「れいなさん!ホントに一緒に来てくれるのね!!!
い~い???アタシ、狛犬さんから隠れてるから!!!
物陰にこうやって潜むから!!!」←見覚えのある動き

ソムリエ「だから、れいなさんが行ってきて!!!
聞いてきてね!!!お願い!!!」

私(これ本気でやってほしいんだな・・・。
一体、どんな経緯があるんだろう・・・)

該当の街に到着

私たちは電車で移動して、ソムリエさんがかつて住んでいたというその町に降り立ちました。
私はもしかしたら、ほとんど初めて訪れたかもしれません。

ソムリエ「今からお昼何食べたい???」

私は疲労気味というか、早朝からの連続しての移動にフラフラしており、足元がよろめいてしまって、ソムリエさんが道で引き戻してくれることすらありました。

私は何でも食べたいなと答えましたが、ソムリエさんは根気強く、今の私が食べれそうなものを考え出してくれて、又、階段がなく入れるお店を見つけて提案してくれました。

その喫茶店で飲んだ果物のジュースで、少し体調が戻りました。
美味しいパスタも、ソムリエさんがおごってくれました。
そこで聞いた、こちらの神社に来られなくなった過去のお話は、ソムリエさんの投稿にあった通りです。

私たちはその〇〇神社の参道に行きました。

ソムリエ「うぁー・・・久しぶりだ、ここから緊張する・・・」

ソムリエさんは鳥居から30メートルくらい手前の街路樹の裏側に、座れそうな縦長い石を見つけました。

ソムリエ「アタシ、ここで待ってるから!!」

私(けっこう離れたところで待つんだな。。。)

ソムリエ「向かって左側の狛犬さんが、理性的というか、冷静に話してくれる方で、そっちにいつも相談してお世話になってたの!!!

向かって右側の狛犬さんは・・・正直よく分からない。外国の人?みたいな距離感・・・」

ソムリエさんは、その、よく話していた方の狛犬さんから隠れるように座っているのでした。
その一方で、あまり関わってなかった狛犬さんからは見えてしまっておりましたが、しょうがないということでしょうか。

ソムリエ「狛犬さんに聞いて来てねッ!じゃ、どうぞ、よろしくお願いいたします!!!」←律儀

大きな荷物を2つも抱えているソムリエさんは、そんな深刻な経緯じゃなくって、ふと近所から来た買い物帰りの人みたいに見えました。

私「分かりました、行ってきます。あ、何かあれ境内に、面白いのが設置してありますね」

ソムリエ「ああ、あれ、特別な参拝方法があって、書いてあるからやってきたらいいよ」

私は、実はフラフラしすぎていて階段を上るだけでも危なかったので、その参拝方法は止めておきました。

体調から、中断した方が良いのかな?と何度か不安になりましたが、どうしてか、今日ソムリエさんと来たことは導きと感じられ、今日この流れで頼まれたことをやり遂げた方が良いと思えてならず、歩みを進めました。

左側の狛犬さん

歩いて行くと、まず、左側の狛犬さんに目が留まりました。
かつて、ソムリエさんがよく話しかけ、頼りにしていた方です。

心の中で話しかけました。

私「こんにちは。私は〇〇に住む××という者です。
以前こちらに住んでいた△△さん(ソムリエ)という方が、すぐそこで待っておりまして、自分も参拝していいだろうかと不安でいらっしゃいます。
△△さんは参拝しても良いでしょうか?」

落ち着いた重厚なお答えがありました。

左側の狛犬さん「良いです。よく見なさい」

その見なさい、というのは、鳥居側から本殿に向かい、見回すような向きでした。

左側の狛犬さん「当時とは、ご自身もそうだし、状況が変わっているということを、よく見て自覚しなさい」

私「ありがとうございます!それと、狛犬さんかわいいです!

左側の狛犬さん(ちょっと雰囲気が華やぐ)「ありがとう」

右側の狛犬さん

私はそのまま、右の狛犬さんに向かい、先ほどと同じく名乗り、尋ねました。

私「△△さんは参拝しても良いでしょうか?」

右側の狛犬さん「だめです。よく見なさい」

今度の「見なさい」というのは、本殿の方を向くのではなく、逆に鳥居の外を見なさいと指示されているのが伝わってきました。

だめです、という響きにドキッとしながらも、狛犬さんから伝わってくる雰囲気の通りに後ろを振り向きました。

すると、街路樹の陰から、大きな荷物に囲まれたソムリエさんが、小学生の女の子みたいに、ひょっこりと体を斜めにして、こちらを伺っている様子が見えました。

大きな大根と、陶芸の作品を一生懸命下げて歩いて来たソムリエさんが、健気で可哀そうに見えました。

私と違って体がご丈夫とはいえ、私に負担をかけまいと、夏日の中、重い荷物をしっかり持って歩いてきてくれたのです。
ソムリエさんは、そういう方なのです。

ここから2時間くらいの場所に一生懸命電車で帰るんだな、そして、子供さん達のご飯を作ったり、家事をして、旦那さんともたくさんのやり取りをして、地域のこと、周囲の人々の幸せをいっぱい考えた末に眠るんだな。

数年前に、こちらの神社に来づらくなったときも、誰かを貶めるようなことをしたわけじゃなくって、あの無邪気なお姿で、一生懸命だったけれど、色んなことが重なってうまく行かなくなったんだろうな。

離れているので表情は分からないけれど、ちょっと無理な体勢で、片足に体重を乗せて、こちらをまっすぐ見ているソムリエさんが、お母さんの様子を伺っている子供みたいでもありました。

ひとりにさせてごめんね、待たせちゃって、と思いました。

いつも頼りになるソムリエさんの肩が、これほど小さく見えたのは初めてのことでした。

私は涙がにじんでしまいました。

狛犬さんは、私がどう感じたか分かっているようでした。

右側の狛犬さん「あの姿。こちらに参り出ることで、また何かで傷ついたら、かわいそうでしょう」

私「分かりました。そのご意見を含めて、本人にもう一度どうしたいか聞いてみます。それと、狛犬さんかわいいです

右側の狛犬さん(ぱあっと華やぐ)「ありがとう」

関わったことがあまりないと聞いていた右側の狛犬さんも、ソムリエさんのことをよく認識して、慈しんでくれていたことを嬉しく思いました。

私は意を決して本殿に向かいました。

本殿に参る

私は賽銭箱に小銭を投げて、慎重に二例二拍手をしました。

私「こんにちは。私は〇〇に住む××という者です。
以前こちらに住んでいた△△さん(ソムリエ)という方を、お分かりでいらっしゃいますでしょうか」

すると、幅のある声で、単語がポーンと正面から飛んできました。

大神「住人

私「そうです、そうです。かつて、この近所に住んでいたのです。
すぐそこで待っておりまして、自分も参拝していいだろうかと不安でいらっしゃいます。
△△さんは参拝しても良いでしょうか?」

答えの声はなかったものの、私の足首がもぞもぞして、まるで一匹のアリが上がって来たような体感がありました。
私は手を合わせていたので、特に足首を探ることがなく、それが本当に実在のアリだったのか確かめてはおりません。

ただ、ダジャレのようですが「有り」ですよ、ということで、お許しが頂けたのだなと受け止めました。

私「分かりました、ありがとうございます」

私は一礼をして、後ろを振り返りました。
階段を降り、鳥居を出て、参道をまっすぐ進んで近づくまでソムリエさんの姿は見えず、先ほど狛犬さんに「見なさい」と指示されたときは、たまたまひょっこり出て来ていたから目があったのだと分かりました。

それも不思議な導きに思えてなりません。

そのまま、角度のついた階段を降りていき、まっすぐソムリエさんに向かって歩きました。

ソムリエ「どうだった?」

私「えっとね、まず、左の狛犬さんは、いいですって。状況が変わってることをよく見なさいって」

ソムリエは、緊張して私の顔をじっと見据えたままでしたが、少しほころんだ様子で、しかしよくよく集中して聞いているのが伝わってきました。

私「それで、右の狛犬さんは、だめですって」

ソムリエのまん丸な目が更にまん丸になったと同時に、はっと口を開いて驚いていました。

私「また傷ついたらかわいそうでしょって。
優しいね・・・涙が出そうになっちゃった」

ソムリエ「右側の狛犬さんさぁ~、女子じゃない???
前から思ってたけど、女子!女子じゃない???

私「あ、そうなの?わかんないけど、ちなみに神様のところでは、アリが登って来たから、たぶんありなのよ」

ソムリエ「分かりました。どうもありがとう。
行ってきますから、ここで待っててね。荷物をよろしくお願いしますね」

私「はい」

ソムリエが、自分ひとりで向かったことを度胸があって素晴らしいと思いました。

そうです、今日は小さく見えたけれど、普段はそういう方であった。
そのことをじわじわ思い出していきました。

参拝終了

時間をかけて参拝したソムリエは、街路樹のところで座って待っていた私に話しながら、無事に戻って来れてほっとしたのか、私の前で、はらはらと泣いてしまいました。

私「本当に良かったね。何年も経っているし、状況は変わっているんだろうね。神職の人達とは会わなかったんだね?」

ソムリエ「うん、会わなかった。
でもね、やっぱり神様が『目に留まる前に早く行きなさい』って言ってくれた・・・神様って、本当に優しいな・・・優しい・・・」

私「そうなの・・・」

ソムリエ「うん、れいなさん、この御恩は一生忘れません・・・本当に、この御恩は忘れません・・・」

私「それはいつも、私が思ってること!!!!!」

ソムリエさんが駅まで見送ってくれました。
その後は、どう帰ったのかよく覚えていませんが、ただ、無事に帰宅して、部屋を涼しくして過ごしました。

そしてこの日の移動中にソムリエがたくさん心配りをしてくれていて、私のことについても相談に乗ってくれていたので、運が爆上がりしたのか何なのか、何とこの日と翌日のやり取りで恋人ができましたーーーー(祝)!

最後までお読み頂き、ありがとうございます。
ソムリエさんに習って続けてきた狛犬さんとの関りが、ソムリエさんに頼ってもらえるような出来事につながっていくとは思いもよりませんでした。

ソムリエさんと関わると、不思議と運が上がるんだそうです。
皆様にも、それは届いているはずで、どうぞ幸あれ!と祈らせて頂きます。

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