2020年秋号・11月29日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■ 説教準備のためのテキスト研究
「神さまが約束された平和の君」
イザヤ書9章5-6節(口語訳、新改訳は9章6−7節) 
伝えるポイント:ひとりの男の子を通して、神は永遠の平和を実現しようとされる。

 アドベント(待降節)の第1週に入るため、今回は旧約聖書のメシア預言とされる箇所が取り上げてられている。イザヤ書9章の前半部分、テキストになっている5−6節を含む箇所では、前の8章22節で語られた「暗闇」に対比して、「光」をもたらす神の業が預言される。特に5-6節は、7章14節に次いでクリスマスのメッセージとして有名な箇所である。イザヤはこの章全体で、ダビデの王座に就く新しいメシアの啓示を受けてその姿を語っている。メッセージの準備にあたってはできれば9章全体に、少なくとも1-6節にはぜひ目を通しておきたい。

 1節の「闇」と「死の陰」は具体的には、サマリアを中心とする北イスラエル王国が強国アッシリアよって侵略を受けて占領された後の悲惨な状況を示している。ソロモン王の死後、イスラエルは北イスラエル王国と南ユダ王国に分裂していた。イザヤはエルサレムを中心とする南ユダ王国の預言者であった。北イスラエルを制圧して植民地化したアッシリア軍の猛威は、イザヤがいる南ユダ王国にも及びつつあった。しかしイザヤは「大いなる光を見た」「光が輝いた」と完了形で語ることで、現在の恐れと絶望の暗闇に差し込む希望の光の確かさを伝える。

 3節の「ミディアンの日」は、イスラエルの士師ギデオンが3万2千人の内から勇気のある300人を選び、ミディアン人を打ち破った時のことを指すものである(士師記7章参照)。それは、人間の力ではなく神の力に徹底的により頼むことによって得られた勝利の出来事であった。ただ神の御業こそが、神の民をその敵の手から救い出して解放する、というイザヤの確信がここに込められている。
 神の業がもたらす勝利の結果は完全な平和であって、だから兵士の靴や軍服に象徴されるような戦いの備えはすべて不要のものとして捨て去られることになる。そのことをイザヤはすでに確定した疑いない事実として、ここでも完了形で人々に語っている(4節)。

 5節からのメシア預言もまた、神が人々にお与えになる「深い喜びと大きな楽しみ」(2節)の中に含まれる。ここでもイザヤは「生まれた」「与えられた」「彼の肩にある」「唱えられる」と完了形の動詞を用いることで、彼の確信の強さを示している。
 闇から光へ、争いから平和へという喜びの出来事は、ただ神によって成し遂げられる業であることが2-4節で語られた。その根拠として、ここで「ひとりのみどりご」の誕生が語られる。この男の子は神によって立てられる統治者であり、神の権威をその肩に担っている。彼は「驚くべき指導者」であり「力ある神」「永遠の父」「平和の君」と呼ばれる存在になる。つまり、ここで誕生を約束されている男の子は、神の民を敵の手から救い出して完全な平和をお与えになる方、神ご自身である、とイザヤはここで驚くべきことを宣言しているのである。続けて6節でイザヤは、神ご自身であるこの男の子が「ダビデの王座」に就いて「正義と恵みの業」で永遠に王国を統治することを告げている。

 この時イザヤとイスラエルの民は、滅亡の危機という暗闇の真っただ中にいた。強大な敵がすぐ目の前に迫っていて、人々の心は恐れと絶望に覆われている。それでも神はイザヤを通して、希望の光をその民に見せておられる。人間の側の不可能を超えて、「万軍の主の熱意」(6節)によって神からの救いは成し遂げられるとここで約束されているのである。 


【参考文献】
 ・「イザヤ書注解(上)1-23章」(鍋谷堯爾著、いのちのことば社)
 ・「ATD旧約聖書註解17 イザヤ書1-12章」(ATD・NTD聖書註解刊行会)


■ 中高科
「神さまが約束された平和の君」
イザヤ書9章5-6節(口語訳、新改訳は9章6−7節) 
伝えるポイント:ひとりの男の子を通して、神は永遠の平和を実現しようとされる。

●準備
 預言者イザヤは、南ユダ王国のウジヤ王、ヨタム王、アハズ王、ヒゼキヤ王の時代に活躍した預言者であり、時代は紀元前8世紀頃の事であり、この時、北王国は偶像礼拝のゆえに堕落し、南ユダ王国は、北王国よりは少しましといえる程度で、同じような有様でした。
 偶像礼拝の罪の結果、紀元前722年に北王国は北の大国であったアッシリアによって滅ぼされ、南ユダ王国にも危険が迫っていました。そのような状況下、イザヤは選民である南北両王国の罪を指摘し、このままでは神様の裁きがくだるという警告を発しています。
 1章から11章にかけて自分の召命とアハズ王時代の国家的危機の時に与えられたインマヌエル誕生の希望の預言が記されています。この時、北王国と南ユダ王国は敵対しており、北王国はアラムという外国と連合を組み、南ユダを攻撃してきました。アラムと北王国の連合軍は、南ユダ王国がアッシリアに要請した援軍によって滅ぼされ、南ユダ王国は難を逃れたものの北王国は大きな被害を受けました。南北王国が神様を信頼せず、互いに争っているのは、まさに闇が地を覆っている状態であったといえます。そのような状況の中、暗闇に光が与えられるというのが9章1節~6節に記されています。神の教えに敵対し、大国に滅ぼされた南北王国ですが(南ユダ王国はバビロンによって滅ぼされました。)、しかし、そんな者たちをも決して見捨てる事なく、あわれみをもって、救いの御手をさしのべ、希望の光を与えて下さる神様の愛を伝えたいと思います。

●説教例
 今日から救い主を待ち望む、待降節(アドベント) を迎えました。教会の講壇に備えてあるクランツの4本(もしくは5本)のロウソクの一本に火が灯りました。4本全部に火が灯るとクリスマスを迎える事になります。イエス様が誕生して、2020年を迎えました。今年を振り返って見ると大変な一年だったと思います。恐ろしい新型コロナウイルス肺炎が中国から発生して世界中に広がって多くの人たちの尊い命が奪われました。今年の3月に学校を卒業する人たちの卒業式が中止になったり、4月に入学する予定だった人たちも入学式が取りやめになったり、長い休校期間があったりして多くの人たちが大変な時を過ごしました。
 イエス様が誕生するはるか前の700年ほども前の事ですが、今のイスラエルの国は二つの国に別れており、北のイスラエル王国は、神様の教えに背いて、まことの神様ではない偶像の神様を礼拝するといった、神様の目から見て本当に悲しい行為を行っていました。
 神様はエリヤやエリシャ等の預言者を遣わし、偶像礼拝をやめて、まことの神である私のもとに立ち返るように伝えさせましたが、それをやめようとしなかったことの故に、北の大国、アッシリアによって滅ぼされ、アッシリア帝国によって占領され、暗く苦しい日々を送る事を余儀なくされていました。そんな民たちに対して、南ユダの預言者であったイザヤは「決して神様は、あなた方を見捨てるような方ではなく、救い主を送って下さる」という希望のメッセージを届けました。時が過ぎ700年後、平和をもたらす救い主なるイエス様が私達の為に遣わされました。イエス様は苦しみ悩む人々に神様にある真の平安をお与え下さるお方です。イエス様のみ救いを受け入れる者たちに与えられる喜びを覚えるクリスマスを迎えたいと思います。

■ 小学科
「神さまが約束された平和の君」
イザヤ書9章5-6節(口語訳、新改訳は9章6−7節) 
伝えるポイント:ひとりの男の子を通して、神は永遠の平和を実現しようとされる。
    
●準備
 メッセージを準備する段階で、「平和とは何か」という問いにまず向き合うことで、この箇所が伝えている「平和の君」がより深くて豊かな意味を持つと思います。

●説教例
 今日からクリスマスの準備をする待降節、アドベントが始まりました。さて、クリスマスは何の日でしたっけ?そう、イエスさまがお生まれになったことを記念するお祝いの日ですね。イエスさまの誕生は、実はその何百年も前から約束されていました。旧約聖書には、イエスさまのことを約束する預言者たちの言葉がたくさん書いてあります。預言者ってどんな人でしょう?預言者は「神さまの言葉を預かる人」、神さまがみんなに伝えなさい、と言われることを人々に伝えるお仕事をした人たちです。今日はそんな預言者の一人、イザヤが伝えたイエスさま誕生の約束を聞いていきましょう。
 イエスさまが生まれるずっとずっと前、イスラエルにバビロニアという強い国が攻め込んできて、人々はとても苦しんでいました。捕まえられて遠いバビロニアに連れて行かれる人たちもいました。みんな毎日心配で暗い気持ちだったでしょう。そんなとき、預言者のイザヤがみんなに神さまの言葉を伝えました。一人の男の子が生まれる。その子はやがて王さまになって、神さまの力で私たちを助けてくださる。私たちの暗闇のような不安や苦しさを、光のように照らして喜びに変えてくださる。その子は、驚くような指導者、どんなことでもできる力のある神さま、いつまでも一緒にいて守ってくださる永遠の父、すべての人が平和に暮らせる国を造り上げる平和の君だ。この王さまの国は、神さまの正義と恵みによって永遠に続く。
イザヤがこの神さまからの約束を伝えた時には、その子がいつどこでどんな風に生まれてくるのかは誰にもわかりませんでした。すぐかもしれないし、けっこう先のことかもしれない。それでも、神さまが必ず救い主になる男の子を生まれさせてくださるという約束は、不安で暗い気持ちだったイスラエルの人たちを励ましてくれました。生まれてくるその子は王さまになって、神さまの力で私たちを救ってくださる。もう誰も苦しんだり悲しんだり心配しなくてもいい、本当の平和を実現してくれる王さまが生まれてくるんだ。この神さまからの約束を期待して待つことが、苦しい中でもイスラエルの人たちを慰めて励まし続けたんです。
それから700年ぐらいして、ベツレヘムという町でマリアという女の人から一人の赤ちゃんが生まれました。この赤ちゃんが神さまのひとり子、救い主イエスさまです。イエスさまはイスラエルの人たちだけじゃなくて、すべての人を苦しくて不安な罪の暗闇から救い出してくださいました。イエスさまは神さまの力で私たちみんなを助けて、守って、本当の平和へ導いてくださる、すべての人の王さまです。預言者イザヤが伝えた神さまの約束は、ちゃんと実現しました。それがクリスマスの出来事なんです。
神さまは必ず約束を実現してくださるお方です。神さまはイエスさまによって私たちと一緒にいてくださる、と約束されました。イエスさまを救い主だと信じる人は、神さまの国を生きる永遠の命が与えられると聖書の言葉が約束しています。イエスさまについて行く人は、本当の平和を生きることができると今日の預言者イザヤの言葉が私たちに約束しています。神さまからの約束を信じて、一緒にいてくださる神さまに期待して、いつでも神さまにお祈りしながらイエスさまについて行きましょう。 


■ 小学科ワーク

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