於 代官山蔦屋書店 蔦に絡まって5分間転がった豆の話


注意!⚠️
マジでクソ長いんで、目次の1番最後だけでも見てくだせえ。5000字越えはやりすぎたし、読み直してない。

於 浅草

到着予定時刻21:54。
8/17(木)に浅草のホステルで見たスマートフォンのグーグルマップがこう告げていた。
愛知から上京して宿には20:30ごろ到着し、チェックインを終わらせ一息ついたところだった。
日が暮れたとはいえ、猛暑の中バックパックを背負って十五分ほど歩いて宿にたどり着いた。ただでさえ病的な汗かきなもので、雨も降ってないのに濡れ鼠と化していた。
正直、すぐにシャワーを浴びたい。というか、浴びないと、周囲に迷惑がかかるレベルの汗量だ。
しかし、それでもワンチャン行けるかと調べたグーグルマップは、今すぐに出発すれば、代官山蔦屋書店の閉店五分前に到着できると告げる。
怠惰な自分の常ならば出発を見送っただろう。しかし、発売初日の魔力ゆえか、はたまた猛暑で茹で上がった頭のせいか、財布とスマホとモバイルバッテリーだけを携えて、すぐにホステルを発ったのだ。『奇奇怪怪』の記念すべき書籍第二段を、発売日に手に入れるそれだけのために。

車内・徒歩 移動への漠然とした恐怖

懸念があるとすれば、乗り換えだった。渋谷での乗り換えは、田舎者にとっては少々ひるませるだけの威力はある。もう10年以上前になるか、ヤンシュ・ヴァンクマイエル展をおとずれた時に、渋谷駅で迷いに迷った経験は軽いトラウマになっている。しかし、今回はあの時にはなかったスマホで、いくらでも下調べできる。浅草から銀座線で渋谷に向かう道中の中で、駅の構内図などを調べに調べてスムーズな乗り換えに備えた。
そこまでやる必要はないとも思った。しかし、なにせ到着が閉店の五分前になる見込みなのだ。少しでもつまずけば、そこで試合終了だ。
そして、渋谷駅に到着。下調べした情報が役に立つ…こともなく、以前より整理されて、はるかに見やすくなったサインのおかげで、拍子抜けするぐらいスムーズに乗り継げた。あとは東横線で1駅。
代官山駅には、無事に21:40前には就くことができた。

残りは、蔦屋書店まで歩くだけのこと。大した距離でもなく、グーグルマップに従っていけばなんの不自由もなかった。
むしろ、深夜に差しかかる頃合いだったので、事前にストリートビューで見た時にはきらびやかだったショーウィンドウの照明が軒並み落ちていて、事前に警戒していた、場違いな感覚の負担をそう感じることもなく歩を進め、目的地の書店にたどりついた。この時、21:54。グーグルマップが浅草で告げた到着予定時刻よりほんの数十秒は圧縮できた。

ちなみに、東京ではどうだか知らないが、地方で一般的に「つたや」と呼称するときに想定するのは、大概、青地に黄色のおなじみツタヤカードと同じ配色で「TSUTAYA」という電飾看板が掲げられている店構えだ。
しかし、代官山で私の眼前に現れたのは、褐色と幾何学模様で構成されたシックな建物に掲げられた「蔦屋書店」。白色に輝いている。あろうことか漢字。正直ひるんだ。「蔦」などは改めて見ればそう難しい構成の字ではないが、それを読める前提で見せつけているそのスタンスに。

知らないTSUTAYA


なにせ、想定していたのは青と黄という補色で、さらに煌々と照明を照り散らかして、人間の目を生理的に引き付けようというあさましい店構えだったのだ。これは、私の知っているTSUTAYAではない。
しかし、閉店まで残り五分。文字通り一刻も無駄にはできない。ようやくたどり着いた興奮と焦りが、ひるむ心をねじ伏せて、店内に歩みを進めた。当然、それはもう汗だくで。なにぶん、歩いてきたので。

店内1

油断していたといえばその通りなのだが、移動経路にばかり気を取られていて、肝心のモノリスの展示については何も調べていなかった。
しかし、脳盗/奇奇怪怪のTwitterで見る限り、あれだけ目立つ展示なのだから店内に入ればすぐに目につくのだろうと高をくくっていた。間違いだった。
店内に踏み入れて初めに思ったのは、「本が少ないな」という印象。
次に脇に目を向けると、閉店準備をしているスターバックス、「なぜ店内にスタバが?」という疑問もさることながら、周りを見渡しても展示は見当たらない。微塵も圧も密も感じやしない。
軽くパニックになる。しかも、なんか店内、狭くないか?そして、正面に目を向けると、入り口の反対側の向こう側に何かが見える。何かの予感がして私は足をそちらに進めた。

店内2


蔦屋書店を出ると私を迎えたのは津谷書店だった。デジャヴュ?
なるほど、棟が分かれているのか。そう得心しながら自動ドアをくぐり蔦屋´に入店する。
「圧も密も、何ら見当たらない。」入って正面の平台の書架にはおしゃれな海外の写真集や、選書されたであろう雑誌が並べられている。
しかし、今はそれどころではない。「そろそろ店員に聞くべきか?」そう思い始めたところで、少し目を遠くに向けると、反対側の自動ドアを透かして何かが見える。私はこれを知っている。ほんの、20秒前に経験したばかりだ。
「なんか、2Fもあるみたいだけど、2000冊もの本の立体移動などという愚にもつかないことは行わないだろう」などと考える余裕もなく、何かにいざなわれるように、またしても反対側の自動ドアをくぐり出た。

店内3


蔦屋書店を出て、私を迎えた蔦屋書店´を出て私を迎えたのは、蔦屋書店´´だった。
この時点で、21:56:30。ウルトラマンが怪獣を多少余裕をもって倒す程度の時間しか残されていない。
入った瞬間に、ここは自分の大好きなタイプの書店だと確信した。しかし、今はそんな場を堪能する余裕はない。あらゆる本の誘惑をシャットアウトして、モノリスを探すことだけに集中した。
冷静になれば、店員に聞いた方が良かったと思う。ていうか聞かない方が迷惑だと思う。しかし、到着後に想定外に難航していることと、下調べを何もしていない自分への自罰的な感情がないまぜになって、店員に聞くのがはばかられたのだ。閉店準備で忙しそうだったし、オレは汗だくだったし。
入り口から見渡す範囲にモノリスはない。観察したところ、いくつか小部屋に分かれているようだ。少しだけ練り歩いても見つからなかったら、観念して店員さんに声を掛けよう。そんなことを考えつつ、右に左に首を振りながらまあまあの早歩きで店内を驀進する。そういう動きのおもちゃある気がする。
やや奥まったホールから左に首を振ったとき、それはあった。見紛うとこなきモノリスが。2つの小部屋を挟み、それでも滅しきれない圧を放っていた。速やかに足を運び、たどり着いた小部屋にそれは構築されていた。
正直、すでにかなりの数が売れていて、想像していた密感はだいぶ薄れていた。それでも、冗談みたいな数の本が積み重なっているさまは圧巻だし、囲われた本が数を減らしたことで、のぞき込みやすくなったジオラマを見て、そういう趣旨の仕掛けかと、ニヤリ。
しかし、時間はない。すでに21:57を回っている。速やかに購入して退店しなければ、番組にも迷惑という者。ぐるりとモノリスを周り、雑なジオラマの写真を撮って、この間30秒。モノリスの構成物を1冊つかみ取り、レジをと足早に向かった。

圧と密
本当にひどい写真だと思う

🟦📦青い箱

特装版を買うかはかなり迷っていた。価格が11,000円(税込)と中々なのもあり、実店舗でTシャツを見て決めようと考えていたのだ。しかし、想定外にモノリスの周りに特装版は影も形も圧もなく、欲しけりゃECで買えばいいかとあきらめて、レジに向かう道中のこと、モノリスから小部屋を2つ潜り抜けた先にそれはあった。
でっかい2重の青い箱が平台に積まれていたのだ。さっき通り過ぎた時には、モノリスしか探していなかったもので、やや低い目線の位置に積まれたそれらの青箱には気づかなかったのだ。
そこからは条件反射だった。迷わず回れ右して、先ほど崩したモノリスをまた1つ積み上げ、また回れ右。少し馴染みさえ覚えてきた2つの小部屋を素早く潜り抜けると、バカでかい箱を両手で抱えレジに意気揚々と運んで行った。この時、おそらく21:58は過ぎていただろう。

商取引

流石に、店に迷惑をかけている自覚はあったので、あらかじめクレジットカードは先に取り出して右手の指に挟んでした。レジでの対話のシュミレーションも済んでいた。
「袋はおつけしますか?」には「はい、お願いします。」
「お支払方法はどうなさいますか?」には「クレジットカードでお願いします」

しかし、商品を受け取ったレジの店員さんが発したのは、まったく予想もしていない一言
「こちらの商品のTシャツは、Mサイズですがよろしいでしょうか?」
「え?あ、ダメです」

本当に素晴らしい店だと思う。1商品にTシャツが同封されていることを把握し、支払いをしようとしている客の体格がどう見てもLサイズですら怪しいことを恐らく見て取ったうえで、客の体格には配慮しつつ言及することなく、商品側の条件が客のニーズを満たさないであろうという文言に言い換えて瞬時に放ったのだ。

もはや、その時点では恥ずかしがることもなかった。速やかに、特装版が積まれた平台に戻り、(Tシャツが)Mサイズの箱をそっとおくと、(Tシャツが)LLサイズの箱を抱えて再びレジに向かわんとするとき、気づいた。
特装版の🟦📦はやや低めの平台に積まれており、しかし平台の半分程度しかその場所を占めていない。ぐるりと平台の後ろに回り込むと、そこには番組で取り上げられたり、言及された書籍が選書されズラリと並んでいたのだ。
正直興奮した。配信を聴いて、興味を持った本を探しに地元の書店に行ってみても、大抵は在庫がなかったものばかりなのだ。

先程の店員さんの親切心にも応えるべく、その実己が物欲を満たすために、それらの中から『手の倫理』伊藤亜紗を手に取り、レジに再び向かった。『プロ野球経営全史』が1番売れていた様だが、手に取らなかった。野球に興味ないんで。
店員さん、「こいつ、なんでTシャツのサイズ交換に行ったのに呑気に本を選んでんだよ」と思っていたはずだ。
追加で本を手に取った時点で、21:59。レジで支払いを終えたのは22:00ちょうど。セーフかアウトかは店側に判断して欲しい。


邪魔な箱📦

店を出て20秒で気づくことがあった。
「この箱邪魔じゃねえか?」
今回の東京旅行は、8/17(木)〜8/20(日)の3泊4日。途中で宿を変えるため、武蔵小金井まで移動する。
勢いで買ったものは良いものの、少なくとも初日に買うべきではなかったのではないか?
頭にもたげたその疑問は果たして的中する。
まず、デカすぎてバックパックに入らない。出かけても、丈夫な箱なので、バックパックの底面に入れれば楽に運べるのだろうと考えていた。その期待を裏切られ、紙袋に入れてひたすら手で運ぶ羽目になる。

次に、重さと大きさが絶妙にストレス郵送するには躊躇われるサイズの箱に、。ジャンプ➕αの重量物が入っている。持ち上げるのに苦はないが、運び続けると非常につらい。
何度もECにすればよかったと後悔した。

さらに、自業自得だが、帰りの新幹線の便を間違えて、新横浜で指定席を離れることになった時も持ち運び邪魔だったりした。
とにかく、運送会社の方々、本当にありがたいなと実感する旅路だった。
他に図録とか買ったのも悪いんだけど。

今回の旅行の戦利品。
箱は邪魔だった。
りゅうは可愛かった。

余談

やっばい分量になってるし、裏弍に向かってる車中なのでここら辺からはおおざっぱに。
実は、8/19(土)にも代官山蔦再訪してTaiTanにも出くわした。光栄、マジで。見つけた瞬間、対戦相手見つけたポケモントレーナーみたいになってた。
あと、New jeansも特装版を購入したに違いない。あのサイズ感を散々思い知った自分なら断言できる。


最後に🟦📦開封の儀𓃰

まあ、愛知まで持って帰ったはいいけど、箱🟦📦のせいで疲労が上乗せされて、開封の儀は8/21(月)の夜になった。
引き出しを開けても、入ってるはずの、ポスターと玉置氏の字が見当たらず、当惑するも、すぐにデスノート式と気づき、ニヤリとしながら、しかし丸ポッチは外さず、底板をずらして箱を逆さにしてフリフリして落とす。
上段のTシャツの引き出しには何もなし。
下段も同じく逆さでフリフリすると、底板が外れてポスターと字がハラリと落ちてきた。2秒後驚愕のあまり言葉を、失う。





結局何が言いたいかっていうと(クソ長いんで、ここだけみてください。)

こんなんNew Jeans でも持ってませんから。
ECで買ってたら、サイン手に入らなかったから、邪魔だけど店舗で買って良かった。

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