2021年春号・5月2日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■説教者のためのテキスト研究
「キリストに会ったサウロ」  使徒9:1−9
伝えるポイント:イエスを迫害していたサウロは、突然イエスに出会い、イエスを伝える者とされた。(19aまで説教範囲とする)

 9章に入っていよいよ正式にサウロ(後の使徒パウロ)の登場となる。彼は初代イスラエルの王サウル(ベニヤミン族出身)の名を戴いている。彼もベニヤミン族の出身である(ロマ11:1、ピリピ3:5)。彼は神が備えた異邦人宣教のための器である(22:21、ロマ11:13他)。神が彼を必要とし、キリストと聖霊を通して一方的に彼を召したと言っても良い。この劇的な体験は、新約聖書の中で3回言及され(22:4-21、26:9-18)、彼の回心と召命が極めて密接に結び付いて述べられており、その重要性が示されている。

 サウロの迫害は執拗であった。大祭司から書状まで取り寄せ、外国に散ったキリスト者までを逮捕しようとしたのだ。「この道の者」は、当時の弟子たちの呼称である。「クリスチャン」という呼称は、後にアンテオケの人々が付けた侮蔑的表現である。

 サウロは、ダマスコの近くで、突然「天からの光」に撃たれる。そしてヘブル語で「サウル、サウル」と呼びかける声を聞くのである(26:14)。この召命体験は、旧約預言者に通じる。2度の呼びかけは、神の介入の形式(アブラハム、モーセの召命等)であり、その時の超自然的召命は、神学用語でヌミノーゼ(聖体験)と呼ばれる(アブラハムの燃えるかまど、モーセの燃える柴)。彼が「主よ、あなたはどなたですか?」と尋ねると、声は、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。」と答えた。彼は、ものすごいショックを受けたに違いない。そして、彼は回心と共に服従が求められた。それは、使徒26:16-18で詳しく語られている。「起き上がれ。自分の足で立て。わたしがあなたに現れたのは、あなたがわたしを見たこと、そして、これからわたしが示そうとすることについて、あなたを奉仕者、また証人にするためである。わたしは、あなたをこの民と異邦人の中から救い出し、彼らのもとに遣わす。それは、彼らの目を開いて、闇から光に、サタンの支配から神に立ち帰らせ、こうして彼らがわたしへの信仰によって、罪の赦しを得、聖なる者とされた人々と共に恵みの分け前にあずかるようになるためである。」この出来事はサウロの主観的な体験以上のものである。

 彼の目が見えなくなったことは、迫害者への罰というよりも、回心と召命に深い内省を与えるための、恵みの手段である。「食べも飲みもしなかった。」は彼の悔い改めと、働きのための待機を示している。

 次に主はアナニアを備えられる。アナニアは敬虔なユダヤ人キリスト者であった(参照22:12)。「直線通り」はダマスコにある大通りの固有名詞であり、現代でもダマスコの中心街にある。アナニアはサウロの噂を聞いていた。そのサウロが目が見えなくなって祈っているとのこと。主は彼に手を置いて祈るように言われる。アナニアは主に反論をした。しかし主は、行きなさいと命じる。アナニアが行って手を置くと、サウロの目からうろこのような物が落ちた。それは、視力回復以上のことである。(ちなみに「目から鱗」という諺の出典はここである)彼はすぐにバプテスマを受けた。

 この後の彼の歩みは、彼自身がガラテヤ書1:11-2:14で語っている。6月20日で学ぶ「エルサレム会議」の背景ともなっているので、是非一読をお勧めする。

■中高科
「キリストに会ったサウロ」  使徒9:1−9
伝えるポイント:イエスを迫害していたサウロは、突然イエスに出会い、イエスを伝える者とされた。(19aまで説教範囲とする)

準備
 サウロの出来事を通して、私たちにも与えられている神様の召を受け取っていきたい。
説教例
 使徒の働きを毎週学んでいますが、使徒の働きの大事なテーマは「宣教」イエス様を伝えることです。そして、そのために神様が救いの計画のために選び召した者たち、それが私たちクリスチャンの存在です。そして、神様は召した者たちに聖霊の力、神様が共にいてくださるという約束を与えて、共に神様の働きをしてくださいます。何よりも私たちが、神様が私たちを召してくださった目的をしっかりと握っていきたいと思います。
 今日は、キリスト教において、最も重要人物となるサウロ、後にはパウロの救いの出来事を学んでいきたいと思います。サウロという人物ですが、もともとは教会の迫害者でありました。彼は、決して単に乱暴者で、荒らしまわっていたわけではなくて、むしろ、ユダヤ教の中でもエリート中のエリート、神を信じ、熱心で、律法も厳守していた人だったのです。
ただ、律法を守らなければ神に裁かれる、律法を守らないで神が赦しておくはずがないと固く信じていました。ですから、律法も守らずに愛だの赦しだの説くキリストの教会に至っては諸悪の根源、神を冒涜している、そんな教会を野放しにしては神様に申し訳ない、神様のために、神の栄光のために、教会を潰そうとしていたんです。
 この日も彼は教会を潰すためにダマスコという町へ向かっていました。しかし、ここで、彼は思いもよらぬ出来事に遭遇したのです。突然、強い光が差し込んできて、直接神様の声を聞きいたのです。それは「サウロよ、サウロ。なぜ、私を迫害するのか」サウロはあわてて問いかけました。「主よ、どなたですか。」「わたしは、あなたの迫害するイエスである」
サウロにとっては、天と地とがひっくり返るような衝撃的な名前でありました。おそらくサウロは、その瞬間、パニックになりました。
「イエスは、十字架の上で死んだはずではなかったのか?」「イエスは、本当によみがえったのか?」「イエスは、本当にキリストだったのか?」「イエスは、神なのか?」律法を守らなくては神に裁かれる神は恐ろしく、厳しいお方であると信じていたサウロにとって、神の教会、いや神ご自身を迫害していながら、自分が助かることなどありえない、赦されることなどありえないと、まさに、今までの神様に対する理解、信仰、価値観、行動、すべてが崩れてしまった瞬間でありました。それだけではなく、神に対する迫害者であった者を、神様は大きな愛で赦してくださるお方であることを知ったサウロにとって、人生を180%大きく変える出来事となったのです。それからのパウロは神様に選ばれた目的を知り、人生かけてイエス様を証しする証人となっていきました。
わたしたちも、パウロのような経験はないかもしれません。しかし、神様は私たちひとりひとりを選び、神様の使命に生きるために召してくださっています。この召を受け取った時がまさに、スタートの時です。

■小学科
「キリストに会ったサウロ」  使徒9:1−9
伝えるポイント:イエスを迫害していたサウロは、突然イエスに出会い、イエスを伝える者とされた。(19aまで説教範囲とする)

準備
 「わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり わたしの道はあなたたちの道と異なると主は言われる。天が地を高く超えているように わたしの道は、あなたたちの道をわたしの思いは あなたたちの思いを、高く超えている。」とイザヤ書 55:8 -9に記されていますが、このみ言葉のとおり、神 ので計画とは我々人間には察することすらできないものです。
 初代教会の時代、熱心なユダヤ教徒が、次々とキリスト者を迫害するようになりました。そして、ステファノの逮捕と石打ちの処刑の場面において「ステファノの殺害に賛成して」(8:1) 立ち会っていたサウロ(ヘブライ語名、サウルはアラム語名)という名の若者が登場します。後のパウロ(ギリシャ語名)です。
 サウロの回心は劇的ですが、サウロの側に注目するのではなく、そのようにされた神のご計画に目を向けねばなりません。ご自身の愛する独り子をこの世に、そして十字架に送りたもうた神は、愛と憐れみをもって、主イエスを信じる信仰者の群れを「新しいイスラエル(神の民)」とされます。その神が、 キリスト者の敵であったサウロを、ご自身のご計画を進めるための働き手として用いようとされたのでした。しかも、そのとき自力では何もできない弱きサウロを神さまは必要とされたのです。

説教例
 きょうは、サウロという人のお話です。サウロはの ちのパウロです。パウロなら聞いたことがあるでしょう。そうです、遠く旅をしてイエスさまのことを宣べ伝え、私たちの聖書にもたくさん手紙を残してくれ た、素晴らしい指導者になった人です。
 サウロは、イエスさまを信じる人を次々と逮捕して、残酷な処罰をする人でした。サウロは彼らを一人でも多くひっ捕らえてエルサレムに連れていこうと思い、おそろしい顔でダマスコという町へ道を急いでいました。その途中、突然強烈な光に照らされました。あまりの眩しさに、サウロは倒れてしまったほどです。そのとき、「サウル、サウル、なぜ、わたし に害を加えるのか」。という声を聞きます。私の名前を知っているこの人はいったい誰だろう。「あなたは どなたですか」と聞くと「わたしはあなたが敵だと思っているイエスだ」。びっくりです。
 この後、サウロは3日間も目が見えなくなってしまいます。しかも食べることも飲むこともできませんでした。他の人に助けてもらわなければ歩くこともできないみじめな弱い姿になってしまったのです。
 サウロが人々の手を借りてやっとたどり着いたダマスコに、アナニアというイエスさまの弟子がいました。彼は、伝え聞くサウロのことを恐ろしく思っていた人です。ところがイエスさまは、アナニアの名前を呼び、何と、そのサウロを助けなさいと言われるのです。 アナニアは一旦は尻込みしますが、イエスさまの「私は私の名を世界中に広めるために、サウロを選んだ」とのお言葉を聞き、勇気を出してサウロのところへ行きました。サウロはアナニアからイエスさまのお考えを知らされると、イエスさまが、こんな罪深く弱い自分を選んでくださったのだということがはっきりとわかりました。するとたちまち目から鱗のようなものが落ちて、元通り見えるようになりました。サウロはアナニアから洗礼を受け、今までのサウロとはすっかり変わり、今度はイエスさまのことを力強く伝える人になりました。
 私たちはまだ何もできない子どもですが、イエスさまは私たちの名前を呼んで、「わたしについてきなさい」と招いてくださいます。心静かにし、目を閉じてお祈りしましょう。イエスさまのお声が聞こえますか。

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